「コレット法」の提案
ヴェルニエ侯爵の、断罪は、エトワール王国の、貴族社会に、衝撃を、与えた。
「平民の女を、殺した、だけで、爵位剥奪?」
「これは、貴族の特権の、根幹を、揺るがす、判決だ」
保守派は、激怒した。
しかし、私は——
止まらなかった。
私は、王太子妃殿下に、面会を、申し込んだ。
「妃殿下、お聞き入れ、いただきたい、提案が、あります」
「リリア嬢、何でしょう」
「『コレット法』の、制定です」
「コレット法?」
「はい。今後、貴族が、平民の女性に、結婚を、申し込み、断られた場合、その女性に、危害を、加えれば、爵位剥奪、と、する、法律です」
妃殿下は、長く、考えた。
「リリア嬢……それは、貴族の、特権を、大きく、削る、法、です」
「はい」
「貴族院の、保守派が、激怒します」
「分かっています」
「私が、貴方の、後ろ盾に、なれば、可能、かも、しれませんが——」
妃殿下は、灰色の目で、私を、見つめた。
「貴方は、なぜ、ここまで、するのですか」
「コレットの、ような、女性を、二度と、出さない、ためです」
「それが、貴方の、夢、ですか」
「私の、夢は、もっと、大きい」
私は、深く、頭を下げた。
「いつか、エトワール王国を、女性が、自由に、夢を、追える、国に、する。それが、私の、夢です」
妃殿下は、しばらく、私を、見つめてから——
「リリア嬢」
「はい」
「私は、貴方を、応援します」
——!
——王太子妃殿下、味方化。
——よし。
「ありがとうございます、妃殿下」
私は、深々と、頭を下げた。
そして、一年後——
『コレット法』は、貴族院で、可決された。
ぎりぎりの、僅差だった。
保守派の、強い反対が、あった。
しかし、可決された。
——コレット。
——あんたの、名前が、エトワール王国の、法律に、刻まれた、よ。
——あんたは、絶対、忘れられない、存在に、なった。
私は、その夜、ベルロワ・カーヴの、ステージで、また、歌った。
コレットの、追悼の、歌。
そして、新しい、別の、歌も、歌った。
——『コレットの、夜明け』。
私が、コレットの、ために、書き下ろした、新曲。
歌い終わった、瞬間——
劇場の、千人が、立ち上がって、拍手を、続けた。
長い、長い、拍手だった。
その日、エトワール王国の、女性たちの、心に——
ひとつの、灯火が、灯った、と、後の、歴史家は、書いている。
---




