肖像画量産技術——ブロマイド誕生
# 第六話 肖像画量産技術——ブロマイド誕生
ファンクラブの、特典の、目玉。
それが、ブロマイドだった。
「ブロマイド、って、何だ」
オーレリアンが、子爵邸の、サロンで、私に、聞いた。
「タレントの、絵を、紙に、印刷したもの。手のひらサイズ。ファンが、家に、持ち帰って、毎日、見て、にやにやする、お守り」
「お守り……」
オーレリアンは、戸惑った顔を、した。
「とにかく、これも、作る。グスタフのおじさんに、紙の量産機と、絵の量産機の、開発を、頼んだ」
「絵の量産?」
「うん。一枚一枚、画家が、描いていたら、間に合わない。だから、版画の、応用で、量産する」
——前世の、リソグラフィーの、ざっくりした、知識を、活用。
——魔石を、応用すれば、もっと、効率化、できるはず。
二週間後。
グスタフの工房で、最初の、ブロマイド試作品が、完成した。
肖像は——
オーレリアン。
紅い瞳。
暁色の髪。
横顔の、優しい微笑み。
「うわあ……っ」
私は、ブロマイドを、両手で、受け取って、頬擦りした。
「綺麗、綺麗、綺麗。これは、絶対、売れる」
「……気持ち悪いぞ、リリア」
オーレリアンが、横で、呆れた声を、出した。
「これが、ファンの、リアクションなの。私が、その、第一号」
私は、にっこり、笑った。
「これ、五千人、買うよ」
——うん、絶対、買う。
——むしろ、十枚ずつ、買う、人もいる。
——だって、私が、買う側だったら、ね。
私は、心の中で、未来の、推し活オタクたちに、エールを、送った。
——皆さん、待っていて。
——うちの、最高の、推しを、世に、出します。
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