奉公人棟の少女たち、救出
劇場建設、二週間目。
私は、ベルロワ子爵に、新しい願いを、申し出た。
「お父様、お願いが、あります」
「何だ、リリア」
「モンフォール侯爵家の、奉公人棟の、少女たち、六人を、買い取って、いただきたいです」
「……六人?」
「はい。彼女たちは、私が、半年、共に過ごした、姉妹のような、存在です。彼女たちも、命を削って、肩代わりしている。このままだと、二十歳まで、生きられません」
子爵は、しばらく、考えた。
「金貨、いくら、かかる」
「一人、金貨二十枚で、計、金貨百二十枚」
「……分かった。出そう」
「ありがとうございます」
「だが、彼女たちを、何のために、引き取る?」
「劇場の、衣装係、振付補助、楽屋係、そして——」
私は、にっこり、笑った。
「将来の、第二期、所属タレント、候補です」
子爵は、ふっと、笑った。
「リリア、君は、本当に、底なしの、夢を、見るな」
「夢、というか、計画です」
その翌週。
モンフォール侯爵家との、契約交渉の、結果——
奉公人棟の、六人の少女たちは、ベルロワ子爵家に、引き取られた。
マリカ姉さん、ミシェル、エメリー、ジャネット、フランソワーズ、そして、最年少の、八歳のセラ。
「リリア……ありがとう……」
マリカ姉さんは、子爵邸の、玄関で、私を、抱きしめて、泣いた。
「私、信じてた。リリアが、絶対、迎えに来てくれる、って」
「うん。約束、守った」
私は、マリカ姉さんと、五人の少女たちに、それぞれの、新しい部屋を、与えた。
そして、皆に、言った。
「これから、皆さんは、自由身分です。ベルロワ子爵家の、雇用人として、給金が、出ます。月、銀貨十枚。住み込み。食事付き」
「ええ……」
少女たちが、声を、失った。
「希望者は、文字や、計算も、習って、いいです。もちろん、ただで」
少女たちは、もう、声も、出なかった。
ただ、ぽかぽかと、涙を、流していた。
——大丈夫。
——これから、皆を、ちゃんと、人間として、扱う、世界に、する。
私は、心の中で、誓った。
——奴隷的、奉公人制度。
——魔力税の、肩代わり制度。
——いつか、全部、ぶっ壊す。
——でも、それは、まだ、先。
——今は、まず、自分の、半径から、変える。
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