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第二十六話 暗殺者の夜

# 第二十六話 暗殺者の夜


ベルロワ子爵邸での、秘密公演の、噂は、貴族社会に、広がり始めた。


「下町に、不思議な、歌う少年が、いるらしい」

「ベルロワ子爵が、後ろ盾だ」

「神殿は、警告したが、抑えきれない」


そして、その噂は——

私を、敵視する、勢力にも、届いた。


ある夜。


街頭ライブの、帰り道。


下町の、暗い、路地裏で、私は、突然、後ろから、襲われた。


「!」


頭に、布袋が、被せられた。

両腕を、誰かが、掴んだ。


「うっ……」


私は、必死に、もがいた。

でも、五歳児の腕力では、大人の男の、力には、敵わない。


「黙れ、ガキ」


低い、男の声。


私は、引きずられた。

たぶん、三人、いた。


——殺される。


——いや、たぶん、誘拐。

——身代金、目当て?

——それとも、神殿保守派の、刺客?

——それとも、競合の、貴族?


頭の中で、計算が、走った。


その時——


「離せ!」


野太い、別の、怒声が、響いた。


——グスタフ!


そして、複数の、足音。


「軍だ! お前たち、逮捕する!」


——え、軍?


布袋が、剥がされた。


私の、目の前に、グスタフと、王立軍の、兵士たちが、立っていた。


そして——


兵士の、隊長は、モンタージュ副司令官だった。


「リル、無事か」


「副司令官閣下……どうして」


「ベルロワ子爵から、頼まれていた。最近、君の周りで、不穏な動きがある、と。今夜、グスタフが、君の、街頭ライブの、帰り道を、警護していた。我々は、その後ろを、追っていた」


——ベルロワ子爵……っ!

——グスタフ……っ!

——副司令官……っ!


私は、頭の中で、感謝の、涙を、流した。


——大人たちが、私を、守ってくれている。


——いつか、絶対、恩を、返す。


「襲撃犯は?」


「捕らえた。三人、全員」


副司令官は、頷いた。


「尋問の結果、依頼主は、神殿の、保守派の、一部、と、判明している」


——やっぱり、神殿。


私は、心の中で、頷いた。


「副司令官閣下、ありがとうございます」


「礼は、いい。君は、王国の、未来の、宝だ。傷ひとつ、つけさせない」


——王国の、未来の、宝。


——副司令官、私の、評価、爆上がり、してる。


——よし。

——この信頼を、もっと、利用、する。


私は、深々と、頭を下げた。


「副司令官閣下。ひとつ、お願いが、あります」


「何だ」


「私を、モンフォール侯爵家から、解放してください」


副司令官の、灰色の眉が、動いた。


「……というと?」


「私は、現在、モンフォール侯爵家の、魔力提供奉公人です。表向きは、奴隷と、ほぼ、同じ立場。でも、私は、もう、十分な、魔力の器を、持っています。侯爵家から、解放されたいです」


「ふむ」


副司令官は、考えた。


「ベルロワ子爵に、相談しよう。子爵が、君を、養女として、引き取る案を、検討している、と、聞いている」


——!


——きた。


——ベルロワ子爵、私を、養女に、する案を、もう、考えてくれている。


私の、心臓が、跳ねた。


——よし。

——もう、すぐ。

——もう、すぐ、私は、ここから、出られる。


——オーレリアン、待ってて。

——絶対、迎えに、行くから。


---


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