閑話⑥ リアナのもとへ届いた銀貨 〜リアナ視点〜
# 閑話⑥ リアナのもとへ届いた銀貨 〜リアナ視点〜
(語り:リアナ・ベルナール、四歳)
ねえ、なやっ、姉さま。
リアナ、まいにち、ねていて、つまらない、よ。
姉さまが、いなく、なってから、もう、はん、とし、たった。
おかあさまは、もう、いない。
姉さまも、いない。
お父さまは、たまに、しか、見ない。
お兄さまは、こわい、目で、リアナを、見るだけ。
リアナの、まわりは、しずか。
だれも、リアナと、おはなし、しない。
——姉さま、どこ、いっちゃった、の?
リアナは、まいにち、まいにち、まどから、空を、みていた。
そして、ある、ひの、ゆうがた。
侍女の、おばさんが、こっそり、リアナの、まくらの下に、ちいさな、つつみを、おいて、いった。
「リアナ様、これは、姉さまから、です」
「姉さま、から?」
「はい。下町の便り屋さんが、もって、きました。差出人は、なし。でも、姉さまから、と」
リアナは、つつみを、ふるえる手で、あけた。
ぎん色の、おかね、いちまい。
それから、ちいさな、ふくろ。
中に、入っていたのは、よく、知らない、薬の、つぶ。
そして、てがみ、いちまい。
リアナは、まだ、字が、よく、読めなかった。
侍女の、おばさんが、よんで、くれた。
『リアナへ。
おねえちゃんは、げんきです。
おしごとを、して、おかねを、もらいました。
このおかねで、リアナの、おくすり、かってください。
ごはんも、いっぱい、たべて、ください。
ぜったい、むかえに、いきます。
ぜったい、げんきで、いてください。
おねえちゃんより』
リアナは、てがみを、だきしめた。
そして——
なみだが、止まらなく、なった。
「……姉さま」
「はい?」
「姉さま、リアナのこと、わすれて、なかったの」
「はい、リアナ様」
侍女のおばさんは、リアナの、よわい、ほっぺに、よりそった。
「姉さまは、ぜったい、リアナ様のこと、忘れません。だって、姉さまは、リアナ様のために、家を、出たのですから」
——姉さま。
——リアナ、げんきに、なる。
——ぜったい、げんきに、なる。
——姉さまが、むかえに、来てくれる、その日まで。
——リアナ、まってる、よ。
それから、リアナは、薬を、ちゃんと、毎日、のんだ。
少しずつ、咳が、減って、いった。
少しずつ、ご飯を、食べられるように、なった。
そして、月末に、また、銀貨が、届いた。
リアナの、まどの、空は、いつのまにか、青く、明るく、見えるように、なった。
——姉さま。
——ありがとう。
——リアナ、まってる、よ。
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