不死鳥の、生き残り
王宮、奥の、部屋。
私と、オーレリアンが、セラフィムと、対峙していた。
「セラフィム……、生きていたのか」
オーレリアンの、声は、震えていた。
「ああ、生きている」
セラフィムの、青い目が、冷たく、オーレリアンを、見ていた。
「あの、村が、焼かれた、夜——、俺も、別の、場所で、生き残った」
「……」
「お前と、同じく」
セラフィムの、銀色の翼が、微かに、揺らめいた。
「だが、俺と、お前で、生き方が、違った」
「俺は、人間の世界を、憎み、復讐の、機会を、待ち続けた」
「お前は——」
セラフィムの、青い目が、私を、見た。
「人間の女と、結ばれて、人間の、一族の、玩具に、なった」
——!
——玩具!?
「ふざけるな」
オーレリアンが、初めて、声を、荒げた。
「ルリアージュは、玩具では、ない。彼女は、俺の、命の、恩人だ」
「命の、恩人?」
セラフィムは、嘲笑した。
「人間の、女が、不死鳥の、命の、恩人? 笑わせるな」
「彼女が、奴隷解放法を、可決させた。彼女が、俺を、自由にした」
「だから、何だ」
セラフィムの、青い目が、燃え上がった。
「お前は、俺たちの、村を、焼いた、人間の、世界に、根を、下ろした」
「俺たちの、家族を、殺した、人間の、文明の、一部に、なった」
「お前は、不死鳥族の、誇りを、忘れた」
「裏切者だ」
オーレリアンの、紅い瞳が、痛みで、揺らめいた。
「セラフィム、聞いてくれ」
「聞かない」
「俺は——」
「お前を、殺す」
セラフィムの、銀色の翼が、大きく、広がった。
「だが、今夜は、見逃す」
「明日の、夜明け、王宮の、東の、丘で、決闘だ」
「不死鳥族、最後の、二人の、決闘」
「勝者が、不死鳥族の、未来を、決める」
セラフィムは、背を、向けた。
「明日の、夜明け、待つ」
そして、彼は、消えた。
私は、オーレリアンの、両肩を、握った。
「オーレリアン!」
「ルリアージュ……」
「決闘なんて、ダメ。私が、止める」
「いや」
オーレリアンは、首を、振った。
「俺が、行く」
「な——」
「セラフィムは、俺の、幼馴染、だった。俺の、兄分、だった」
オーレリアンの、紅い瞳に、涙が、滲んだ。
「俺は——、彼と、向き合わなければ、ならない」
「だが——」
「ルリアージュ、信じてくれ」
オーレリアンは、私を、強く、抱きしめた。
「俺は、必ず、生きて、戻る」
——オーレリアン。
——あなた、本当に——
——あなたの、過去と、向き合う、んだね。
私は、彼を、抱きしめ返した。
涙が、止まらなかった。
——絶対、生きて、戻ってきて。
——絶対。
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