ベルナール男爵家への訪問
獣人国へ、出発する、前。
私は、過去の、整理を、つけた。
オーレリアンと、リアナと、共に、ベルナール男爵家を、訪ねた。
応接間で、迎えたのは——
父上ベルナール、継母アグネス、ジュリアン。
「リリア、いえ、ルリアージュ嬢——」
父上が、震えた、声で、私を、呼んだ。
「お父様」
私は、深々と、頭を、下げた。
「君は——リアナを、本当に、立派に、育ててくれた」
父上の、目に、涙が、浮かんでいた。
リアナは——
十三歳に、なって、すらりと、美しい、少女に、成長していた。
「お父様、お久しぶりです」
リアナが、丁寧に、挨拶した。
父上は、リアナの、健康な、姿に、両手を、口に、当てて、号泣、した。
継母アグネスは、私たちを、見ることが、できないように、目を、伏せていた。
「アグネス様」
私は、彼女に、声を、かけた。
「あなたを、責めません」
「……」
「あなたも、一夫多妻制度の、犠牲者の、一人、です」
アグネスの、肩が、震えた。
「ルリアージュ嬢、私は——本当に、申し訳——」
「もう、過去の、ことです」
私は、にっこり、笑った。
「これからは、一夫一妻、の、時代、です」
そして——
ジュリアン。
「お兄様」
「ルリアージュ」
「あなたとの、約束、覚えていますか? 『お兄様より、長生きする』」
「覚えている」
「私、生きています。あなたも、生きてください」
ジュリアンの、青い目から、涙が、溢れた。
「リリア、お前が、結婚するときは——、せめて、エスコート、させてくれ」
——!
——お兄様、自分から、申し出てくれた!
「もちろんです、お兄様」
私は、ジュリアンを、抱きしめた。
その日、私とリアナは、ベルナール男爵家で——
四人で、夕食を、共に、した。
久しぶりの、家族の、夕食、だった。
そして、その夜——
私は、亡き母セレネの、墓に、参った。
——母さま。
——リリアは、結婚する、よ。
——獣人の、国に、行く前に、報告、しに、来た。
私は、母さまの、墓前で、長く、長く、祈った。
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