奴隷解放法②
奴隷解放法、可決の、翌週。
私は、ヴァランシエンヌ公爵に、報告、した。
「お父様、私、オーレリアンと、結婚、したい、です」
ヴァランシエンヌ公爵は、長く、私を、見つめてから——
「分かっていた」
ふっと、笑った。
「だが、ルリアージュ、相手は、不死鳥族の、最後の、生き残り、だ。エトワール王国、貴族界では、まだ、種族差別が、残っている」
「分かっています」
「公爵令嬢が、奴隷出身の、不死鳥と、結婚——これは、もうひとつの、革命に、なる」
「はい」
「君は、本当に、エトワール王国を、根底から、変える気だな」
「はい」
私は、にっこり、笑った。
ヴァランシエンヌ公爵は、ため息を、ついた。
「分かった。私が、後ろ盾に、なる。結婚式は、一年後。それまでに、エトワール王国の、貴族界、神殿、王室、全ての、根回し、終わらせる」
「ありがとうございます、お父様」
——よし。
——結婚、確定。
——一年、準備期間。
そして——
その、翌月。
シャルロットと、ジャン殿下の、結婚式が、王宮で、行われた。
私は、シャルロットの、姉妹として、結婚式に、参列した。
シャルロットは——
プラチナブロンドに、白い、ウェディングドレス。
ジャン殿下は、紺色の、王族礼服。
二人は、神官マルセルの、立会いで——
一夫一妻の、誓いを、交わした。
「私、シャルロット・ド・ヴァランシエンヌは、ジャン殿下を、唯一の、夫として、迎えます」
「私、ジャン・エドゥアールは、シャルロット嬢を、唯一の、妻として、迎えます」
エトワール王国、王室の、初の、一夫一妻、結婚、だった。
私は——
シャルロットの、後ろで、ハンカチで、目を、押さえた。
——シャルロット、おめでとう。
——次は、私の、番。
そして——
第四部、最終、第三十話。
オーレリアンと、二人で——
ヴァランシエンヌ公爵邸の、バルコニーから——
エトワール王国の、星空を、見上げた。
「ルリアージュ」
「うん」
「来年の、今頃——」
「うん」
「俺たち、夫婦に、なる、んだな」
「うん」
オーレリアンの、紅い瞳が、星空に、揺らめいた。
「ルリアージュ」
「うん」
「俺、お前と、出会えて、本当に、良かった」
「私も」
私は、彼の、肩に、頭を、預けた。
——コレット。
——あんたの、夜明け、来た、よ。
——オーレリアン、私の、隣に、いる。
エトワール王国の、星空が——
私たちを、見守っていた。
(第三十話・了/第四部・完結)
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