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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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9/67

8.

 跳ばされた時に意識を失ってしまったらしい。

 どのくらい時間が経ったのだろうか。


 気付けば大陸の東部にある聖導王国にまで跳ばされてしまったようだ。


 目覚めた時に周囲を探したがシュタルクの姿はどこにも無かった。


 それよりも…、

「ねぇ、本当は話せるんだよね?」

 魔銃からは何の反応も無い。

「はあぁ!?シカト?今さらだ(・)ん(・)ま(・)り(・)なんてあり得ないんだけど!何とか言ったらどうなのよ!」

 手に持った魔銃を振り回したり脅してみたりしたけれど、返事どころか何の反応も返ってこない。


 

 いい加減疲れて溜め息を吐いたら、お腹がクゥ~ッと鳴る。


「お腹空いた…。」


 一番近い村か町まで行って、何かお腹に入れないと…。と、そこで思い出した事が一つ。


バジリスク討伐の報酬~っ!!


 そう。あ(・)の(・)時(・)に受け取る筈だった報酬はシュタルクが持っている。


 けれど受け取る事もできず、魔銃以外何も持ち出す事もできなかった上、跳ばされた私は当然一文無しな訳で…このままでは良くて行き倒れ、下手すれば餓死する事が確定している。


 だが、報酬は他の地方にあるギルドからでも受け取る事が可能な事を思い出した。

 

 早くギルドに行って報酬を受け取らなければ…。


 と思ったのも束の間、ダメだ。ここで報酬を受け取れば居場所がバレる。


 しかもあのエルフ…。

 

 恐らく彼女が噂のハイエルフなのだろう。

 エーデルブルクの王城に囲われている最後の一人になってしまったハイエルフの魔法使い。


「っつぅ!!」


 彼女の姿を見た時と同じ頭痛がする。

 いや、その時よりも酷い痛みに襲われる。


 そして、そのまま私は意識を失った。


△▽△▽△▽△


 ここは…?


 次に目を開けた時、見知らぬ場所に居た。

 

 ドーム型の天井から青空が見えた。周辺には色々な植物が生えている。


多分、温室なのだろう。


 その一角にある東屋(あずまや)でお茶を飲みながら誰かを待っている少女がいた。


 すると、私の傍を侍女が通り過ぎた。


 だが、私の事など見えて居ないかのように通り過ぎて行く。


 あぁ…夢なんだ。


 今見ている光景が自分が見ている夢の中の事だと気付いた。


 少女は侍女が案内して来た青年とお茶を飲み、楽しそうに語らっている。

 

 見覚えのない光景だがどこか懐かしいような気がして胸が締め付けられる。

 

 これは私が失った記憶なのだろうか?


 夢はそこまでで終わりだった。



 バジリスク討伐から続く疲労と記憶の揺り返しの所為で意識を失った彼(・)女(・)の顔を傍(かたわ)らでただ黙って見詰める男の姿があった事を彼女は知らなかった。


 

「ハ…ックショイッ!」


 朝、寒くて目が覚めた。

 まだ寒い季節でもないのに大陸の北部に位置するこの国の早朝は寒いらしい。


 寒くて鳥肌の出る両腕を自分で摩(さす)る。


 今日こそはここから近い村か町まで出て冒険者ギルドに行かねば。


 見渡す限りの草原に一抹の不安が過(よぎ)る。


 だが、たとえ見渡す限りの草原であったとしても、町や村を結ぶ馬車が通る道ぐらいあるはず…。


 そう考え私は歩き出した。


~~~~~~~


お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!!

(*・ω・人・ω・)

 






 

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