7.
── 魔弾の射手 ──
それは、世間一般では“魔銃の使い手”の事だと言われているらしい。
魔銃や魔弾の射手についての記述は少ない。
それ故に、知られている事も少ないのだそうだ。(一部の人間を除く。)
・魔銃は使い手を選ぶ。
※魔力の相性が良い者を使い手として(魔銃自身が)選ぶ。
・魔弾の射手とは使い手の事ではなく、射手を持つ魔銃の事を指す。
・魔銃の数も少ないが、魔弾の射手の数はもっと少なく同じ時期に魔弾の射手は二丁以上存在しないと言われている。(文献等の資料が無い為、この情報に関しては未確認。)
・魔銃の使い手の魔力が尽きれば弾切れ。
※ただし、魔弾の射手に関しては七発しか撃てない。
※魔弾の射手は対象物が何であれ六発は百発百中。七発目は必ず外れる。
・百発百中(一発でケリがつく)と言われているが、対象が射手と使い手の能力を上回る場合はこの限りではない。
・魔銃は古代の超高度な技術により生み出されたと言われている。
※魔弾の射手がどのように生み出されたかは謎に包まれたままである。
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私が持つ魔銃は“魔弾の射手”と呼ばれているが、正確には魔銃に憑いている射手の事なのだ。
同様に、魔剣には“剣士”、マジックスタッフやクォータースタッフには“マスター”と呼ばれる物が憑いているらしい。
バァンッ!!
「っ!?」
いきなりノックも無しにドアが開けられ驚いて掴んだ魔銃を入り口に向けた。
「待て!撃つな!」
両手を胸の辺りまで上げてシュタルクが言う。
「何だ、あんたか…。」
その言葉を聞いてシュタルクの目が吊り上がる。
「何だ、あんたか…。じゃねぇ!早くここを出ないと不味いぞ!!」
「っな!?」
だが、そう言ったシュタルクの後ろから騎士達が雪崩れ込んでくる。
しかも、既に宿屋の周囲は騎士団によって包囲されているようだった。
騎士達に向けて魔銃を構えたがシュタルクを盾にされ撃てそうにない。
「くっ。」
どうする?
シュタルクを見捨てて逃げる事はできる。
だが…しかし…バジリスクを討伐した報酬は彼が持っている。
それに一宿一飯の恩もある。
魔銃を構えたまま決断しきれず悩んでいた。
と、騎士達が左右に分かれ何事かと思っていたら少女にしか見えないエルフが長い銀髪を揺らしながら歩いてきた。
『っつぅ!?』
彼女を見た途端に頭がズキンと痛む。
それと同時に頭の中に流れる映像。
『私は…彼女を知って…いる…?』
失われた私の記憶と何か関わりがあるらしいエルフ族の少女を見詰める。
「ふふふ…。生きていたなんてね。」
そう言って片側だけ口角を上げニヤリと嗤う。
「しぶといもんでね。簡単になんて死んでやらない。」
記憶が無いのを悟られないように適当に言葉を返す。
歩みを止めず私の目の前まで来た彼女が魔銃に手を掛けた。
「何を!?」
「私がもらって上げるのよ!」
あっさりと取られてしまった私に魔銃を向けて構え口元を歪めて嗤う。
「魔弾の射手…、長く生きた私でも初めて見たわ。これこそ私に相応しい魔銃よ。」
そう言って、興奮しながら空いた方の手で愛おしそうに魔銃を撫でる。
『魔銃を奪っても撃てないんだけどな。』
心の中で呟く。
シュタルクが言っていたのだ。
魔銃は使い手を選ぶ。と、だから私以外には撃てない筈。
しかし、喜べる状況でもない。
どうやって魔銃を奪い返してここから逃げ出すか?
『難問だな。』
けれど、彼女はそんな事は何でもないように魔銃に魔力を込めていく。
『本当に私以外に撃てないのよね。』と不安になる。
その時だった。
«くっそ不味い魔力無理矢理流し込んでんじゃねぇよ!!»
「「「「え?」」」」
突如として頭の中に声が響く。
念話?
声が響くといっても本当に音声として声が響く訳ではない。
頭の中に台詞が閃くと言った方が正確かもしれない。
念話の声の主に、その場に居た私を含めた全員が驚愕する。
が、次の瞬間、物凄い勢いで魔銃が魔力を放出しだした。
『ヤバい!』と思った次の瞬間、私とシュタルクはその場から跳ばされたのだった。




