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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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63/67

62.

 思い出した。

 あの少年の名前は確か ──


「…クライス…?」


 「っ!?」


 今度は相手が驚く番(ばん)だった。


 けれど私はその事に気付かないふりをしてその場から立ち去った。


△▽△▽△▽△


 竜化できるということは、ずば抜けて魔力が高い証拠で、恐らく魔力操作によって魔力量を抑えていたのだろう。

 

 などと考えながら、トボトボと歩きながら感傷に浸っていた。


 のがマズかった。


 いきなり後ろから肩を掴まれ、そのまま強制的に回れ右をさせられた。


 顔を上げると、翡翠色の瞳が目の前に。

 その瞳に不思議そうに首を傾げる私その上が映っている。


 バサリと頭から何かを被せられた。

 見るとフード付きのマントだった。

 マントを羽織り、フードを目深に被った。

 

「こちらへ。」


 私の父よりも十歳ほど若い官吏の制服を着た男に腕を引かれ、そこから移動させられた。


 官吏でも管理職よりもかなり上の者が着る色の制服に、『若いのに優秀なのだな。』と思っていたのだが…。


 王城の敷地外まで出てから自己紹介された。


「仮ではありますが現在宰相を務めさせて頂いております。フリッツ・グリューネ・ケプラーと申します。」


「マグノリア…です。」


 おずおずと頭を下げる。


「知ってます。それよりも、何で貴女がここに居るんですか?死にたいんですか?」


「申し訳…。」


「謝罪は、結構です。私が行くまでこのまま大公国で待っていて下さい。では。」


 それだけ言うとあっという間に馬に乗せ、馬の尻に鞭(ムチ)を入れた。


△▽△▽△▽△


 あのまま、訳もわからず大公国に着いた私は今、大公邸に滞在している。


 最初から大公閣下には話が通っていたらしく、和(にこ)やかに迎え入れられた。


 そして、数日後に宰相(仮)とクライスが大公邸にやって来た。


 彼等の話によると、護送する時間が早まった為に国境で放り出されたらしく、本当なら大公邸まで送って貰える予定だったようだ。


 大公邸に伝令を走らせるつもりが、エルフ・ハイエルフ族の軍勢が王都へと侵攻して来た所為で行き違いになり、現在に至る。という話だった。


 道理で私の剣が都合良く大公閣下の手にあった訳だ。と納得した。



そして本題 である王都陥落の話 ──


 王都に入る大門が破壊され、逃げ遅れた沢山の者達が犠牲になった。


 王城から打って出た騎士や兵士達が奮闘して押し返せそうになったところでモルガーナが真打ち登場とばかりに出張って来てから形勢は逆転。


 何とか持ちこたえていたのだが、モルガーナの魔法に苦戦を強(し)いられ、対モルガーナ戦にパーシヴァルが参戦したのだが…。


 モルガーナの魔法を対消滅させるつもりで放った竜の怒り(ツォルンデスドラッヘ)よりもモルガーナの魔法の威力が高く対消滅させる事ができずに王城が吹き飛んだらしい。


 モルガーナとその場に居たエルフ・ハイエルフ軍の生き残りも吹き飛ばされたと思われるがその後の事まではわからない。


 幸い、王城に残っていた味方の者達は結界内にいた為、結界ごと遠方まで飛ばされていた。


 そして、順次帰城しているところへ私が王城に居たのだという。


「いや~焦りましたよあの時は。国外追放された者が許し無く国内に入れば処刑一択ですからね。まさか知らなかったなんて事、無いですよね。」


 勿論、知っていた私は俯く事しかできなかった。


 ケプラー宰相(仮)との遣り取りをクライスは呆れ顔で見ていた。


 大公閣下は笑いをこらえて肩を震わせていた。


~~~~~~~


お付き合い(お読み)いただき

ありがとうございます!

(*・ω・人・ω・)




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