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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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62/67

61.

 王都陥落の知らせを聞いた翌日に王都へと到着した。


 王都の入り口である大門は破壊されそこにいた筈の守備隊はおらず、城下町にあった家々は瓦礫と化し、彼方此方(あちらこちら)から炎と煙が上がり、負傷した竜種達の他は、逃げ遅れた人達とエルフ・ハイエルフ族の死傷者達でいっぱいだった。


 私は馬から下りると「大公殿下の所にお帰り。」と言って手綱から手を離した。


 馬はしばらく名残惜しそうにしていたが、大公国の方角へと走り去った。

 その姿を見送った後、私は王城に向かって駆け出した。


△▽△▽△▽△


 王城があった筈の場所に辿り着いた。


「何てこと…。」


 思わず込み上げそうになり両手で口を覆った。


 城門は勿論、四方にあった尖塔も吹き飛び、王城に至っては下三分の一を残し綺麗に消し飛んでいた。


 城にいた者達は?


 王城には宰相を筆頭に大臣達や近衛騎士や警備兵や官吏や女官、使用人達や下働きを含め沢山の者達が働いていた筈だった。


 なのに誰もいない。


 竜種達だけでなく、エルフやハイエルフどころかモルガーナさえいなかった。


 私は、知らず駆け出していた。

 上階に上がる階段を探して。


 だが、私の目に映ったのは宰相府や官吏達が働いていた区画、王族の居住区や玉座の間があった上階が全て消し飛んだ光景だけだった。


「…そんな…。」


 全身が震えその場に膝から崩れ落ちた。


 王城へは王太子妃教育などで通っていた時期があったので沢山の者達が働いていたのを知っている。


 竜種達だけでなく、人間も亜人も本当に沢山の者達が居たのだ。


 なのに残っているのは瓦礫の山だけ。


 私の処分が決まるのがあと一日早ければ…。

 私が駆け付けるのがあと一日早かったら…。

 パーシヴァルの拘束が解かれるのがあと一日早ければ…。


 今更、「~たら」「~れば」を言ったところでどうしようもない事はわかっている。

 けれど、どうしてもそう思ってしまう。


 バサッ!バサッ!と羽ばたく音が聞こえた。


 ハッとして空を見上げるとドラゴンが降下してきた。

 逆光でその体の色まではわからない。


 だが、確かに生きている竜種(なかま)が居た。


 目の前まで下りてきたその体の色は山吹色(黄金色ではない)で、まだ若い雷竜のようだった。


 翼を畳んだ後、人化したその姿は私に似ていた。


 実兄ではない。彼は水竜である。

 ならばこれは誰だ?


 私の記憶が確かならば、近しい身内に雷竜は居ない筈。


 固唾(かたず)を飲んで見ていると、眉間に皺を寄せて私を睨み付けているように見える。


 訝(いぶか)しげに見ているとすぐ目の前まで来た。


「何故、国外追放処分を受けた者がここに居る?」


 その言葉に一歩後退る。

 そして、片膝を突いて胸に拳を当てて言った。


「貴方は…?いや、そうだな。国外追放された平(・)民(・)でも助けになればと思い、馳せ参じました。」

 

 そして頭を下げた。


「今(・)の(・)貴女にできる事など無い。早々に立ち去られよ。」


 冷めた口調で言われ無言で頷き立ち上がった。


「出過ぎた事を致しました。ご厚情に感謝すると共に御前失礼致します。」


 踵(きびす)を返し、立ち去ろうとした時に相手が言った。


「貴女が義姉上(あねうえ)になる日を楽しみにしていたのですよ。」


「っ!?」


 その言葉に、まだ幼い笑顔を思い出した。


「義姉上と呼んでもいいですか?」


 そう言って嬉しそうに笑ったあの眩しい笑顔を…。


~~~~~~~


お付き合い(お読み)いただき

ありがとうございます!

(*・ω・人・ω・)

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