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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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59.

 ─ マグノリア side ─


 ある日、実兄のブリッツに呼び出された。


 モルガーナ率いるエルフ・ハイエルフ族との戦いからしばらく経ってからの事だった。


 執務室に入り、実兄からされた話


「モルガーナがこのまま引き下がるとは思えない。」


 確かにその通りだと私も思っていた。

 いや、そう思っていたのは私達だけではなかっただろう。


 だからその言葉自体は何らおかしいとは思わなかった。


 問題は次に話された内容だった。


「モルガーナの魔法に対抗するには、こちらも魔法を習得して極める必要がある。」


 これに関しては一理あるとは思うものの必要性となると甚だ疑問を感じずにはいられなかった。


 そもそも禁忌とされていた理由が“過ぎた力は破滅しか齎さない”という物だったからだ。


 なのにこの日を境に度々呼び出される事となる。


 正直、「結果的に役に立てば功績を認められる。」という実兄の言葉を肯定する気は鼻から無かった。


 禁忌を犯せば責を問われるのは当然であると思っていたからだ。


 だが、考えているうちに思った。


 モルガーナが新たな魔法を作ろうとしていると報告を受けていたからだ。


 だが、こちらも魔法を習得してモルガーナが使った魔法を無効化できる魔法を作る事ができたら…。


 次第にそう考えるようになっていった。

 勿論、自分の中に芽生えたその考えを何度も否定したりもした。


 けれど、とうとうその考えを振り払う事ができなくなった。


 私の中にたった一つだけ悍ましい不安が消えなかった所為でもある。


 消せなかった不安 ──


 それは、魔族や魔獣の中に“番”が現れたら…。

 そう考えただけでその悍ましさに怖気(おぞけ)が走った。


 そして、私は誰にも告げる事なく魔法を習得する為に、様々な魔法に精通していると聞いていた、この国にある神殿のイー神官長に会いに行った。


 パーシヴァルには二度と会えなくなるかもしれない事も処刑されるかもしれない事も覚悟の上だ。


 何より、このまま竜種が滅びていくのをただ見ている事しかできないのが嫌だった。


△▽△▽△▽△


 イー神官長は小柄で禿頭(とくとう)、白くてふさふさの眉で目が隠れた、白くて長い顎髭の好々爺といった風貌の方(かた)だった。


 不思議な人で、私が来る事とその目的はとっくに知っていたようで、こちらが話をする前に苦言を呈された。


 けれど、私の意志が強いとわかって大きな溜め息を吐いた後「馬鹿者が。」と諦念を滲ませて言い、悲しげに微笑んだ後「いや、大馬鹿者じゃな。」と更に言った。


 そして、イー神官長は私の記憶から番であるパーシヴァルに関する記憶を消していく。


 パーシヴァルとの思い出や記憶が消えていく度に大切な欠けてはいけない何かが失われていく。

 私はそんな喪失感に震えながら耐えていた。


 パーシヴァルとの思い出や記憶が全て消えた後、ぽっかりと開いたそこには途轍もない虚ろな物でいっぱいになり感情が一気に削ぎ落とされたようだった。


△▽△▽△▽△


 魔法を習得した後、実戦訓練と魔法の構築に明け暮れた。


 何とか新たな魔法を構築でき、王都に戻った私はパーシヴァルと対面したが感情も心も動く事はなかった。


「何故!」、「どうして!」と詰め寄るる彼をぼんやりと見ていた。


「そんなの…これが最善だったからに決まっているでしょう。」


 感情の籠もらない声で答えた後私は拘束され牢に入れられた。


~~~~~~~


お付き合い(お読み)いただき

ありがとうございます!

(*・ω・人・ω・)


 


 

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