58.
番である俺を忘れ、魔女になってしまったマグノリア。
「何故!」 「どうして!」と彼女に詰め寄る。
「そんなの…これが最善だったからに決まっているでしょう。」
感情のない冷めた目で言う彼女に絶句する。
目の前にいるのは最早彼が知っているマグノリアではなかった。
平然と言い放つ姿に彼女の家族も俺の家族も彼女を責めた。
いや、彼女の家族の方が苛烈だっただろう。
結果、彼女は拘束され処分が決まるまで牢に入れられ鎖で繋がれる。
その時彼女を助けようと暴れた俺は“竜譫香”を嗅がされ拘束されると、全てが終わるまでその香が焚きしめられた部屋に幽閉された。
貴族籍の剥奪及び国外追放 ──
それが彼女に下された処分だった。
そして、幽閉されていた俺が解放されたのは全てが終わり“番忘れ”を飲まされた後であった。
解放後、しばらくは監視が付けられ執務だけを熟す日々が続いた。
だが、体の中にぽっかりと大きな穴が開いたように常にどこか欠けたような感じがして不安になる。
それは“番忘れ”を飲んだ者特有の副反応のような物で、誰にもどうする事もできない物だった。
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※以下、俯瞰視点にて話が進みます。
エルフ・ハイエルフ族もあれっきりなりを潜めているのか、これと言った争いなど無いままあの戦いから三百年ほどが経っていた。
その間、エルフ・ハイエルフ族の女王モルガーナは虎視眈々と機会を窺っていた。
そんな中で齎された竜王と婚約者の婚約破棄騒動とその顛末。
裏でモルガーナが糸を引いていたなど誰も思いもしなかっただろう。
騒動の原因となった竜王の婚約者。
その彼女を魔女になるしかないと思い込ませ追い詰めたのはブリッツ・ハウプシュタット侯爵。
彼女の実兄であった。
母親の死を切っ掛けに元々兄妹仲は良くなかった。
実妹を殺める事も陥れる事もできなかった男を利用する為に毒を注ぐ。
目の前にあれば、不快感や憎しみ苛立ちしか齎さない者を、手を汚す事無く排除する事ができるのだと。
洗脳の魔法と共にその耳に囁く。
何度も何度も。
国の為、竜王の為に魔法を習得して極めるのだと、例え反対されたとしても結果的に役に立てれば誰も咎めはしない。それどころかその功績を認めてくれるだろう。
そう実妹を説得すればいいと。
そしてその毒はじわじわと浸透していき、時間を経て効いてきたのだ。
思い通りになりモルガーナはほくそ笑む。
ただ彼女の思い通りにならなかった誤算とも言うべき事が幾つかあった。
その中でも大誤算とも言うべきは、トカゲと見下し侮っていた竜種が、魔法を習得し極めるとは思ってもいなかった事と自分がかけた呪いがエルフ・ハイエルフ族を滅ぼす原因となってしまった事だった。
そして、エルフ・ハイエルフ族と竜種の最終決戦に繋がる前哨戦の火蓋が切って落とされた。
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※竜譫香
竜を譫妄状態にする香。
主に暴走し暴れた竜を拘束する為に用いられる。
(作中で使用する為に作者が勝手に作った造語です。勿論、実際には存在しません。)
※いつものプロット無し、見切り発車でのぶっつけ投稿で、設定や時系列等の加筆修正をしました。
お付き合い(お読み)いただき
ありがとうございます!
(*・ω・人・ω・)




