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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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57.

 マグノリアとの出会いが俺を覚醒させた。


 “モルガーナの呪い”後に産まれた俺は番を認識する事はできなかった。


 だが、マグノリアと出会い、覚醒した俺には彼女が番だとわかった。


 しかし、俺と同じく“モルガーナの呪い”後に産まれたマグノリアは未覚醒の為、俺を番と認識する事はできなかった。


 だが、俺が彼女を番だと認識できた事で二人は婚約を結ぶ事ができた。


 番だからというだけでなく、似た境遇で育った俺達は同じ痛みを経験した者同士寄り添い合えた。


 その事は素直に喜べたが、それと同時に覚醒は俺にとっていらない物まで齎した。


 それまで漆黒一色だった髪に黄金色が混じり、夜闇の瞳の輪郭が黄金色に変わった。


 中途半端な色合いだが、俺は黄龍として覚醒してしまったのだ。


 その事で俺は更に義母から憎まれる事になった。


 俺が覚醒するまでは、一族の中で最も高い魔力を有していた義弟を後継ぎの座から下ろす事になったからだった。


 竜種は実力主義の為、一族の中で一番強い者が玉座に着く。


 その順位が入れ替わったのだ。

 

 それだけでなく、黄龍は竜種を統べる王でもあるのだ。


 これにより俺は雷竜の王であり、竜種を統べる王でもある存在となった。


 そんな俺の番であるマグノリアは一族の中での扱いが変わった。


 婚約する上でハウプシュタット侯爵家とマグノリアの事を調べてわかったのだが、彼女は先代のハウプシュタット侯爵当主夫妻の実子ではなく、他大陸の貴族に嫁いだ夫人の義妹(庶子)が産んだ娘で、侯爵家の養子であった。


 夫人は庶子である義妹を酷く嫌っていたが、義妹が出産後しばらくして亡くなった事から、賢者が先代当主に頼み込んで養子になったのだった。


 ハウプシュタット侯爵家で冷遇されていたが俺と婚約した事で、将来竜王妃となるマグノリアを表(・)立(・)っ(・)て(・)蔑む者はいなくなった。


 飽くまでも表立って…、ではあるが。


 それでも以前よりはマシになり、彼女の表情は明るくなった。

俺限定ではあるが笑顔を見せてくれるようにもなり、美しくなった。


 “呪われた子”として人の姿で産まれたが、未分化ではなく最初から性別を持っていた。


 婚約者として交流を深める為に月に何度か彼女と会った。


 何を話す訳でもない、人と接するのが下手な俺の背に凭(もた)れてマグノリアが絵本を読んでいて、気付けば隣で猫のように丸まって眠っている。


 ただそれだけで満たされた。


 そんな居心地の良い日々に、早く彼女が成人して結婚できる日が来るのを指折り数えて待ちわびた。


 なのにそんなささやかな幸せを壊すように、突如としてハイエルフ・エルフ族が攻めて来た。


 それが八百年前の事だ。


 ハイエルフ・エルフ族の猛攻に竜種側は悪戦苦闘するも善戦し、これを何とか退(しりぞ)ける事ができた。


 だが、この戦が齎した被害は甚大で、戦後しばらくしてマグノリアは俺に何も告げる事なく姿を消した。


 そして、再び姿を見せた時には魔女になっていた上、番である俺の事も忘れているようだった。


 竜種達の間では魔女になる事は禁忌とされていた。


“過ぎた力は破滅しか齎さない”


 昔から語り継がれ守られてきた戒め。


 その禁を破ったマグノリアは、俺との婚約を破棄され、貴族籍をも剥奪された上で追放処分を受けた。


 そして、俺には“番忘れ”の薬を飲ませるという処分が下され、俺達二人は番(相手)である事を忘れ、五百年前の戦争でそれぞれの戦いを繰り広げる事になった。


~~~~~~~


お付き合い(お読み)いただき

ありがとうございます!

(*・ω・人・ω・)


 

 


 


 

 

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