56.
※過去編、数話続きます。
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存在①
夢を見た ──
どこかの庭園らしき場所、植え込みの陰で座り込み、声を殺して泣いている少女。
あぁ…あれは私だ。
俯瞰して見ている私にはすぐにそれが私だとわかった。
母は卵で産まれず、人の姿で産まれた私を嫌っていた。
“呪われた子”だと。
その頃、既にモルガーナの呪いによって竜種だけの番はなくなり、それまでは卵で産まれていた子供も、卵だけでなく人の姿や幼体で産まれてくるようになっていた。
だから卵以外で産まれた子供は皆“(モルガーナに)呪われた子”と呼ばれ忌み嫌われていた。
その上、水竜一族の色を持たずに産まれた私の白い髪と瞳も、母は気に入らなかったようだ。
おまけに魔力量も少なく体も弱かった所為か同じ年の子供と比べて小さかった。
全てにおいて劣る私は水竜一族の厄介者で忌み子だった。
だから産まれてから一度も母に触れられた事も乳を与えられた事も無い。
最初は空腹に泣き声を上げていた私がそのうち泣かなくなり、飢えて衰弱していくのを見かねた乳母が乳を与えてくれなければ生きていられなかっただろう。
だが、そんな乳母も乳を与えてくれただけでそれ以上関わろうとはしなかった。
母親すらそれほど嫌っているのだから周囲の者もその扱いを当然としていた。
誰に愛されるでもなく見向きもされず忌み嫌われるだけ。
物心がつく頃にはそれが当たり前の世界で、乳母のように見かねて世話をしてくれる者がいなければ今こうして生きていなかったと思う。
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存在②
雷竜一族の王の長子として産まれた俺は、一族の色を纏って産まれてこなかった。
漆黒の髪に夜闇の瞳。
母の死と引き換えに幼体の姿で産まれた俺は“呪われた子”、禍々しい存在として一族の中で忌み嫌われていた。
父でさえも母親を殺して産まれてきたと俺を憎んでいた。
そして、父の後妻として嫁いできた義母も俺をいない者として扱った。
だが、そんな父と義母の間に産まれた義弟だけは俺を兄としてしたってくれた。
その事が父と義母の神経を逆なでする事になるのだが、二人が俺を嫌えば嫌うほど義弟は俺を大切な者として扱ってくれた事だけが救いだった。
だからといって、四六時中一緒にいる訳ではない。
父も義母も俺から義弟を引き離そうと必死だったから必然的に離れている時間の方が多かった。
そして、その離れている間に冷遇され、一族の子供達からは虐められる事になった。
その日も俺を蔑み嫌っている子供達から虐められ、面白くなかった俺は道に転がっていた石を思い切り蹴り飛ばした。
「痛っ!!」
植え込みに飛び込んだ石が誰かに当たったようだった。
マズいと思った俺はそのままそこから離れようと踵を返したのだが、幼い子がすすり泣くような声に罪悪感を感じ、植え込みを覗き込んだ。
俺の夜闇の瞳とは正反対の真っ白な瞳の目と合った。
次から次へと溢れ出す涙を流す目を見た瞬間、ドクリと心臓が大きく鼓動を打った。
その幼い少女の目から目を逸らす事ができなかった。
気付けばその涙を袖で拭ってやっていた。
それが俺とマグノリアとの出会いだった。
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(*・ω・人・ω・)




