55.
先頭に立ったヒヒは、目の前を右に左に威嚇しつつ飛び掛かる隙を狙うかのように移動する。
背中合わせになり、私達を取り囲むヒヒの群れと対峙する。
じりじりと私達を囲む輪が狭まっていく。
「上…。」
大きく張り出した木の枝の上にもヒヒがいる。
シュタルク達も気付いているとは思うが一応注意を促す為に言うと、その事は彼等も既に気付いていたようだ。
キィェーッ!!
先頭にいたヒヒが一声短く叫んだのを合図に一斉に飛び掛かってきた。
それぞれがヒヒを殲滅するべく動いた。
木の枝の上にいるヒヒ達を私が魔銃で広範囲麻痺弾を撃ち込み、前方から来るヒヒ達はシュタルクが斬って捨て、左右のヒヒ達はブリーゼ国王とケプラーが討ち取る。
木の枝の上にいたヒヒ達は麻痺すると、白目を剥いて口から泡を吹きながら次々と地面に落ちていった。
シュタルクの剣さばきが凄いのは知っていたが(しかも魔剣)、前方と左右から飛び掛かってきたヒヒ達を討ち取るブリーゼ国王とケプラーも圧倒的速さで剣を振るい、柄頭でヒヒの頭を打ち据える。
私はというと広範囲麻痺弾を撃ち込んだ後、背後から襲い来るヒヒ達に向かって雷撃の魔弾を連射する。
気付けば私達の周囲は斃れたヒヒだらけで、今や立っているのは先頭にいた群れのボスと思しきヒヒだけになっていた。
牙を剥き声を上げ威嚇するヒヒ。
シュタルクが一歩踏み出すと後ろに飛び退る。
そして再び牙を剥き声を上げ威嚇してくる。
「やっちゃっていいですか?」
いい加減焦れたケプラーが苛立たしげに言う。
「「任せた。」」
「え?」
剣を構え直したケプラーがヒヒの前に立つ。
「どうした。かかって来いよサル」
ケプラーの挑発に怒ったヒヒが地面を叩くように手を突き、勢いをつけて襲い掛かった。
ザシュッ!!
目にも止まらぬ速さで左肩から右脇腹にかけて袈裟斬りにされたヒヒが倒れた。
剣に付いた汚れを拭って鞘に収め、こちらに戻って来た。
「さあ、まいりましょう。」
あと半刻もすれば夜が明ける。
ここに止まっていれば再び魔獣に襲われるやもしれず、先を急ぐ事にした私達は再度馬に跨がり王都を目指したのだった。
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「魔銃になったパーシバルを元に戻す術はあるのでしょうか?」
馬を走らせながら賢者との会話を思い出していた。
「さあなぁ…。わしにもわからんがモルガーナを斃した時にその答えが見つかるしれんな。」
「…。」
「あの時の戦いで魔銃になったのなら…その逆も有り得るやもしれんて。じゃが…あてにはできん。なんせ何が起こるかわからん魔法じゃからなぁ…。」
あまり期待できそうにもない言葉だったが今はそれに賭けるしかないようにも思えた。
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