53.
あの後、賢者の話によると「私達の産まれ直しの影響でモルガーナは命拾いしたのだろう。」との事だった。
蛇足ではあるが、魔弾の射手の顔は当時の私の顔に似ているらしい…。
なんか複雑な気分である。
あと、記憶を取り上げられていたのと“番忘れ”を飲まされていた事の影響か、お互い番を認識する機能の方は戻っていないようで…。
けれど彼の方は何となく認識しているしれないらしい。かも
中途半端に戻った番を追い求める衝動的本能の方は、今後色々と支障をきたすので消してもらった。
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そして、王都へと帰る事になり大神殿から出てきた。
「王都に戻った後はどうするんじゃ?」
「「「「…。」」」」
賢者の質問にお互いの顔を見合わせた。
「取り敢えず、情報の整理と共有…でしょうか。その上で今後どうするかを決めたいと思います。」
ブリーゼ国王が答えた。
「まぁ、そうするしかないかのぅ。皆、達者でな。」
「「「「はい。賢者様もお元気で。」」」」
そして、私達は各自馬に乗り駆け出したのだった。
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行きと違って帰りは急ぐ為に街道を通る事にしたのだが…。
仰々しくも煌びやかな一団が前方に見えた。
彼等の手前で馬を止めると一斉に跪く。
「高邁なる国王陛下におかれましてはご健勝の事とハウプシュタット領主ブリッツがご挨拶と共にお慶び申し上げます。」
先頭にいる男が言うとブリーゼ国王は頷き、短く「うむ。」と答える。
「して、ハウプシュタット侯爵におかれては何用か?挨拶だけにしては些か大仰過ぎるように思われるが…。」
警戒心を隠そうともせず側近のケプラーが言った。
ブリッツの顳顬に青筋が浮き上がり、貼り付けた笑顔が引き攣る。
だが、私に気付くと口角を僅かに上げ口元が歪み、向けられた笑顔の目は笑ってはいなかった。
「そちらの方々は?」
私から視線を外さず言った。
「馬上にて失礼する。レベンディヒシュタビール王国、国王が側近カール・ヨアヒム・エーレンフリートと申します。こちらは従者のシュッツェーリアと申す者。見知りおき下され。」
「シュッツェーリアと申します。」
紹介され頭を下げるが後頭部に刺さる視線が痛い。
恐らく実妹のマグノリアだと気付いているのだろう。
実兄だというのにどれだけ嫌われていたんだと今更ながら思う。
このままでは埒があかないと考えたのだろう。
側近のケプラーが言った。
「再度問う。何用か?」
流石国王の側近と言うべきか、強い威圧を込めてブリッツを睨めつけている。
「我が領地に国王陛下がお出でになったと聞き及びまして、遅ればせながら馳せ参じました。」
「此度は非公式故及ばず。」
大仰に言うブリッツに、取るに足らないとばかりにまたも短く答える国王。
塩対応がデフォルトのようだ。
「ははー。仰せのままに。」
「参るぞ。」
頭を下げるブリッツの前を通り過ぎると馬に鞭を入れ駆け出す。
その後ろを同様に私達も王都へ向け駆け出した。
その背にブリッツの怨念が籠もったような視線を感じながら。
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