50.
目の前で好々爺然としてニコニコしている賢者。
「どうやら、お二方とも“アル”にお会いなさったようじゃな。」
「アル?」
「さよう。エクラの元神官長ならアルに間違いないでしょう。で、わしは“イー”と申しますじゃ。わしら以外にも各大陸にある神殿の幾つかにもおりますがの。」
「「…。」」
思わず私とシュタルクは顔を見合わせた。
双子かと思っていたが違ったらしく、しかも各大陸と言っていた。
それだけの人数が同じ姿形をしているというのは凄く不自然で、目の前の笑顔すら薄ら寒く感じてしまう。
「不審に思うのも仕方の無い事じゃな…。だからと言ってお前さん方に危害を加える気など毛頭ない。要らぬ心配はせんことじゃ。」
シュ:「し、しかし…。」
「わしらはただ主に後の事を託されただけじゃ。」
私:「それって…?」
「すまんのぅ…。主との約束でそれは言えんのじゃ。」
「「…。」」
「…と、ここへ呼んだ用を済ませてしまおうか。」
国王:「やっと本題に入るのか。」
「じゃが、お前さんは単なるおまけじゃで黙って見とれ。マグノリア、お前さんに渡さんといかん物があってなぁ…。こっちへ来てもらえんか?」
呼ばれて賢者の前に進み出た。
「ちと、屈んでもらえんかのぅ。」
言われて膝を突いた。
「まだ時期が早いと思わんでもないが…、時間があまり無いでなぁ。すまんな。」
そう言って私の額に手を当てる。
額に当てた手がぼんやりと鈍く光ると同時に額が熱くなる。
「こんなもんじゃろうて…。」
そして、額を指でトンと軽く叩いた。
その時、視界が真っ暗になり地面がぐらりと大きく揺れたのを最後に意識が途切れたのだった。
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暗い中、歩いていると前方にぼんやりと鈍く光る灯りが見える。
どうやらそれを目指して歩いているようだ。
その光の中に誰かがいる。
賢者と呼ばれているおじいさんだ。
そして、その前に私がいた。さっきと似た光景だが、私の額に当てられた指先に光が集まっていた。
その光が消えると同時に私が倒れた。
暫くして目を開けた私の顔から表情がごっそりと抜け落ちていた。
そこからは賢者と私の二人で魔法の訓練と術式の組み立てや組み合わせの勉強をしたり、剣術の訓練をしている。
初めは他人の記憶のような映像を見ているように感じていたが、暫くすると自分の記憶だと自覚しだした。
そして、蛍の光のような物が胸の辺りで消えた。
そこからは記憶の奔流に飲み込まれ、次々と記憶が蘇る。
その膨大な量に目眩がして吐き気に襲われる。
やがて目覚めた時には船酔いの時のように最悪だった。
「…。」
「目覚めたようじゃな。気分はどうじゃ?」
聞かれた私は「…最悪だ。」と答えた。
「モルガーナと最後に対峙した時の事は?」
そう聞かれ、「思い出した。」と答えた。
けれどそれは二度と思い出したくもない記憶で、それでも思い出さなければいけない記憶だった。
※ストックが無くなったので、今日から不定期更新になります。
ご迷惑をおかけしますが【完結】までお付き合い(お読み)いただけたら幸いです!
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お付き合い(お読み)いただき
ありがとうございます!
(*・ω・人・ω・)




