45.
「お待ち下さい。」
シュタルクが私の前に出る。
「貴殿は?」
問われて彼は、略式ではあるが胸に手を当て腰を折り騎士の礼をした。
「レベンディヒシュタビール王国、国王が側近、カール・ヨアヒム・エーレンフリートと申します。」
(※以降も公式の場で名乗る等以外はシュタルクと表記します。)
「!?」
責任者と思しき騎士が驚く。
カール・ヨアヒム・エーレンフリート、レベンディヒシュタビール国王の実弟の名前に驚くのは当たり前だ。
同行を求める相手にシュタルクが国王からの書状を見せ、何やら話し込んでいる。
やがて渋々といった感じで責任者らしき騎士が頷き王城まで移動する事になった。
同行するといっても拘束される訳ではないらしく前後左右を騎士達に囲まれての移動となった。
少し離れた場所に黒塗りの馬車が止められていて、どうやらその馬車に乗って王城まで移動するようだ。
しかし、馬車までとはいえ団体での移動は目立つ事この上なく、嫌でも周囲の視線を集めてしまう。
何だか大仰すぎて嫌だな。
そう思いながら隣を歩くシュタルクの方を見たら、仕方ないとばかりに肩を竦めて見せる。
まぁ、そうなんだけどね。
馬車に乗り、動き出してからは窓の外をぼんやりと眺めながら、この国の国王は誰なんだろう?と思った。
五百年前の私を知っている人物なのだろうか?
それともシュタルクのように五百年前の事を知らない人物なのか…。
そんな事を考えているうちに王城に到着したらしい。
とはいっても国外追放された者を乗せているから正面からではなく、裏にある門から王城に入って行った。
王城の中、長い廊下を騎士達に囲まれて進む。
どこをどう進んだかわからなくなった時、数ある部屋の内、一つの部屋の扉の前で止まった。
てっきり謁見室に連れて行かれると思い緊張していただけに何だか拍子抜けした。
二人の騎士が左右両側から扉を開く。
先頭にいた騎士が手だけで部屋の中に入るように促す。
促され私とシュタルクは部屋の中に入った。
真っ直ぐ奥へと進むと、正面に大きな執務机があり、その向こう側にシュタルクと年の変わらなさそうな青年が座っていた。
「陛下、お連れしました。」
立ったまま胸に手を当て頭を下げる騎士が告げると、書面にペンを走らせながら「わかった。」と答えた後ペンを置くと、顔を上げ私達を見た。
「遠路はるばるようこそ。余はクライス・ルフト・ブリーゼという。」
そう言った彼の顔はどこかで見たような…?
「「え?」」
その顔が私によく似ている事に驚く。
シュタルクの方を見ると、私の顔とブリーゼ国王の顔を何度も見比べていたので、肘で脇腹を突くと慌てて膝を折り、二人とも頭を垂れて挨拶をする。
「「国王陛下におかれましては…。」」
「よい。堅苦しいのは抜きだ。」
と挨拶を途中で止められ姿勢を戻す。
「どうした訳か、其方の顔は余に似ておるようだな。」
「お、恐れ多い事です。」
あまりの事に恐縮する。
「だが、ハウプシュタット侯爵家には過去に降嫁した王族もいたというから似ていても不思議ではないか。」
「そう…なのですね。」
と、そこで隣の部屋から出てきた侍従が、お茶の用意ができたと知らせに来た。
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