44.
放たれた矢は真っ直ぐ上空へ。
そして、真っ直ぐ天高く駆け上がった魔弾の矢が上り詰めた所で爆ぜた。
降り注ぐ光の粒が透明な半球の形となって魔獣に覆い被さる。
やっば!!
急いで自分自身と味方に結界を張る。
次の瞬間、半球内で爆裂魔法が炸裂する。
半球内は爆裂魔法の光と煙で真っ白に。
暫くして半球が消え、中に籠もっていた煙が風に流されて消えるとリーゼンクラッベクラーケの姿はどこにも無かった。
結界に包まれた私達は空中を漂いながら船上…甲板の上へ。
結界が消え去り乱暴に甲板に投げ出された。
「痛っ。!」「いてっ!」「っくっ!」等、彼方此方から声が上がる。
けれど私だけは柵の所へ猛ダッシュした。(オボロロロ…。)
そして前回同様意識を失ったのだった。
△▽△▽△▽△
─ ブリッツ side ─
五百年…
五百年だぞ、何故今更戻って来た!!やっと解放されたと…消えてくれたと思っていたというのに!
持っていたハーヴィーからの手紙を手の中でクシャリと握り潰す。
予感はあった。
古の都ポラールリヒトの上空へと立ち上った光柱 ──
預言者達の言葉、貴族達の囁き。
まさか…
もしや…
そう思いつつも、
違う!
そうである筈がない!
何とか自分を誤魔化してきたが結果は ──
やはりそうだったか…。
これまでの可もなく不可もない俺への評価が…、再び馬鹿馬鹿しくも比較される物へと変わる。
父のように賢主と讃えられたい訳ではない。
だが、昏主や暗主などと呼ばれる事は耐え難い。
だから五百年前、俺の助言通りに彼奴が魔法に手を出した時には涙が出るほど嬉しくて泣いた。
その上、父から失望され貴族籍を剥奪され、国外追放された時には祝杯を挙げたというのに。
どこまでいっても忌々しい奴!
まぁいい。今はこの俺がハウプシュタットの領主。
俺こそがハウプシュタット侯爵なのだからな。
都合の良い事に彼奴は記憶を失っているらしい。そこを上手く利用する手を考えれば…。
そして、彼奴を油断させて魔銃を取り上げ、俺の物にしてしまえばいい。
そうすれば魔銃を手にした俺はエーデルブルクの魔女すら従わせる事ができるかもしれない。
その日の深夜、ハウプシュタット侯爵邸に侯爵の高笑いが響いたのだった。
△▽△▽△▽△
リーゼンクラッベクラーケとの戦いから三日後、船はウールシュプルング大陸(王国)の王都ゾイレの港へ入港した。
意識を失った後、三日間眠り続けていた私はまだ船酔いでふらついていたものの、吐きそうではあったが幾分かはましだった。
下船する客達の列に並んでその時を待っていた。
入港した際に見た港は賑わいを見せていたが、客が下船しだすと騎士達がどこからともなく現れ、瞬く間に物々しい雰囲気に包まれていった。
そして、私が下船した途端に騎士達にぐるりと周囲を囲まれる。
「失礼ですが、あなたの名はマグノリアで間違いないですね。」
「はい。」
「申し訳ありませんがご同行願います。理由はわかっていますよね。」
理由なんてわかりすぎるくらいわかっている。
いくら五百年が経っているといっても国外追放された身だ。
こうなる事は想定内だから同行するつもりではあった。
問題はその後だ。
処刑される為にここへ来たのではないのだから。
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お付き合い(お読み)いただき
ありがとうございます!
(*・ω・人・ω・)




