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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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39/67

38.

 …で、

あれからどうなったかというと…。


 何故か殺されもせず生きている。


 何故だ?

 不気味だ。

 飯は美味い。うん、これ大事。


 目覚めて暫くは食事に毒でも入っているんじゃないかと警戒していたが、気にするだけ無駄だったと今ならわかる。


 やっぱり、アレだろうか?


 竜種はプライドが高い。


 私が回復してから正々堂々真っ向勝負を挑むつもりなのかもしれない。


 なんて面倒臭い奴。


△▽△▽△▽△


 てな事を考えたりしながら時間だけが過ぎていき、何とか体を動かす事ができるようになった頃、突如としてこの部屋に国王が現れた。

 

 食後のデザートを楽しんでいた私は、あろうことかデザートを落としてしまった。


っく、不覚。


「…。」

「…。」


 お互い黙したまま睨み合いが続く。


 先に口を開いたのは国王の方だった。


「…あの後、トドメを刺そうとしたら従兄上が立ちはだかった。」


「…で?だから何?」


「お前は何者だ?シュタルクの言うように本当に“混沌の魔女”なのか?」


「混沌の魔女?何それ…?っていうか知らないし、わかんないんだけど。」


「…はあぁ。本当に何も覚えていないんだな…。」


 疲れ切ったように国王が言う。


「…。」


 何も覚えていない私には返す言葉も無かった。


「何がどうしてそ(・)う(・)なったか…知りたかったが記憶が無いのならしょうがない。」


 そう言って悲しげに口元を歪めて嗤う。


 そして、女官に指示を出し使用人に落ちたデザートを片付けさせるとベッドの端に座った。


「記憶を取り戻す為に、俺が知っている五百年前の事を話そう。」


 国王は淡々とその当時の事実だけを話し出した。


△▽△▽△▽△


※以下、しばらく国王視点となります



 五百年前、古(いにしえ)の都ポラールリヒトが瓦礫となった時よりも更に遡る事三百年、つまり八百年前、突如ハイエルフ達が攻めてきた。


 長命故に子ができ難い為に数を減らし続け、絶滅を危惧されていた竜種は、神から番という新たなシステムを与えられ、順調に数を増やし絶滅の危機を脱していた。


 だが、エルフ族の中でも特にハイエルフといわれる種族は“神々に最も愛される種族”だと豪語して、他種族を侮蔑して嫌厭する選民意識の塊みたいな種族。


 当然、他種族達からは嫌厭され、同じ種族である筈のエルフ族達からも蛇蠍(だかつ)の如(ごと)く嫌われていた。


 そんなハイエルフ達は竜種だけが“番”というシステムを与えられ、絶滅の危機を脱した事に対してとても憤慨していた。


 というのも竜種同様、長命なエルフ族も緩(ゆる)やかではあるが数を少しずつ減らし続けていた。


 当時ハイエルフやエルフ達の女王だったモルガーナは竜種を下に見て嫌悪していた為、番システムだけでなく竜種の排除を望み、その根絶を声高に訴える急先鋒として有名だった。


 特に竜種の代表格である従兄上と婚約者に対し、何かにつけ因縁をつけては絡んで来ていた。


 従兄上もモルガーナの顔を見るのも嫌だと顔に出るほど辟易していたが、婚約者に対する扱いは目の敵にしていると言ってもいいほど酷かった。


 最も、竜種は傲慢で選民意識の塊みたいなハイエルフ達の天敵として神々に作られたと伝えられていたから、攻め込んで来た時はやっぱりなと思った。

 

 その時は退(しりぞ)ける事ができたのだが竜種とハイエルフ達の関係は悪化の一途をたどった。


 そして、エルフ族は五百年前に再び攻め込んで来た。


 その時、モルガーナの手には一丁の魔銃が握られていた。


~~~~~~


お付き合い(お読み)いただきありがとうございます。

(*・ω・人・ω・)

 



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