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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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36.

 ここは…?寒い…。


 灯り一つない暗闇の中を歩いている。

 寒くて寒くて堪(たま)らない。

 それに体中がギシギシと軋むように痛い。


 何でこんなに暗いの?

 何でこんなに寒いの?

 何でこんなに痛いの?


 そんな疑問を抱(かか)え、寒くて凍えそうな状態の中、目が覚めた。


 最初に石を敷き詰めた床が見えた。次に見えたのは暗い室内(?)だった。


「つっ!?」


 石床の上に転がされていた所為か、起き上がった時、体のがあちこちが痛かった。


 何で…?


 こんな所にいる理由がわからない。


 ゆっくりと辺りを見回しながら手探りで床を這う私の目の前に檻が…。


「え?檻?え?何で?」


 どうやら牢に入れられたらしいとわかり更に混乱する。


 落ち着け、落ち着いて…そう…考えるのよ。ここで目覚める前の事を…。


 ゆっくりと直前までの記憶を呼び起こす。


 そうだった…。


 魔銃を見せた後、いきなり国王に締め上げられたのだと思い出した。


 丸から縦長に変わった国王の瞳は激しい怒りに染まっていた。


 あの時、国王は何と言った?


「従兄上を贄にして魔銃を手に入れたのか!!」


 確か、そう言っていた。

 従兄上とは誰の事だ?


 いきなり締め上げられる理由も生贄を捧げて魔銃を手に入れる理由もわからないこの時の私は、国王が魔銃の使い手を厄災を齎す者だと考えている者達か、モルガーナの仲間のどちらかだと思った。


 それよりもシュタルクが裏切っていたかもしれない事がショックだった。


 ここへ来るまで彼は、ヒモ生活を満喫しているみたいでも、信頼に値する言動しかなかった(と思う)。


 しかし、彼が亜人で竜種かもしれない事は薄々わかっていた。


 恐らく彼はこの国で生まれ育ったのだろう。

 ならば生国を裏切る事など出来ないだろう。


 何故なら、竜種とは律儀な種族だからだ。


!!

そうだ、魔銃!!


 取り上げられたかと思ったが、手の平に現れた魔銃を見て安堵の息を漏らす。


 シュタルクに裏切られたかもしれない今、信じられるのは自分自身と魔銃だけ。


 こんな場所で死んでたまるか!!


 魔銃(相棒)を握り締める。


 が、頭の中に国王の言葉が繰り返される。


「贄にして魔銃を手に入れた。」


 震える両手で握った魔銃を胸に抱える。


「そんな事ない!いつもどんな時でも私と一緒に戦ってくれた。それが贄の上に成り立った関係である筈がない!絶対に違う!!」


 誰に言うともなく叫ぶように言っていた。


「こんな場所(牢)、逃げ出してやる!!」


 その言葉に呼応するように、魔銃から蔓が伸びて手首に巻き付く。


 魔銃が魔力を吸い上げるのがわかる。


 魔弾の射手が目覚め、銀の弓を引き絞る。


 それを天井に向けて放った。


 あの時とは違って細い糸のような光が天井を貫いた。


 ドッガォォォンッ!!


 天井を撃ち抜いた破片ごと消し飛び大穴が開く。


 翼があるわけでもないのに大きく開いた穴から見える空に向かってジャンプした。


 翼が無いから空を飛べる筈がない。


 筈だった…。


 なのに、次の瞬間見えた景色は一面の空。

 そして、足下には大穴の開いた建物が見えた。


「!?」


 一瞬、何があったのかわからなかった。

 でも、空中にいる!?


 そして、私の背に大きな翼があるのがわかった。


~~~~~~~


お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!


評価等も本当にありがとうございます!

(*・ω・人・ω・)



 

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