32.
大陸に行く事にした私達は、元神官長に見送られ、歩き出した。
暫く進んで振り返ると、そこには元神官長の姿は無く、テーブルや椅子ティーセット等々消えていて何一つ残っていなかった。
「さっきまでお茶を飲み、話をしていたのに現実にあった事なのか…自信がなくなるわ。」
シュタルクは元神官長が居た方向に顔を向けたまま頷いたのだった。
思えばこの時からだった。
何か考え込んだり私との距離に一線を引くようになったのは。
そして、それはまるで無言の拒絶のように思えた。
結局、あの後神殿にも足を運んだのだが、元神官長が言っていたように何の手掛かりも得る事もできなかった。
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そして今、私達は船に乗っている。
リヒテンシュテルン大陸にある国の一つ、聖導王国の東に位置するオストヴェーク大陸を目指して。
聖導王国の王都アウラから船に乗り、オストヴェーク大陸にあるベルゲン王国の港町フェルゼンメアまでおよそ一週間かかる。
慣れない船旅で船酔いになった私は船室よりも甲板に出ている時間の方が長かった。(うぷっ…。)
なのにダイオウイカによく似た魔獣とかマジ勘弁して欲しい。
魔弾の射手でさっさとケリを着けたいけれど、船酔い中の私の魔力に問題があるのか魔弾の射手は起きてくれない。
ぐぬぬ…。
シュタルクもこの緊急事態に魔剣の封印を解除して戦ってくれているが、斬っても斬ってもすぐに再生する腕や食腕に加え陸とは勝手が違う船の上、揺れる足元に苦戦を強いられている。
私も魔弾を撃ち込んで援護射撃しているが、回り揺れる視界では狙いが定まらない。
その為、追尾弾に切り替えたが魔獣の再生スピードが早過ぎる。
いっそのこと氷系の魔弾で凍らせて足止めするかと氷結弾を撃ち込むが、凍らせ固めた傍から自分で腕や食腕を力で強引に引き千切り再生するという荒技で切り返してくる。
ダメだ!もっと火力が大きくて攻撃力の高い魔弾じゃないと…。
そう考えたところへシュタルクの攻撃を躱した食腕が私に迫る。
と、魔銃から伸びた蔓が手首に巻き付く。
魔弾の射手が銀の弓を引き絞り光の矢を放つ。
それは食腕を掠め、弾き飛ばしながら魔獣本体へと真っ直ぐ飛んでいき見事に命中した。
魔獣の体は爆発して飛び散り、飛び散った欠片は燃え尽きて消し炭に…。
『終わった。』
思うと同時に私は柵に寄りかかりオボロロロ…。
吐くだけ吐いた後、魔力の大量消費も手伝って意識を失った。
その後の事はわからない。
気付いた時にはフェルゼンメアの宿屋で借りた部屋のベッドの上だった。
しかも三日も眠っていたらしい。
シュタルクは、私が眠っていた間にギルドへの報告を済ませ、報酬も受け取ってくれていた。
そして今、消化に良い具がとろとろになったスープを私に飲ませてくれている。
何か照れるというか…恥ずかしいのだが…。
この後、更に二日この町で過ごす事になった。
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お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!
(*・ω・人・ω・)




