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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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32/67

31.

 目の前に現れたテーブルや椅子にティーセット等々に驚き目を瞠(みは)った。


「魔法…?」


 俄(にわか)には信じ難い光景に暫し呆然とする。


「さあ、冷めてしまう前に飲みなされ。」


 そう言って笑うおじいさんに戸惑う。ここまで凄い魔法を使う人を(亜人や人間を含めて)私は知らない。

 

 というか、見た事も聞いた事も無い。


 息を詰め目の前の老人を見る。


 元神官長を名乗る老人も目を眇(すが)めて私とシュタルクを見る。


「ふむ…。儂(わし)のことは信用ならんか?」


 剣の柄に手をかけようとするシュタルクを手で制する。


「いいえ。しかし完全に信用する事は…正直に申し上げて無理です。それに信用云々(うんぬん)言ったところで元神官長殿の魔法の前には意味はありますまい。何せあなたの意のままに操る事も可能なのでしょうから。そして、その積もりがおありならとっくにやってるでしょう?」


 そう言ってシュタルクに向かって小さく頷く。


「ほっほっほ。まぁ良い。では続きを話そうかのぅ。」


 そう言って、一口お茶を飲むと続きを話しだした。


「モルガーナの呪いによって竜種は滅びゆく運命を押し付けられた。だが、竜種にもまだ希望はあったのじゃ。とはいえ、その希望はまだ産まれてもおらず見つかれば母親諸共(もろとも)殺されておったじゃろうて。」


 元神官長は両手で持つカップを見詰め、残ったお茶を一気に飲み干した。


「故に、逃がす事にした。その子どもが無事に産まれ、長じて後モルガーナの呪いを解く事、斃してくれる事を願ってな。」


 元神官長はティーポットから自分でカップにお茶を注ぎ一口飲んだ。


「竜種に破滅を齎したモルガーナは、それ以来“破滅の魔女”と呼ばれるようになった。…と、まあ儂の話はこれまでじゃ。」


 「そのモルガーナから逃れた子どもはどうなったのですか?」


 疑問に思っていた事を私は聞いた。


「さあなぁ…。他の大陸に渡った故、流石のモルガーナにも追えんかったらしい。じゃから儂にもわからん。ただ、五百年前にモルガーナと対峙した者がそうだと儂は思っておるよ。」


 そう言って両手で持ったカップを傾けお茶を飲む。


 「そうですか…。」


 振り返ってシュタルクを見ると顔色が悪い。


 何かあるのだろうか?


 そう思うも、彼が何も言わない事を無理に聞き出そうとは思えなかった。


「爺(じじい)の話はここまでじゃ。お前さん方の知りたい事は、残念ながらもうこの国には無かろうて。子どもが逃れた大陸にならば、まだ何かあるかもしれんが…。」


「じゃあ、行ってみます。手掛かりを探しに。」


「お、俺も行く!」


 勢い良く顔を上げたかと思うと一緒に行くと言い出した。


 まあ、まだ先は長いからいいか。と思った私は頷いた。


 元神官長は「ほっほっほ。」と私達二人を見て笑っている。


 最後に元神官長が教えてくれた話。


 石柱群の方が天へと向かう神々と別れの挨拶をして見送った場所に思えると私達が言った事に対する答えだが…。


「観光名所が二カ所だけなのは客を呼べないからせめて三カ所に。」


 という事で無理矢理三カ所にしたそうで、皮肉にも私達が感じた感想は合っていたらしい。(それってありなのか?)



 何はともあれ、大陸に渡って何がわかるか…。手掛かりも何も無いかもしれない。

 でも、それしかないと思えてくるのも確かだった。


~~~~~~~


お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!

(*・ω・人・ω・)


 


 









 

 

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