29.
最初に訪れる予定だった神殿が参拝者でいっぱいだった為、他の場所から行く事にしたのだが…。
遺跡と言われている石柱群か神話に出てくる神様の逸話が伝えられている場所のどちらにするか悩む。
いっそのこと観光気分を味わうのも良いかと考え、神様の逸話が伝えられている場所に行く事にした。
そこはエクランの町を一望できる場所で、神々が天へ帰る時に人間や亜人達と別れの挨拶を交わした場所なのだという。
が、あまり悪く言いたくはないがそんな神々しさは欠片も無く、逸話の書かれた石碑がある訳でもない、ごくありふれた高台だった。
「「…。」」
何か感想を言った方が良いのだろうか?
ダメだ…何も思い浮かばない。
「…ま、まぁ当時はそれなりに雰囲気のある場所だったのかも…?」
そう言ってシュタルクの顔を見れば、何とも言えない、まるで何か変な物を食べた時のような表情を浮かべていた。
「つ、次行ってみようか。」
△▽△▽△▽△
という訳で、遺跡と言われている石柱群に来た。
「「…。」」
先ほどの事もあったのでそれほど期待していた訳ではないのだが…。
「これは…。」
石柱群もさっきの場所と同じく高台にあるのだが、こちらを【神々が天へ帰る時に別れの挨拶を交わした場所】とした方が良かったのでは?と思ってしまう。
まだこっちの方が雰囲気的には合っていると思えた。
「ほっほっほ。バレましたか。」
「「!?」」
突然耳に入っ言葉に振り返ると、小柄な白ひげのおじいさんが後ろ手を組んで立っていた。
「いつの間に…?」
シュタルクはどうかわからないが、少なくとも私はそのおじいさんの気配を感じる事ができなかった。
「驚かせてしまいましたかな?だとしたら申し訳ない。」
「…。」
「…いえ…。あの、あなたは?」
警戒しているのかシュタルクはそのおじいさんの事を何も言わずじっと見ていた。
「ほっほっほ。これは失礼、この町にある神殿の元神官長ですじゃ。」
長くて白いあごひげを撫でながら好々爺のような笑みを浮かべて言うと、シュタルクが私を庇うように片手を伸ばす。
「おや、すっかり警戒させてしまいましたか。…少しよろしいかのぅ。」
困ったように眉をハの字にすると、少し離れた場所にあるベンチを指差す。
「わかりました。」
「っ!?」
同意した私を驚いて見るシュタルク。
彼が驚くのも無理はない。が、私だって何の根拠も無く同意した訳ではない。
魔銃がおじいさんを警戒しなかったのだ。それどころかおじいさんの話を聞くように言っている気さえする。
私の返事を聞いたおじいさんが目を細めて頷いた後、ベンチへと歩き出す。
その後ろを私がついて行くのを見てシュタルクは渋々ついて来た。
「どっこらしょ。」と言ってベンチに座るおじいさん。
その隣に少し間を空けて私が座ったけれどシュタルクは座らずに立ったまま話を聞くようだ。
「ふむ。どこから話そうかの。」と少し思案した後おじいさんは話しだした。
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(*・ω・人・ω・)




