20.
参列者達はすでに避難しており、聖堂内には私やギース、聖王以下、宰相や近衛騎士、聖騎士達が十名ほどが残っていた。
「い、今のは…。」
魔弾の射手を目の当たりにした聖王が驚愕して言った。
「…魔弾の射手と言われている物です。」
私は手の中の魔銃を見せながら言った。
△▽△▽△▽△
あの後、聖堂内に居た近衛騎士や聖騎士達には箝口令が敷かれた。
聖王の私室で私と聖王がテーブルを挟んで向かい合わせに二人掛けソファーに座り、宰相はテーブル横の一人掛けソファーに座っている。
そして、テーブルの上には魔銃が置かれていた。
「これが其方の魔銃か…。」
聖王と宰相がテーブルの上の私の魔銃を凝視している。
「このような魔銃は文献には載っておりませんな。」
宰相が同意を求めるように聖王に言う。
「うむ。余が知っている魔銃とも違う。」
顔色悪く聖王も同意して頷く。
「えっと…どこが違うのでしょうか?」
「「…。」」
聖王と宰相は暫く口を開かなかった。
やっと考えが纏まったのか聖王が口を開く。
聖王:「見た目では人形の飾りが付いている所だけだが…。なあ、ヨアヒム。」
宰相:「さようでございますな。とはいえ、魔弾の射手については百発百中だが七発目が必ず外れるという記述しか残されておりませんので。私も魔銃の使い手が魔弾の射手だと思っておりました。」
聖王:「余もそう思っていた。よもや魔魔銃に付いた飾りが矢を放つとはのぅ…。しかもそれが魔弾の射手とは思いもよらなんだ。」
宰相:「さようでございますな。」
聖王:「しかもその魔銃は話すという。」
宰相:「話す…。」
聖王は眉間に皺を寄せ、宰相は驚愕してテーブルの上の魔銃を凝視する。
そこで私は、エーデルブルクのギルドマスターから聞いた話を二人にした。
「そのギルドマスターにも詳しい話を是非聞いてみたいものだな。」
聖王の言葉に宰相も頷いた。
明日、王族が眠る墓所にヒルダ王女の棺が納められる事で葬儀が終わる。
そこで私は葬儀が終わった後、この国を出ると告げた。
二人には引き留められたが、魔銃の事を調べる為に関連する文献を探す旅に出たい旨を伝えたら二人とも渋々ではあるが認めてくれた。
ヒルダ王女の棺を墓所に納める納棺の儀が終わり、いよいよ旅立つ。
聖王に抱っこされたギースはギャン泣きで暴れ、聖王は困ったように苦笑している。
それでも、魔女と対峙する為にも失われた私の記憶と魔銃の謎を解き明かさなくてはならない。
その思いを一層強くして私は旅立ったのだった。
そして、ギルドマスターだけでなく聖王達にも話していない“七発目が外れなかった”という事実 ──
魔銃の謎はそれだけではないだろう。
推測の域を出ないが、“魔弾の射手”は各々性能が違うのではないか…?
そしてそれは作られた過程にも関わる事なのではないかと私は考えていた。
先ずはギルドマスターと再会せねばなるまい。
魔女の居るエーデルブルクには近寄りたくもないが、ギルドマスターに会う為には行かねばならないだろう。
そう思うと引き返したくなるほど憂鬱になってしまうのだった。
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