19.
父親である聖王の腕の中ですやすやと眠る幼子を見ていたら、王女の葬儀が終わるまで王宮に滞在して欲しいと言われ、幼子に絆された事もあり滞在する事にした。
そして翌日 ──
朝食を食べ終わり何か手伝える事はないかと聖王の執務室を訪ねた。
のだが…。
執務室の扉が開くなり何かが足にぶつかった。
???
足にぶつかった物…それはあの幼子だった。
私を見上げる大きな目と合った。
「ひぃあ。」
小さな声だったが私の耳にしっかり届いた。
そして、ニパッと笑い、キラキラした目をして両手を差し伸べてくる。
あぁぁ~もう~!
何なのこのかわいさ~!!
抱き上げて頬ずりするとキャッキャと喜んでいる。
「…助かった。」
見るとヨレヨレになった聖王が…。
「すまぬ。元気が有り余る幼子についていけず…。」
という訳で、葬儀の準備や何やかやで聖王が忙しい為、只今絶賛子守中である。
ヒルダ王女が産んだ子供の名はギースベルト(愛称:ギース)という。
男の子なだけあって元気が有り余っているようだ。
今まで隠された存在だった彼の行動が制限されていた所為もあるのだろう。
ちなみに、聖王の名はウィリバルト・(ロード)・シュタイゲンドラッヘという名前だ。
ギースを身篭もった事がわかったヒルダ王女は、幼い頃から代々仕えていた女官の子孫であるヘルガ以外の皆や聖王に何も言わず、“眠り”の期間を利用して出産、離乳期を経て“目覚め”、先見の王女として表に戻ってきたが、魔女の襲撃に遭い、わずか二ヶ月で亡くなってしまった。
悲嘆に暮れ、見る影もなかった聖王だったがヒルダ王女が遺していた手紙とギースの存在を切っ掛けに立ち直った。
だが、このまま魔女が黙っているとは思えない。
王女の葬儀が行われる日に何か仕掛けてくるのではないかと私だけでなく聖王も危惧しているだろう。
△▽△▽△▽△
そしてヒルダ王女の葬儀の日、その日は朝から良い天気で弔いの儀式の間も何事もなく、このまま無事に儀式を終える事ができるのではないかと、私を含め皆が思っていたと思う。
ヒルダ王女の弔いの儀式には周辺諸国からの弔問客が参列していた。
そして、大聖堂で行われていた儀式が終わりを迎える頃、胸がざわざわと騒めいたかと思うと手の中に魔銃が現れた。
と、同時に美しいステンドグラスの窓を突き破りカラスが聖堂内に飛び込んで来た。
参列者達はパニックになって逃げ惑うのを騎士達が出口へ誘導する。
残った近衛騎士や聖騎士達のうち数名が聖王とヒルダ王女を納めた棺を取り囲んでカラスを撃退している。
私の足元に居たギースの周囲にも近衛騎士や聖騎士達数名が…。
そして、その騎士達の影から魔獣ガーゴイルが現れた。
しかも一体ではない。五体も現れたのだ。
ギースを抱き上げ、ガーゴイルに向けて魔銃を撃つ。
狙い通り急所に命中してガーゴイル一体を斃した。
騎士達も魔獣一体につき、三人で相手しているが、斃すのに時間がかかりかなり苦戦している。
その間に私とギースに向かってガーゴイルが次々襲いかかってくる。
狙いを定め、魔銃を連射して三体斃す。
そこでやっと一体斃した騎士達が残る一体を引き受けてくれた。
聖王の方が気になりそちらを見た。
床に落ちたカラスの体から黒い煙が立ち上り人の形になる。
魔女!!
弾道が逸れれば聖王に当たる為魔銃を撃てず、魔女が手を振り上げるのが見て取れた。
だが、それだけではなく何やら呟いている。
それは魔法の呪文だった。
仕方なくギースを抱えたまま聖王の元へ走るが間に合わない。
その時、聖王の背後に現れた魔女と聖王の間に騎士達が割って入った。
が、そのうちの一人が魔女の爪の餌食に。
やっと聖王の所に着いた私はギースを彼に託して背に隠すように護りにつく。
次の瞬間 ──
火の魔法の最上級魔法である火球が魔女の持つ杖から放たれた。
魔弾の射手が金色に輝き、銀の弓を引き絞り放つ。
その場が閃光に包まれる。
火球は消滅し、影から現れた魔女も消し飛ばす。
そして閃光が消え去った後、カラスの死骸もガーゴイル達の死骸も消え去っていたのだった。
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(*・ω・人・ω・)




