16.
「相変わらず汚い手を使うのね。」
私の言葉に赤い唇が弧を描く。
ヴン!
手の中の魔銃がその形を変えた音と共に掴んでいた影の手を手首から切り落とした。
「うぅっ!」
手首を切り落とすと同時に、王女の体が糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちたのを聖王の腕が受け止める。
切り落とした手首は靄のように揺らめきながら消えた。
「よ、よくも…!!」
魔女が赤い唇を歪めて言う。
「それはこちらの台詞よ。それにあなたの場合、影だから痛くも痒くもないでしょう?」
言っておいて何だが、そんな訳が無い。
影と雖も魔力で繋がっているのだから当然本体にも何らかの影響があるはずである。
「くっ!この小娘がぁ!!」
黒い影が襲いかかって来るのを躱し、魔弾の射手を撃ち込む。
「グ、ガァァァーッ!!」
影が青白い炎に包まれて燃え上がる。
「勝ったと思うなよ小娘!だが、忌々しい竜種 ── 半竜とはいえその最後の竜姫の息の根を止める事ができたのだから。次に顔を合わせた時がお前の最後だ!」
捨て台詞を残し影が燃え尽きて消えた。
「「「王女殿下!!」」」
護衛や女官達が駆け寄り、女官の一人が医師を呼びに走った。
「ヒルデガルド!ヒルダ!死ぬな!」
聖王が腕の中の王女に必死に呼びかけている。
けれど、王女の顔色は青を通り越して白くなっている。
そこへ医師が到着して脈を取るが、すぐに項垂れ首を横に振った。
「残念ですが…お亡くなりに…我々にはどうする事も…。」
「そんな…。ヒルダ…。」
王女の亡骸を抱きしめたまま嗚咽を漏らす聖王の姿は周囲に居た者達の涙を誘った。
「聖王猊下…。その…何と言ったら…。」
「すまぬ。其方が悪い訳ではないとわかっておるのだ。だが何を口走るか…。其方を責めてしまいそうで…。頼む…今は一人に…。」
聖王の言葉を聞いて指が白くなるほど手を握り締めた。
魔女の動きが一番見える位置にいたのに、王女の命が奪われるのをただ黙って見ている事しかできなかった。
止める事ができていたなら…。
いくら後悔しても、し足りない。
やがて他の側近達も駆け付け、部屋に戻るように促され、後ろ髪を引かれる思いで部屋に戻った。
部屋に戻ったものの居心地が悪いというか居たたまれないというか…。
明日にはこの国をで出よう。
そう決心したが、翌日になって状況が変わったのだった。
※王女の名前ですが、
エーデルワイスからヒルデガルド(愛称:ヒルダ)に変えました。
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お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!!
(*・ω・人・ω・)




