15.
宿屋で魔女が魔銃に魔力を流し込んだ時に
«くっそ不味い魔力無理矢理流し込んでんじゃねぇよ!!»
という言葉が聞こえたのを思い出した。
「王女殿下、魔銃が話す事はあるのでしょうか?」
王女は軽く首を傾げる。
「そのような話は聞いた事が無いのですが…?まさか話したのですか!?」
「ええ。…と言っても念話?が頭の中に響いたというか…。魔女が魔銃に魔力を込めた時に、 «くっそ不味い魔力無理矢理流し込んでんじゃねぇよ!!»と。」
「…そのような事が…。」
「はい。そして魔力を放出しだしたかと思うとあっという間に跳ばされてしまい、この国に…。」
「魔力を放出…魔力暴走を起こさなくて良かったです。」
ホッとしたように王女は言った。
「その後、目覚めた時には魔銃は手元に戻っていました。」
「魔銃は使い手と常に共にあるものらしいですから。しかし、話す…ですか、魔銃にはまだまだ謎が多いようですね。」
そう答えた王女とのその日の会話はそこまでで終わった。
もっと話をしておけば良かったと酷く後悔する事などこの時の私にはわかっていなかった。
△▽△▽△▽△
── 聖王の私室にて ──
「魔銃が話したと申すか!?」
「ええ。念話で…ですが。」
「魔銃とは一体…。」
「それは…私にもわかりません。もしかすると、魔女本人にもわかってはいないのかも。記憶を取り戻せばあるいは…。それすらも定かではありませんが。」
「先読み様の能力を持ってしてもおわかりにはならないのですか。」
少し肩を落とした聖王が言った。
「ええ。五百年もの間、眠りと目覚めを繰り返しこの国を見守ってきましたが魔女の領域は人知を超えていますから。只人である私にはわからなくても当然なのでしょう。」
「では、この先世界は…。」
「これまでのように何事も無ければいいのですが…。あの方が現れた以上、何が起きてもおかしくはないのでしょう。」
「…。」
聖王と王女は窓の外を見る。
二人の目が見ているのは外の景色ではなくその先のようだった。
△▽△▽△▽△
その日の晩餐後、話の続きをしたいと言われ(渋々)了承した。
魔女の狙いが私の持つ魔銃だとわかった今、この国に厄介事を持ち込んでしまった事を申し訳なく思っていた。
けれど、聖導王国の持つ情報が欲しかったのも確かだった。
でも、それ以上に精神的にも肉体的にも疲弊していた私は休みたい思いが強かったのだが…。
重い足取りで向かったサロンの中、聖王と王女が座るソファーの対面に置かれたソファーに座った。
女官がお茶を淹れ終わり、扉の近くまで下がり、聖王と王女の後ろに護衛と側近のオルドリッチ卿が立った。
聖王から魔銃を見せて欲しいと言われ、手の平の上に出して見せた。
その時だった。
目の前にいきなり鮮血が飛び散る。
「なっ!?」
「「「っ!?」」」
次に王女の体が傾いだ。
驚愕の表情を浮かべそれを受け止める聖王。
女官の悲鳴に扉の外にいた護衛達が部屋に飛び込んできた。
聖王の後ろに立っていた護衛が剣を抜き、金縛りに遭ったようになっていたオルドリッチ卿もそれに釣られたように剣を抜く。
この場にいた者達は何が起こったのかわかっていなかった。
けれど、対面に座っていた私からは見えていた。
オルドリッチ卿の影から出てきた黒い影を、そしてその影の手が王女の胸を貫いたのを、貫いた手の爪が異様に長く鋭く尖っていたのを。
座したまま一部始終を見ていた私は、貫いた王女越しに魔銃に伸ばしてきた手を掴んだ。
「「「な、何が!?」」」
部屋に飛び込んできた護衛達の顔が恐怖に染まる。
「相変わらず汚い手を使うのね。」
私は、手を掴んだまま王女の後ろにいる影を睨みつけた。
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お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!!
(*・ω・人・ω・)




