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魔弾の射手 ~ 記憶なくして魔銃片手旅 ~   作者: 雫喰 B


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13/67

12.

 その後、迎えの使者を装った者達に斬られそうになった事等の報告を受けた聖王が隣に座っていた少女…王女らしいを交えた上で「改めて話を聞きたい。」と言われ(嫌々)承諾した。


 が、その後が大変だった。


 旅の汚れを落とすという理由で湯浴みを勧められたのだが…。


 侍女達に、これでもかというほど磨き上げられ、香油を塗りたくられ全身をマッサージされた私はぐったりと疲れ果ててしまった。


 だが、これで終わりではなかった。


 天蓋付きベッドの柱にしがみ付かされたかと思うと二、三人がかりでコルセットの紐をぎゅうぎゅうと締め上げられ、夜会用ほど派手ではないがドレスを着せられ化粧まで施された。


 仕上がった私を見て侍女達は顔を見合わせ頷き合うと「暫くお待ち下さい。」と言うと部屋から出て行った。


 そして今…呼び出し待ちである。


『ヤバい。なんか逃げたくなってきた。』


 部屋から出ようとしたが鍵が掛けられている!?

 じゃあ窓から…と思ったのだが、こちらも鍵が掛けられている!?


 かくなる上は…と手の平から魔銃を取り出し窓に向けて発砲した。


…のだが…。


 魔銃から魔弾が撃ち出されない。


「なんで!?」


 もう一度トリガーを引くが魔銃はウンともスンとも言わない。(弾が出ない。)


「えぇぇーっ!!なんで!?」


 何度もトリガーを引いたが、魔銃は火を噴かない。

 

しかも手の中から消えた。


 ショックだった。

 

 何だか長年のパートナーに裏切られたような心境である。


 魔銃が消え、空になった手が力無く落ち床の上に座り込んでしまう。

 そうして暫く放心していた。


コンコンコン


 扉をノックする音でハッと我に返る。


 次の瞬間、扉が開いて聖王と王女が護衛騎士と侍女を伴って入室してきた。


 床に座り込んだまま振り返った私と目が合った聖王はとても気不味そうだった。

 侍女と護衛騎士は笑いを堪えている。


 そして王女はというと、目を瞠(みは)った後笑った。


『笑い事じゃない!』と思ったけれど、八つ当たりする訳にもいかず、取り敢えず立ち上がる事にしたら護衛騎士の一人が手を差し伸べてくれた。


 一瞬、躊躇したけれど着慣れないドレスを着ている為、手を借りる事にして立ち上がった。


「…ありがとう。」


 床に座り込んでいた姿を見られた事が恥ずかしくて俯いたまま小声で言った。


 聖王と王女は既に席に着いている。

 侍女から促され私も席に着いた。


 コホンとわざとらしい咳をした聖王が口を開く。


「…ヒルダの予(・)想(・)通り、逃げようとしていたようだな。」

「ええ。そして魔銃はそれに協力しなかった…といったところでしょうか。」


 どうやら、ヒルダというのは王女の名前のようだ。


 何があったか知っているかのように言う王女。

 しかも予(・)想(・)していた?


「「「…。」」」


 会話が途切れている間に、侍女淹れ終わったお茶をテーブルの上に並べていく。

 

「ここから先は大切な話をする。お前達は下がっていなさい。」


 聖王が人払いをする。


 それほど大切な話とは?

 緊張から握った手の平に汗をかく。

 

 護衛騎士と侍女達が部屋から出て静かに扉を閉めた。


 聖王が私に笑顔を向けて言う。


「そう緊張せずともよい。先ずはゆっくり茶でも飲もう。」


 その言葉にヒルダ王女も頷く。


 喉が渇いていた私はお茶を一口飲んだのだった。


~~~~~~~


※何故、聖王達が笑っていたかというと、シェリーが逃げだそうとジタバタしていた姿を隣の部屋で観ていたからです。


お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!!

(*・ω・人・ω・)

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