11.
私が同行する意思を示すと胸に手を当て騎士の礼を取る。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。私は、聖王猊下の側近を務めておりますハワード・オルドリッチと申します。」
「ご丁寧な挨拶、痛み入ります。シュッツェーリアと申します。なにぶん不慣れなもので礼儀等、至らない点が多々あり、ご迷惑をおかけする事と思いますがご容赦下さいませ。」
相手の挨拶を受け、ドレスを着ている訳ではないが、裾を摘まむふりをして少し腰を落とし挨拶を返した。
「ああ、堅苦しい挨拶は抜きにして気楽にして下さい。あと、敬語は無しで結構ですよ。」
いきなり砕けた口調に変わったので驚きを隠せずに彼を見ると、にっこりと微笑んでいた。
相手がそう言うのであればこちらとしても助かる。
貴族が使うような言葉遣いは正直、舌を噛みそうだ。
「お気遣い、ありがとうございます。その方がこちらとしても助かります。」
「それでは、ここから王宮まで移動します。慣れないと目眩や耳鳴りを感じるかもしれません。」
そう言って私に右手を差し出す。
差し出された手を取ると懐から鈴のような物を出して振った。
シャンッ!
その場の空気の圧が変わったのがわかる。次に、強く体が引っ張られるような感覚がして思わず目を閉じた。
「到着しましたよ。」
そっと目を開けると、そこは壁一面に色鮮やかなタイルが貼られた室内だった。
「体調はどうですか?目眩等はありませんか?」
そう問われ、特に何も問題は無さそうだった為、大丈夫だと伝えると「ご案内します。」と言われ、彼や彼の部下と思われる者や護衛騎士達と共に王宮内を移動している。
すれ違う騎士や女官達が頭を下げてすれ違う中、文官や貴族と思われる者達が遠目に私達を見ながら何やら会話を交わしているのが見えた。
移動中、王宮内をお上りさんのようにキョロキョロ見てしまう。
話には聞いていたが聖導王国の魔法というか魔導具には驚かされた。
先ほど彼が使用していた魔導具は空間転移をする物だったらしい。
魔法が廃れつつあるこの世界で未だあのような魔導具が存在しているなんて。
「っと!?」
考え事をしながら余所見していた所為で前を歩いていた人にぶつかりそうになった。
隣にいた護衛騎士が顔を背けて肩を震わせている。
恥ずかしい~
なんて思っていると大きな扉が開いた。中は恐らく謁見の間だろう。
「中には聖王猊下がおられますので失礼のないように。」
そして、オルドリッチ卿を先頭に謁見の間に入って行った。
オルドリッチ卿達が胸に手を当て片膝を突いて頭を垂れるのを真似て私も胸に手を当て片膝を突き頭を垂れる。
「偉大なる聖王猊下にはご健勝であられるようで…。」
「堅苦しい口上は不要である。先ずは面を上げよ。」
オルドリッチ卿の口上を途中で遮り話を進めるのが聖王猊下と崇められている人物だろう。
私は顔を上げた。
前方の高い位置に据えられた玉座に座っているのが聖王だとわかる。
威厳だけでなく、膨大な魔力を感じる。聖王と崇められているのも納得できる。
と、聖王と目が合った。
「其方が魔弾の射手か。この場での発言を認める。答えよ。」
そう言うと目を細め何かを見定めるように私をじっと見ている。
「発言をお許しいただき恐縮にございます。魔弾の射手とは言われているようですが記憶の無い私には本当の事なのかわかりかねます。」
「なんと…記憶が無いと申すか。」
驚く聖王の隣に座っていた少女が立ち上がった。
「それは真でございますか!?」
口に両手を当て、衝撃を受けているようだった。
「?記憶が無い事が何か…?」
一体何だというのだろうか?
私の記憶が無い事に何かあるのだろうか?
~~~~~~~
お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!!
(*・ω・人・ω・)




