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蠢く青
蛆虫に食い荒らされた彼の心は、
もう赤とも言えない色になっていた。
こんなはずじゃなかった。
彼はそう思う。
だが、これは分かりきったこと、
必然と知っていたはずなのに、
それでも彼は嘆くのだ。
涙も声も心も枯れきり、
雨に打たれ腐りきっていくような、
そんな心を使って嘆くのだ。
心が、頭の中で蠢く脳の活動の一部だと知ったのは
いつだったろう。
あれから、彼の夢は夢でなくなったのかもしれない。
夢を夢見ることすら、叶わなかったのかもしれない。
彼はしゃあしゃあと、
吹きさぶる風に体を打たれながら、
過ぎ去った日に思いを、
いや、思いですらなくなった思いのもどきを、
変わらず流れ移ろう空に馳せる。




