性豪スキル
スーパーに寄って、食材の買い物をして帰ることにした。メリッサが張り切っている。
「旦那様、この『だしの素』というのも便利ですね! これがあれば何でも美味しくなるんですか?」
「ああ、便利だよ。味噌汁でも煮物でもこれを入れるだけで味が決まるからな」
「すごいです! 異世界の調味料はどれも魔法みたいですね」
「まあな。あとこれ、マリーナのためにインスタントラーメンも買って帰るか」
「本当ですか!? ありがとうございます、旦那様!」
マリーナが目を輝かせている。そんなにラーメンが好きか。
屋敷に帰ると、エントランスの前に馬車が止まっていた。見覚えのある紋章。王家の馬車だ。
「ん? これはアルベル王の馬車じゃないか?」
「あら、お客様ですか?」
沙希が首を傾げる。俺たちは急いで中に入った。
リビングのソファには、セリーさんが座っていた。顔色が少し悪い。
「セリーさん? どうしたんですか?」
俺が声をかけると、セリーさんが弾かれたように顔を上げた。
「タクヤ様! 助けてください!」
「た、助けるって何があったんですか?」
「王の性欲が収まらないのです! あのスキル…性豪スキルが強すぎて、私の身体が持ちません!」
「えっ…」
「毎晩毎晩、夜が明けるまで離してくれなくて……メイドたちにも手伝ってもらってますが、王の元気に全然追いつきません! 私、もう寝る時間もないんです!」
セリーさんが涙目で訴えてくる。俺は頭を抱えた。
「あーー…すみません。強すぎました」
「すごいとかそういう問題じゃありません! 私、毎日寝不足で…」
「わかりました。すぐに城に行って調整してきます」
俺はすぐに城に転移した。
ドアを開けると、そこは凄まじい光景だった。アルベル王がメイドたちに処理させていた。
「ちょっ…王様!?」
「おお拓也殿! 来てくれたか!」
アルベル王は疲れた顔をしているが、まだ元気だ。すごいな、歳関係ないんだな。ちょっとだけ羨ましいと思ってしまう。
「王様、すみません。強すぎました。スキルを調整します」
「頼む…ワシももう限界なのだ…」
俺はアルベル王に近づき、性豪スキルをLV1だけ残して俺に戻した。ズルリとスキルが入ってくる感覚。俺の性豪スキルがまたLV3になってしまった。
「はい、LV1だけ残しましたから。これでもう大丈夫ですよ」
「ありがとう拓也殿…このスキルはワシには荷が重いようじゃ…」
「はい。あとは早く王子の顔を見せてくださいね」
「うむ…そうじゃな。セリーには悪いことをした」
俺は屋敷に戻った。
リビングではセリーさんがメリッサ作成のインスタントラーメンを食べていた。
「わあ、美味しいですねこれ!」
「セリーさん、もう大丈夫ですよ。王様のスキル調整してきましたから」
「本当ですか!? ありがとうございますタクヤ様!」
セリーさんが安堵の表情を浮かべる。よかった。
「タクヤ様、このラーメンというのも美味しいですね」
「でしょう? また持って帰ってくださいよ」
「いいんですか?」
「ええ。いくらでも」
セリーさんが嬉しそうにラーメンをすする。
俺は沙希に向き直った。
「沙希…ゴメン。また俺LV3になっちゃった」
沙希は顔を赤くして、少し呆れたように笑った。
「しょうがないな。わかった、私も頑張る」
「ごめんね」
「いいよ。それに…私だけじゃないしな」
沙希が意味深に笑う。
その夜、案の定沙希が先に潰れた。
「もう無理…拓也ごめん…」
「うん、休んでて」
沙希がベッドでぐったりしていると、ドアが開いてメリッサ、マリーナ、リーリアが入ってきた。
「旦那様、私たちにお任せを」
「お情けを…」
「私たちでよければ…」
三人が頬を染めて近寄ってくる。普段なら断るけど、今日は収まらない。
三人を相手にしていると、またドアが開いてセリア、リムレ、シーマが入ってきた。
「タクヤさん、私たちも…」
「お手伝いします…」
「私たちがいなきゃダメですよね?」
結局、7人全員を相手にして、やっと収まった。
ベッドには裸の美少女たちが幸せそうに寝ている。その光景を見ていると、また性豪スキルが発動しそうになる。
「やばい、俺も寝よう」
俺は目を閉じて強制的に眠りにつこうとした。このスキル、なんとかしないとな。
ふと、思いついた。
そうだ。全員にLV1の2/3ずつ渡せば、みんながLV1くらいの性欲になって、俺と合うんじゃないか?
俺は寝ている7人にこっそり近づき、一人ずつに性豪スキルの欠片を渡していった。
「これで大丈夫だ!」
俺は安堵して、沙希の隣に横たわった。沙希が寝言で「拓也のムッツリ…」と言った気がしたが、気にせず目を閉じた。明日からは平和なはずだ。




