豚骨ラーメン
「グレッグ何か面白そうな所とか無いのか?」
俺はソファでくつろぎながら尋ねた。
グレッグは腕を組んで少し考えた後ニヤリとした。
「タクヤとサキは海を見たことがあるか?」
「海? ああ俺たちの世界でも近くにあったぞ。俺たちがいた国は海に囲まれた島国だったからな」
「なんだそれならダメか。グランツ王国から西に一月ほど行くと海に出てそこに国があるんだ。魚を獲って暮らしていてそこで食う新鮮な魚が美味いんだ」
「いいな。こっちの魚も食べてみたいな。で泳げるのか?」
グレッグが即答した。「海でか? そんな事考える奴はいないぞ魔物が出るからな!」
俺が少しがっかりしていると沙希が俺の脇腹を突いてきた。
「拓也、お前私たちの水着のこと考えてただろ! このムッツリ!」
「いやそういうわけじゃ!」
俺が慌てて否定するとメリッサたちが肩をプルプルさせて笑いを堪えているのが見えた。
リムレが首を傾げた。「ムッツリって何?」
沙希が得意げに解説し始めた。「頭の中でエロい事考えている奴の事だよ」
「えっ! タクヤさんエロい事考えてるんですか!?」
リムレが目を丸くする。
「ちげーよ! 話題を変えるよ!クリミアさんから褒美を貰ったら、その国に魚を食べに行こうか!」
俺が誤魔化すとマリーナが真剣な顔で手を挙げた。
「旦那様お願いがあります」
「どうしたのマリーナ?」
「またラーメンが食べたいです」
マリーナが顔を赤くして照れながら言った。「あの美味しさが忘れられません。夢にも出てくるんです」
なんだそんなことか。もっととんでもないお願いをされるのかと思ったよ。
フードコートのラーメンでこんなに忘れられなくなるなら家系ラーメンなんか食べさせたらどうなるんだ?
「よしわかった。じゃあ連れて行ってやるよ」
全員で日本に転移して俺の部屋に着いた。初めて来るグレッグたちはきょろきょろしている。
「うおっ…ここがタクヤの生まれた国か…」
グレッグが窓の外を見て驚いている。
「母さんちょっと来てくれ!」
俺が呼ぶと母さんが台所から出てきた。
「あら拓也。またみんな連れてきたのね」
「仲間が増えた事を伝えたくてさ。それにマリーナがまたラーメンが食べたいって言うから来たんだ」
「あらあら。じゃあ美味しいお店に行きましょうか」
母さんも連れて11人でショッピングモールの近くに転移した。母さんのスマホで調べて近くのラーメン屋に行く。
店に入るとこってりしたスープの匂いが漂ってきた。メニューの写真を見ながらマリーナがずっと悩んでいる。
「どれにする?」
「んー…どれも美味しそうで迷います…」
店の大将がマリーナに声をかけた。
「お嬢さんうちのオススメは豚骨ラーメンだよ」
「じゃあ豚骨ラーメンで!」
「よし決まり! 俺も同じものにするよ。あと餃子も一緒に頼んでやる」
ラーメンを作りながら大将が話しかけてきた。
「お嬢さんどこからきたんだい?」
マリーナが少し考えてから答えた。「ヴァルディス王国です」
「へえ外国の人なのに日本語うまいな。わざわざ俺のラーメンを食べに来てくれてありがとうよ」
大将がそう言ってタマゴやチャーシューをサービスしてくれた。マリーナは「美味しい!」と言いながら必死で食べていた。
「また連れてきてあげるからゆっくり食べていいよ」
マリーナが涙目で頷いた。「はい! 本当に美味しいです!」
満足した後ショッピングモールでセリアたちを連れて買い物に行った。また服や下着を買って家に帰る。
「母さん金貨売れた?」
「ええ2枚売れたわよ」
「じゃあまた2枚渡しておくね」
セリア、リムレ、シーマが買ったばかりの下着を手に取って感動している。
「すごく肌触りがいいです…」
「レースがついてて可愛い…」
「私こんなの初めて…」
女の子が喜んでいるのを見るのは嬉しいね。
「また連れて来るよ」
俺はそう言って屋敷に戻った。
屋敷に戻ると沙希が言った。
「海か…楽しみだな」
「ああ水着も買わないとな」
「このムッツリ!」
沙希がまた俺を突っついてくる。でもその顔は笑っていた。




