ヤバいスキル
北の山の廃坑に着くと異様な臭いが鼻をついた。
「なんだこの臭い…」
グレッグが鼻をつまむ。
「オークの臭いだ。近くに集落があるな」
俺は索敵を発動した。レベル3の索敵スキルは便利だった。半径1キロメートルの範囲で生き物の気配がわかる。これがあれば挟撃の心配もいらない。
脳内に広がる地図には廃坑の入り口付近に100体以上の反応。そして奥に1体、デカい反応がある。
「いた。廃坑の入り口付近に100体以上のオーク。奥に1体…デカい反応がある」
「それがオークロードか?」
「たぶん。でかいぞ。今までの魔物とは段違いだ」
沙希が異空間から剣を二本取り出した。
「よし行くぞ!」
目視でオークが見える所まで移動し、アビリティサイトでスキルを見てみる。
「性豪LV1、棒術LV1、怪力LV1、痛覚鈍化LV1。ゴブリンよりも色んなスキルを持ってるな」
「性豪ってなんだよ!」
俺は思わず叫んだ。なんでオークに性豪スキルがあるんだ。
「拓也どうした?」
「いや、オークに性豪ってスキルがあってさ…」
「オークだからだろ。気にするな」
沙希はあっさり言う。まあ、気にしても仕方ないか。
「片っ端からスキルを奪っていくよ。弱体化したオークをみんなで倒してくれ」
俺は集中して周囲のオークからスキルを奪っていく。性豪LV1、棒術LV1、怪力LV1、痛覚鈍化LV1…。まとめて俺の中に流れ込むが、今は何も感じない。
「行くぞー!」
沙希は二刀流で、笑いながら暴れ回っている。その速さは目にも留まらない。二本の剣が光を描き次々とオークを斬り伏せていく。
グレッグたちも負けじと武器を振るう。
セリアに渡した闇魔法LV4は凄まじかった。
影から黒い手が出現しオークを八つ裂きにしていく。ドロリと黒い靄が地面を這い、オークの足を掴んで動きを止める。
シーマの火魔法が追い討ちをかけ、リムレがトドメを刺す。
「大丈夫かコレ、回復魔法と闇魔法って反発しないのか?」
俺が呟くと、隣でガルドが肩をすくめた。
「知らねえよ、でも戦えてるからいいだろ」
「…まあ、そうか」
100体のオークを倒した後、奥から大きな足音が聞こえてくる。地響きと共に巨大な影がゆったりと近づいてきた。
「来たぞ!」
オークロードは、他のオークの二回りほどもある巨体だった。手には無骨な大剣を携えている。
俺はアビリティサイトを発動する。
「剣術LV3、王者の咆哮LV3だ」
「剣術LV3か。沙希頼む!」
俺は叫んだ。
沙希がオークロードの前に立ち、二刀流で構える。
「スター・バース…」
「沙希! それは言ったらダメだ!」
俺は思わず遮った。ダメだよ、それは色々とマズい。
「何でだよ! カッコいいだろ!」
「カッコいいけど! ダメだ!」
俺は沙希が言い終わる前に、オークロードのスキルを奪った。
剣術LV3、王者の咆哮LV3。ズルリと感覚が抜けていく。
スキルを奪われたオークロードはただの大きなオークになった。大きく吠えたが、何も起きなかった。王者の咆哮を使おうとしたのだろう。
「沙希、奪ったからもういいよ」
「了解!」
沙希が二刀流で切り刻んでいく。剣術LV4の実力を見せつけて、オークロードの巨体を一方的に斬り伏せた。
「強え……」
グレッグが呆然と呟いた。
戦闘が終わり、グレッグたちがオークの肉を取っている。
俺が「えっ、それどうするんだ?」と聞くと
「もちろん食うんだよ! 美味いんだぜ!」
と返ってきた。
マジかよ、と思ったが、それなら持って帰ってやるよと言って、俺は異空間にオークの死体を全て入れた。
「すげえな、便利だな!」
「ああ、まあ」
また馬車で街まで帰ったら夜になっていた。冒険者ギルドの倉庫でオークを半分出す。
「明日また来るよ」
「おう! 明日は焼肉だから絶対に来いよ!」
グレッグたちがニコニコしている。
「ああ、クリミア女王にも報告しないといけないからな」
俺はそう言って、沙希と共に転移で屋敷に帰った。
ヴァルディスの冒険者ギルドで、「オークはいるか?」と聞いて、欲しいと言うからもう半分を倉庫に出してやった。
捌いた肉を貰って、メリッサのお土産にした。
日本の焼肉のタレで食べたら、すごく美味しかった。
「うまい…」
「美味しいですね! 旦那様!」
夕食を食べ終わり、俺は自分の体に異変を感じていた。
体が熱い。なんか、ずっとムラムラする。
オークから奪った性豪スキルが原因だ。
その日の夜、俺はやりたくて仕方なくなって隣の沙希に「やりたい」と言った。
沙希は目を丸くして、「お前、今日はどうした?」と言ったが俺は我慢できなかった。
「今日激しいっ!‥」
沙希が何回も絶頂していたが、俺のは全然収まらない。
「もう無理…」
沙希は息も絶え絶えになった。
すると、部屋の外から声がした。
「旦那様…私たちにもお情けをください…」
メリッサ、マリーナ、リーリアが入ってきて頬を染めながら俺を見ている。
「お前ら…聞いてたのか?」
「奥方様の声が…あまりに大きかったもので…」
普段なら絶対やらない。だが、今日は収まらなかった。性豪スキルがLV3になっているせいだ。
4人を相手にして、やっと収まった。
朝になって、幸せそうに4人の美少女が寝ている姿を見て俺は頭を抱えた。
「やっちまった…」
このスキル、どうしよう。グレッグにでも押し付けるか。
けど、グレッグとキスするのは嫌だしな。
「誰かに渡すのも、どうか…」
俺はため息をついて、また眠りについた。




