↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと異世界召喚されたボッチのオタクとヤンキー女子、パーティ編成でクラスメイトにハブられて2人だけで異世界を生き残る  作者: ミコジ
異世界探索編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/64

新しい家、新しい仕事

「ただいまー」

俺がドアを開けると、薄暗い部屋に懐かしい匂いがした。

薄い壁の家。俺と沙希が最初に暮らし始めた、あの長屋だ、静香もいたけど。

遺跡探索やヴァンパイアロード討伐でドタバタしていたせいで、正直ここに戻ってくる日が来るとは思っていなかった。


部屋に入り、荷物を下ろす。沙希も後から入ってきて、ドアを閉めた。

狭い部屋。ベッドが一つと、小さなテーブルがあるだけ。でも、なんだろう、すごく落ち着く。

俺はベッドに腰を下ろし、沙希を見上げた。

「なんか、感慨深いな。ここで沙希と初めて…」

言いかけて、俺はニヤリと笑った。

「沙希もさ、ずっとやりたかったの?」


瞬間、視界が揺れた。

ゴスッ!

鈍い音と共に、俺の頬に痛みが走る。

「いってえ!」

俺は頬を押さえて抗議の声を上げた。沙希が鉄拳(といっても加減はしてくれていたようだが)をお見舞いしたのだ。

「お前は…ムッツリの上にデリカシーも無いのかよ!」

沙希は顔を真っ赤にして怒鳴った。


「はあ? だってさ、あの時俺に、女もやりたいんだよって」

「うるさい! お前が私の横で、1人でやるからだろ!」

俺は一瞬息を呑んだ。「えっ…もしかして、起きてたの?」


沙希はニヤリと意地悪く笑った。

「全部知ってるよ」

その言葉の重みに、俺は背筋が凍る思いだった。

「お前が『沙希さん、沙希さん』って言いながらハアハアしてたのも。静香の胸を見た夜は、『沙希さん、おっぱいきれいだ』って言ってたのもな!」


俺の顔は、青から赤へと瞬時に変色した。

「うわあああああ!」

俺は頭を抱えてうずくまった。死にたい。穴があったら入りたい。いや、異空間に逃げ込もうか?

「ごめん! やっぱり俺、日本に帰る!」

俺は本気で怯えながら叫んだ。


「わああーっ!」

沙希が慌てて俺の肩を掴んだ。

「すまん! 言いすぎた! 悪かったって!」

「いや! 無理! 恥ずかしすぎて死ぬ! 俺は帰る!」

「おっぱい! おっぱい見せてやるから! だから機嫌直してくれよ!」


その一言で、俺の動きがピタリと止まった。

「…本当?」

「ああ! ほら!」

沙希は乱暴に上着を脱ぎ捨て、ブラウスのボタンに手をかけた。

ごくり、と唾を飲み込む俺の前で、彼女は露わになった白い肌を隠そうともしない。

俺は磁石に吸い寄せられるように、沙希の胸に顔を埋めた。

柔らかい感触。甘い匂い。さっきまでの羞恥心がどこかへ飛んでいった。


「はあ…生き返る…」

「まったく…しょうがない奴だな」

沙希は呆れながらも、俺の頭を優しく撫でてくれた。

「で、これからどうしようか?」

俺はもごもごと尋ねた。胸に顔を埋めたままだから声がくぐもる。


沙希は天井を見上げながら言った。

「そうだな……とりあえず森の魔物でも狩りながら、ゆっくりしたらいいじゃねえか。急ぐこともねえし」

「だな。冒険者として依頼を受けつつ、のんびり暮らすか」


次の日、城から使いが来た。アルベル王が呼んでいるという。

俺と沙希は身支度を整え、転移で城へ向かった。

玉座の間に通されると、アルベル王が満面の笑みで待っていた。

「来てくれたか、勇者殿!」

「どうしたんですか、王様。そんなに嬉しそうに」


王は立ち上がり、広間に響き渡る声で宣言した。

「ヴァンパイアロードを倒してくれた褒美として、私の別荘を与えよう!」

「えっ、別荘!?」

俺と沙希は目を丸くした。ボロアパートから一気に別荘住まいかよ。出世しすぎだろ。

「遠慮はいらん! 君たちにふさわしい住まいだ!」


それだけじゃない。王は真顔に戻り、俺たちに頼みがあると言った。

「実は…この国は100年間、森の外との繋がりを断たれていたのだ」

「100年!」

「ああ。魔物の森が壁となって立ち塞がり、他国との交流が絶たれてしまった。ヴァンパイアロードが餌場としてこの街を選んでからずっとな」

王は深刻な表情で続けた。

「森の外がどうなっているのか、我々にはわからない。そこでだ…君たちに見てきてはもらえんか?」


なるほど。未知の領域への探索依頼か。

俺と沙希は顔を見合わせた。俺たちはこれからこの国で生活していく。この国の現状を知っておくのは悪くない。それに…

「転移があるから、毎日家には帰ってこれますしね」

俺が言うと、沙希も頷いた。

「ああ。危なくなったら即撤退もできるしな」


「わかりました。その依頼、受けましょう」

俺が答えると、王は安堵の息を吐いた。

「ありがとう! 頼んだぞ!」


こうして、俺たちの新しい仕事が決まった。

冒険者兼、王国の探索屋さんってところか?

まあ、のんびり行こう。俺には最強の相棒がいるし、帰る場所もある。

転移と異空間収納スキルで無双できるし、なんとかなるだろう。


俺たちの手には、王から渡された地図がある。魔物の森を抜けた先にあるとされる、100年前の隣国の名前が書かれていた。

「さて、行くか」

「おう」

俺と沙希は顔を見合わせて笑い合い、新たな冒険への第一歩を踏み出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。