城に乗り込もう
朝起きて、沙希さんと静香さんにキスをして、朝食を食べる。
腹が減っては戦はできぬってやつだね。
昨日の遺跡探索の疲れも取れたし、今日の俺たちは絶好調だ。「レベル4」の力が体の奥底から湧き上がってくるのを感じる。
俺たちはいつもの壁に向かって歩くのじゃなく、反対の城に向かっていく。
この1ヶ月、ずっと背中に見えていた威圧的な城郭。あそこに俺たちをこの理不尽な世界に引きずり込んだ張本人がいる。
城門が見えてきて、裏に回るが、堀があって、正面からの橋しか渡れないようになってるみたいだ。水路には何か変な生き物も泳いでいるし、泳いで渡るのは得策じゃない。
どうしようかな、と考えていると、沙希さんが不敵に笑って言った。
「どうせ暴れるんだから正面突破しようぜ」
うん、脳筋だ。思わず笑っちゃったけど、それもそうだね。
俺は沙希さんの提案に同意して、異空間から石を取り出す。
「投擲LV4…こんな城門で止めれると思うなよ!」
俺は渾身の力を込めて石を投げた。
どがぁぁーーーん!
凄まじい音と共に石が城門を直撃し、頑丈そうな鉄扉が木っ端微塵に吹っ飛んだ。レベル4の破壊力、恐るべし。
何してるんだコイツらって顔で見てた門番が、腰を抜かしている。無理もない。いきなり城門が爆砕されたら誰だって腰を抜かす。
俺たちは瓦礫を踏みつけながら、ゆっくり歩いて中に入る。
中に入ると、慌てた衛兵たちがぞろぞろ集まってくる。
俺は堂々と言い放った。
「王に話がある。邪魔するなら殺すよ」
脅しじゃない。本気だ。俺たちはそれだけの力を持っているし、それだけの怒りを抱えている。
俺はアビリティサイトを発動させて衛兵たちを見る。剣術や槍術の戦闘系スキルLV1~2ばかりだ。俺たちの敵じゃない。放っておいてもいいレベルだけど、後ろからチョロチョロされるのは面倒だ。
沙希さんと静香さんには、「出来るだけ殺さないでね」と頼んである。俺たちは殺し屋じゃないからね。ただ、用事を果たしに来ただけだ。
牽制として石を投げて壁を壊しながら進んでいく。廊下の壁に穴を開けながら進む俺たちに、衛兵たちは恐れをなして道を空ける。
「王はどこだ」と聞いても誰も答えない。腰を抜かして震えているだけだ。
しばらく進むと、広い広間に出た。そこでジリジリと俺たちを包囲して、一斉に襲ってくる気配がした。
面倒くさいな。いちいち相手にしていると日が暮れる。
「全員のスキル、奪ってやる!」
俺は包囲している兵士全員に向かってギフトテイカーを使った。
LV1や2のスキルは奪うのに時間もかからない、すぐに奪えた。
一瞬にして力を失った兵士たちが、武器を取り落としてへたり込む。
「とりあえず、足の骨でも折っておくか」
俺は異空間から棍棒を取り出して一振りする。前方にいた兵士たちが足を掬われて、わぁーーーと倒れる。
見事なもんだ。全員、足が変な方向に曲がっている。これで追っては来れないだろう。
その時、奥の扉が開いて、前に召喚された時にいた、大臣みたいな人が出てきた。
ふんぞり返って、「何事か!」と叫んでいる。
その後ろにはちょっと強そうな装備の兵士を3人連れている。
俺はアビリティサイトを発動させて見る。
剣術LV3が2人、格闘術LV3が1人。
なるほど、これがここの精鋭か。
俺は沙希さんに「あいつらLV3です」と伝える。
沙希さんはニヤリと笑って、「コイツらがこの城の最高戦力ね」と言いながら前に出る。
異空間から剣を出すと、ざわめきが起こる。「どこから出したんだ!」「魔術師か?」と驚いている。
大臣らしき人は、「あいつらは高くてもLV3だ!やってしまえ!」と叫んでいる。
「沙希さん、奪ってもいい?」俺は聞いてみた。
沙希さんは、「力の差を見せつけるべきね」と言ってやる気満々だったので任せることにした。
3人の護衛が一斉に沙希さんに襲いかかる。剣を振り下ろし、拳を繰り出す。必死に戦っているんだと思う。
でも、沙希さんから見れば止まって見えるらしい。
沙希さんはギリギリで避けていく。髪の毛1本斬らせない。そして剣の腹で殴るだけで、敵は吹っ飛んでいく。沙希さんの剣筋は見えてないみたいだ。速すぎて俺にも見えない時がある。
最高戦力の3人が子供みたいに遊ばれている。一方的な蹂躙だ。
あっという間に3人が動けなくなるまで吹っ飛ばして、沙希さんは剣を肩に担いだ。
大臣に向かって、俺は言った。
「王と話に来ただけだ。王の所に連れて行け」
大臣は顔を真っ赤にして、「呼び捨てなど不敬だぞ!」と喚いたので、1発軽く殴っておく。
「俺たちはこの国の国民じゃないんだ。王もお前も崇める必要なんてないだろ」
冷たく言い放つ。
「話を聞くか、全員死ぬか、どっちか選べ!」
大臣は腰を抜かして、「わ、わかった…王の所に連れて行く」と言った。
その時、後ろでLV3の剣士が動こうとしていたので、沙希さんが反応した。
一瞬で間合いを詰めて、両腕を一瞬で切り落とした。
「ぎゃああああ!」
剣士の絶叫が広間に響き渡る。沙希さんは冷たい目で言った。「次は首だぞ」
震えている大臣に、「早く連れて行け」と言ってやる。
大臣は這うようにして案内を始めた。俺たちはその後ろを悠々と歩く。
廊下には兵士たちが倒れているが、もう誰も俺たちに立ち向かおうとする者はいなかった。
いよいよだ。俺たちをこの世界に呼んだ王と対峙する時が来た。




