表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと異世界召喚されたボッチのオタクとヤンキー女子、パーティ編成でクラスメイトにハブられて2人だけで異世界を生き残る  作者: ミコジ
異世界召喚編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/51

一ノ瀬 静香視点

私の高校デビューは順調だった。

入学式の日から、私はクラスメイト全員の名前を必死に覚えた。自己紹介の時に聞き漏らさないように、ノートに書き出して暗記までした。そして、目立ちそうな子たちの輪にさりげなく入っていく。カースト上位のグループに入ること、それが私の青春の使命だったから。


1ヶ月間、私は必死だった。休み時間は誰と話すか、お弁当は誰と食べるか、放課後は誰と帰るか。全てを計算して、やっと居場所を作ったのに——白い光に包まれて、異世界だって?

なにそれ? 冗談じゃないよ。パパ、ママ、助けてよ。魔物なんて、戦えないよ。


私が貰えたスキルは回復LV2。自分では戦えない。攻撃魔法もなければ、剣を振るう力もない。ただ傷を治すだけ。でも、みんなから「パーティに入ってくれ」って言われて、私はホッとした。役に立てるなら、またグループの中にいられるって。


みんながLV2のスキルなのに、LV3のスキルをもらった男の子がいた。ケンタが声をかけてくれて、その男の子のパーティに入れた。あぶれたのは、いつも遅刻してくるヤンキーの市橋さんと、1ヶ月誰とも話してるのを見たことない男の子。

大田くん? 大井くん? 入学した時に名前を覚えたけど、忘れちゃった。だって彼、全然喋らないし、教室の隅で本ばかり読んでるし、存在感が薄すぎたんだもん。


順当だと思った。私は努力してきた。人間関係を築くために必死だった。それに比べてこの2人は、人間関係を蔑ろにしてきたんだから、あぶれても仕方ないって思った。自分が惨めにならないように、そう言い聞かせた。


2人は城を追い出されてしまった。その後、食事を出してくれて、この世界の服に着替えさせられた。戦える装備をくれて、王様が期待しているって声をかけてくれる。

嫌だけど、みんなやる気になっているから、そんな事言えない雰囲気だ。お金もくれて、1人金貨1枚。どれだけの価値があるかわからないけど、みんな喜んでいる。私もとりあえず安心した。


剣術LV3を持ったケンタがリーダーシップを取って、みんなで冒険者ギルドに登録をした。

「俺が守ってやるから、全員で行動しよう」

ケンタのその言葉に、私たちは安心してついていった。30人で魔物狩りに出かけた。

ぷよぷよしたスライムみたいな魔物を何匹か倒して、その日は終わった。

宿に泊まって、好きな物を食べて……でも、貰った金貨はすぐに無くなった。みんなでぷよぷよを倒しても、1日で1人分の宿代にもならない。

お金が無くなり、みんな宿にも泊まれずに、疲れ切っていた。


ある日、ケンタが言い出した。「全員を養うのは無理だ」

その夜中に、私は連れ出された。5人でパーティを組み直すことになった。

なんとか生活出来るくらいにはなった。でも、だんだん私に対する扱いが酷くなっていく。

「戦いで私だけ何もしてない」って。分け前を減らされる時もあった。

当然私は文句を言った。「ケガをしなければ出番がないんだから、もっと稼げる強い魔物と戦ってよ!」って。


そしたら…私はゴブリンの群れの中に突き落とされた。

「ひっ!」

見捨てられたんだと理解するのに、数秒もかからなかった。

死にたくない。死にたくない。死にたくない。

誰か助けてっ! もうこんな世界イヤだよ!

縛られて、私はこの醜い魔物に食べられるんだって、泣いていたら——


男の子が突っ込んで来るのが見えた。

助かるっ! やった! 早く助けてっ!

彼は…大田くん? 大野くん? すごいスピードで魔物たちを倒して駆けつけてくれた。

カッコいい…。

あっ、私のおっぱいが丸見えだっ! いやっ見ないでっ! 恥ずかしいよぉ!


彼は私を助けた後、ケンタたちの所に行って怒ってくれた。ケンタたちの力を奪った? どういうこと?

そして私にキスをしてきた。

えっ?

唇が触れただけじゃない。舌が入ってくる。初めてのキス。しかも大人のキス。

戦える力をくれた?

私に槍術LV3が付いていた。さっきまで無かったから、彼が何かしたんだよね。あのキスで。


でも、私には行き場所が無かった。

元のクラスメイトたちには、ケンタが酷いことしてたから、同じパーティだった私のことも憎まれている。

初めての彼に助けてもらうしか無い。

初めておっぱいを見せた男の子。初めての大人のキスをした男の子。

責任取ってもらうんだ!


えっと、大田? 大野? どっちだっけ? 多分大野かな。

「大野くん!」って呼んだ。

彼は、ヤンキーの市橋さん——沙希さんが反対してたけど仲間にしてくれた。

武器も買ってくれて、便利な異空間スキルもくれた。

嬉しい…。彼も私のこと好きなのかも。


と思っていたら…なんか1人でしてる時、「沙希さん」って呼んでいた。

なんで? 私じゃないの?

思い切って聞いてみた。「なんで私をパーティに入れてくれたの?」って。

彼は言った。「初めて名前を覚えてくれていた人に会ったから」って。


やばかった。

あの時「大田くん」って呼んでいたら、今の私は無かったんだ!

う、うん…名前覚えていたよって誤魔化したけど、冷や汗ダラダラだった。

本当にギリギリセーフだった。私の高校デビューの努力が実を結んだ瞬間だ。


沙希さんに今はリードされているけど、絶対に大野くんは私の物にするんだ。

もう好きになっちゃったんだから。


沙希さんが「悪かったな。私はクラスメイトに興味なかったからな」って言った時、大野くんは「沙希さんの事情はわかってますから大丈夫ですよ」って言った。

その優しい言葉が私にも向けられるように。


絶対に大野くんは私の物にするんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ