またバレる自慰
俺たちの力がバレるのではないかという心配は、結局のところ杞憂に終わった。
あの4人組は、自分たちの力が失われたことを知られるのを何よりも恐れていたらしい。今までの彼らの傲慢な振る舞いが仇となった。スキルを失い、ただの一般人に成り下がった彼らは、かつて見下していた冒険者や、力を持った他の召喚者たちから報復されるのを恐れ、誰にもその事実を口にしなかった。
重い装備を身につけ、無理をして街の外へと繰り出したらしいが、スキルの補佐を失ったその体に鉄の鎧は重すぎた。フラフラと森の入り口まで行ったきり、そのまま帰ってこなかったという噂を聞いた時は、複雑な気持ちになったが、自業自得だと割り切ることにした。
そして、もう一人の当事者であるあの女の子。彼女はあの傲慢なパーティの一員だったという烙印のせいで、元クラスメイトたちのパーティからも拒絶され、孤立してしまっているらしい。俺たちが助け、力を与えたはずなのに、彼女の居場所はなくなってしまったようだ。
宿に戻った俺たちは、まずスキルの整理を行った。
俺が新たに手に入れたスキルは、投擲LV3 6/20、棒術LV3 7/20、火魔法LV2と火魔法LV1 2/3、それに水魔法LV1だ。
沙希さんには、いつものように濃厚なキスでスキルを渡す。
「んっ…」沙希さんがステータスを確認する。「剣術LV3 2/20、短剣術LV3 7/20、弓術LV2 3/10か。順調に伸びてるな」
俺も自分のステータスを確認しながら、特に水魔法が手に入ったことが嬉しかった。
「水魔法、試してみてもいいですか?」
「好きにしろよ。部屋が水浸しになっても知らねえぞ」沙希さんがベッドに腰かけながら言う。
俺は水魔法を発動しようとイメージを凝らす。指先から水が出るイメージ。
プシュッという音ととも、手のひらからチョロチョロと透明な水が湧き出てきた。
「おおっ! 出ましたよ、沙希さん!」
すごい。無から水が生まれている。
ふと気になった。これ、飲めるのだろうか?
もしこれが飲料水なら、遠征の時に水を持ち運ぶ必要がなくなる。俺は恐る恐る、指先から出る水を舌で舐めてみた。
「美味しい」
冷たくて、澄んだ味がする。不純物も臭いもない、真水だ。
「沙希さん! これ飲めます! 水に困らなくなりそうです!」
「マジか? そりゃあ便利だな。料理にも使えそうだ」沙希さんも感心したように頷く。
便利なスキルが手に入って上機嫌になったが、夜が更けると別の問題が俺を襲ってきた。
昼間、あの女の子のおっぱいを見てしまったのだ。
破れた服から丸見えになっていた、白くて柔らかそうな二つの膨らみ。泣きじゃくって震えていたその姿が、頭から離れない。
15歳の健康な男子として、あれを見て何も感じないわけがない。そして、ずっと溜まっているものがある。
俺は横で沙希さんが寝息を立てているのを確認した。規則正しい寝息。熟睡しているようだ。
…やるか。
俺はゴソゴソと布団の中でパンツの中に手を入れた。同時に、手拭いを取り出して受け止める準備をする。沙希さんにバレたら間違いなく殺されるか、殴られるくらいの制裁を受けるだろう。息を殺し、極限の緊張感の中で俺は自分を慰め始めた。
頭の中に浮かぶのは、昼間の光景だ。でも、いつの間にかそのイメージは変容していく。
あの女の子のおっぱいじゃなくて、いつも隣にいる、強くて優しくて、時折見せる隙がある彼女の胸を想像していた。
沙希さん…沙希さんのおっぱい、きれいなんだろうな…触れたら気持ちいいんだろうな…
「沙希さん…おっぱい、きれいだ…」
俺は小声で呟きながら、最後の瞬間を迎えた。手拭いに白濁した液を吐き出し、息を整える。
…やべ、気持ちよかった。
俺はこっそりと手拭いを処理し、安堵のため息をついて眠りについた。
翌朝、目が覚めると、俺はとんでもない状況にいた。
俺は沙希さんの胸に抱きついていたのだ。
しかも、ただ抱きついているだけじゃない。顔を胸に埋め、その柔らかさを存分に堪能するような体勢で。
(ひいいいいい!)
俺はパニックになりかけたが、動けなかった。沙希さんはまだ寝ているのか?
恐る恐る見上げると、沙希さんは目を閉じたまま、顔を真っ赤にしていた。明らかに起きている。でも、何も言わずに俺を放置している。
「す、すみません!」
俺は弾かれたように飛び起きた。
沙希さんはゆっくりと目を開け、ちょっと気まずそうに視線を逸らした。
「ああ…別に、気にしてないぞ」
その声は少し震えていて、顔もリンゴみたいに赤い。いつもの強気な沙希さんじゃない。
「ど、どうしたんですか? 顔、真っ赤ですよ?」俺は心配になって聞いた。
「う、うるせえ! なんでもねえよ! 早く準備しろ!」沙希さんは俺を追い立てるようにしてベッドから降りた。
なんだろう、この気まずい空気は。
昨夜の俺の独り言、聞かれてないよな? 「おっぱいきれいだ」なんて言ってるの聞かれてないよな?
嫌な予感が胸をよぎるが、今は考えるのをやめた。
俺たちは気まずい空気を引きずったまま準備をし、ギルドへ向かった。
昨日回収した魔石を換金し、いつものように壁の外へと出る。
今日はまたゴブリンの集落を探して、レベル上げと稼ぎをすることになっている。
森への道を歩きながら、俺はふと違和感を覚えた。
索敵スキルを発動していると、俺たちの後ろにぴたりとついてくる反応が一つある。
距離にして常に50メートルほど。近づきすぎず、離れすぎず。
野生動物ではない。人間だ。それも、俺たちの足並みに合わせて歩いている。
「沙希さん、俺たちの後ろに誰かついてきてます」
俺が小声で伝えると、沙希さんも無言で頷いた。
「ちょっと待ってみましょう。罠なら危ないですし」
俺たちは森の入り口で立ち止まり、待ち構えることにした。
木陰に身を隠し、反応が近づいてくるのを待つ。
ガサガサと茂みが揺れ、一人の人影が現れた。
「あ…」
俺は声を漏らした。
そこにいたのは、昨日助けたあの女の子だった。
回復魔法LV2と、俺が渡した槍術LV3を持っている子だ。
彼女は俺たちの姿を見つけると、ホッとしたような、それでいてどうしていいか分からないような表情で立ち尽くした。




