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クラスごと異世界召喚されたボッチのオタクとヤンキー女子、パーティ編成でクラスメイトにハブられて2人だけで異世界を生き残る  作者: ミコ


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23/31

女の子を救出

茂みの奥から覗く集落の中心で、その少女は泣いていた。

ゴブリン特有の臭気が鼻をつく。百体近くの緑色の肌をした醜悪な小人が、輪になって何かを囲んでいる。その中心にいるのは、ゴブリンではない。


「あれは…」

見覚えがある。クラスの女子だ。メインパーティに入っていた、回復魔法LV2を持っている女の子。

なんでこんなところにいる? 彼女は剣術と槍術のLV3を持っているあの目立つ二人の男子と一緒に行動していたはずだ。最強のパーティとして、いつも一緒にいたはずなのに。


連れてこられたばかりみたいで、まだ手酷く暴行された形跡はないようだが、両手を縛られ、柱に括り付けられている。

その時、一際体格の良いゴブリンがギャギャーと耳障りな声で叫んだ。

瞬間、周囲のゴブリンたちが一斉に彼女に飛びかかった。

粗末な服が引き裂かれ、白い肌が露わになる。


「ヤバイ!」

俺は叫ぶと同時に駆け出した。「沙希さん! 少しくらいの取りこぼしがあってもいいから、急いで倒します!」

「おう! 邪魔な雑魚は私が薙ぎ払う!」


俺は走りながらギフトテイカーを連続で発動する。

ズルズルズルッ!

視界のゴブリンたちからスキルが次々と引き剥がされていく。

奪われて硬直したゴブリンに向かって、俺は棍棒を振り回した。

沙希さんは剣術LV3の真骨頂とも言える動きで、ゴブリンの群れを文字通り薙ぎ払う。


「邪魔だ!」

彼女の鮮やかな剣閃が走るたびに、ゴブリンが両断されていく。

俺も必死だ。百体という数は圧倒的だが、俺たちの連携はもはや無意識の領域に達していた。俺がスキルを奪い、動きを止め、沙希さんが仕留める。あるいは俺が奪いながら棍棒で殴り飛ばす。


数分が永遠に感じられる激闘の末、最後のゴブリンが沙希さんの剣に貫かれて絶命した。

静寂が戻る。血と内臓の臭いが充満する中、俺は荒い息を吐きながら少女の方へ駆け寄った。


間に合った。

服はボロボロに破られ、胸もあらわになって泣いているが、パンツだけは履いている。ギリギリセーフだ。

しかし、縛られたままでは破れた服も隠せず、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔も、揺れる胸も丸見えだ。彼女は羞恥と恐怖で身を縮めている。


「沙希さん、お願いします」

俺はそれ以上見ないように視線を逸らし、俺にできる仕事である魔石の回収に徹した。沙希さんが優しく彼女の縄を解き、自分の予備のシャツを着せてくれているのが背中の気配で分かる。


「大丈夫か? 怪我は?」沙希さんの低い声が響く。

「うぅ…ひぐ…見捨てられて…」

彼女の嗚咽が漏れ聞こえてくる。


事情は沙希さんが聞き出してくれた。

いつも通り、5人でゴブリン狩りをしていた時のことらしい。逃げたゴブリンを深追いしたのが運の尽きだった。

罠にかかり、百体のゴブリンに囲まれた瞬間、剣術と槍術を持ったあの二人が、彼女を突き飛ばした。

「お前が囮になれ!」と。

そして残りのメンバーも彼女を見捨て、4人で逃げ去ったらしい。結局、彼女一人だけが捕まってしまったのだ。


俺は魔石を回収する手を止め、深いため息をついた。

ふざけるな。

LV3のスキル持ちが二人もいれば、ゴブリン百体くらいで遅れを取ることはないはずだ。二人が前衛としてしっかり立ち回り、後衛が支援すれば勝てる相手だ。それなのに、なぜ仲間を見捨てられる? なぜ囮にする?


怒りが腹の底から込み上げてきた。

魔石と武器を異空間に放り込み、俺たちは街へと戻った。

彼女の話によると、彼らがいつも泊まっている宿があるらしい。俺たちはそこへ向かった。


宿の食堂に入ると、あいつらがいた。

剣術と槍術の男、そして火魔法LV2の女子、弓術LV2の男。4人が楽しそうに食事をしていた。

コイツら、仲間を魔物の群れに売っておいて、平然と飯を食っているのか!


俺たちが彼女を連れて入っていくと、彼らが気づいた。

回復の女子を見るなり、剣術の男がニヤリと笑った。

「おう、なんだ無事だったのか? 今から助けに行く所だったんだぜ」


は?

今から? 百体のゴブリンに囲まれた仲間を、数時間も放置しておいて?

俺の怒りのボルテージが一気にマックスに達した。


「何で見捨てたんだ!」

俺は怒鳴った。店の中が静まり返る。


槍術の男が面倒くさそうに眉をひそめた。

「はあ? だって戦闘中コイツ何もしないしよ。回復なんかケガしないと役立たずなんだよ。それなのに魔石の金はちゃんと山分けしてって要求してくるし、割に合わねえだろ」


開き直りやがった。

こいつらにとって、仲間は金を生む道具でしかないのか。使い物にならなくなれば捨てるゴミか。


「もういい!」

俺は一歩前に出た。考えるよりも先に体が動いていた。

「ギフトテイカー!」


ズルズルズルッ!

4人分のスキルが一気に引き剥がされる感覚。

剣術LV3、槍術LV3、火魔法LV2、弓術LV2。

俺の中に次々とスキルが放り込まれていく。

4人が一瞬で脱力し、膝から崩れ落ちた。


「あ、あれっ?」

「力が…消えた?」


俺は回復の女子に近づいた。

彼女は驚いて俺を見上げている。

「ごめん、ちょっとじっとしてて」

俺は彼女の顔に自分の顔を近づけ、唇を重ねた。

舌が触れ合った瞬間、俺の中の槍術LV3が彼女へと流れていく。

濃厚なキス。でも今は色気なんてない。これは譲渡だ。


唇を離すと、彼女は呆然としていた。

「これで君は戦えるよ。ステータスを見てみて」

「えっ?」彼女が虚空を見つめる。「回復LV2…槍術LV3? 私に、槍術が?」


沙希さんが横で「あちゃー」って顔で俺を見ている。頭を抱えている。

やっちゃったな、という顔だ。


4人は自分のステータスを見て、何もないことを悟り、顔を真っ赤にして騒ぎ出した。

「お前、何をしたんだ!」

「スキルがねえ! 返せ!」


剣術の男が俺の胸ぐらを掴みかかってきたが、スキルもないただの一般人が、毎日魔物と戦っている俺に勝てるわけがない。

俺は片手で彼の手を掴み、簡単にねじり上げた。

「ぐあっ!」


俺は彼を床に押し付けるようにして見下ろした。

「お前たちは力を持ったらダメな人間だ。自分より弱い者を守る気概もなく、金のためだけに仲間を売るような奴に、その力は必要ない」

「な、何様だお前は!」


「この世界で戦い以外で生活する仕事を見つけろ。料理でも、掃除でも、運搬でもなんでもあるだろ。もう冒険者は辞めろ」

俺は彼の手を離し、沙希さんに向き直った。

「沙希さん、帰ろう」

「…はあ、仕方ねえな」


俺たちは呆然とする元クラスメイトたちと、新しい力に戸惑う回復の女子を残して、宿を出た。


帰り道、沙希さんに怒られるのは分かっていた。

「拓也のバカ! お前の力がバレちまったじゃないか!」

沙希さんは宿を出た途端、俺の背中をドカッと叩いた。


「あいつら、絶対にギルドにチクるか、他の冒険者に言いふらすぞ。そしたらお前のギフトテイカーが目立って、貴族とか王族とかに狙われるかもしれねえんだぞ!」


俺は頭を掻いた。

「…ごめんなさい。でも、あいつらの顔見てたら、ムカついて抑えられなかったんです」

「わかってるよ。あいつらクソだもんな。私もブチ切れそうだったし」沙希さんはため息をついた。「でもよ、これからはもう少し慎重に行こうぜ。お前のその力は、とんでもねえ武器になる代わりに、とんでもねえ厄介ごとを呼び寄せるからな」


「はい…気をつけます」

俺は沙希さんの言葉に素直に頷いた。

後悔はしていない。あの女子がこれから一人でも生きていける力を手に入れたこと、あのクズ共が力を失ったこと、それが正しいことだと信じているから。


でも、確かに俺の正体がバレてしまったことは、大きなリスクだ。

俺たちはいつも以上に警戒しながら、自分たちの宿への道を急いだ。

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