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クラスごと異世界召喚されたボッチのオタクとヤンキー女子、パーティ編成でクラスメイトにハブられて2人だけで異世界を生き残る  作者: ミコ


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拓也の決意

「沙希さん、この世界での俺の目標が決まりました!」


路地裏で見た光景の余韻を引きずりながら宿に戻り、ベッドの端に腰かけていた沙希さんが、無言で俺を見つめてきた。その瞳には、俺が何を言い出すのかを察しているような、静かな光が宿っていた。


俺は拳を握りしめ、腹の底から湧き上がる感情をそのままに叫んだ。

「俺は、この国をぶっ潰します!」


声が震えた。でも、それは恐怖なんかじゃない。怒りだ。

「勝手に俺たちを召喚しておいて、魔物を倒す使い捨て兵器みたいに扱うなんて、絶対に許せない! 召喚したんだから、戦えない者は保護するのが当たり前だろう! なのにあいつらは、俺たちを城から追い出して、勝手に死ねって言ってるようなもんだ!」


沙希さんは何も言わず、ただ静かに俺の言葉に耳を傾けている。その沈黙が、俺の言葉をさらに加速させた。


「あの城でのパーティ決めもおかしかったんだ! 今思えば、別に冒険者パーティは5人じゃなくたっていいはずだ。4人で組ませれば、誰もあぶれずに全員で組めたんだ。それなのに、わざと2人あぶれるように『5人』って言って、俺たちを見せしめにして仲違いをさせたんじゃないか? みんなを好きに動かせるように、『ああなりたくなかったら魔物を倒してこい』って脅すための道具に俺たちを使ったんだ!」


俺の声が部屋の中に反響する。荒い呼吸がついてくる。今まで漠然と感じていた違和感や怒りが、言葉にしてみてはっきりとした形になった。あのクラスメイトたちが俺たちを嘲笑った時の目、城の兵士たちの冷ややかな視線。全部が繋がった。


「目標はレベル5です! どれだけの力が手に入るか分からないけど、俺たち以外の召喚者が二度と苦しまなくていいように、もう二度と召喚なんか出来ないように、この国をぶっ潰します!」


俺は珍しく怒りを露わにしていた。いつもはビビって沙希さんの後ろに隠れているような男の言葉じゃないかもしれない。でも、俺は本気だった。


沙希さんは俺の話を最後まで黙って聴いてくれた。そして、ふっと柔らかい笑顔を見せた。

「拓也はやっぱり優しいな」


「えっ?」

優しい? 俺が? 国をぶっ潰すとか言ってるのに?

「私も付き合うぜ。拓也1人じゃ頼りないからな」

沙希さんはそう言って、軽く俺の肩を小突いた。

「2人でこの国をぶっ潰そうぜ」


その言葉に、俺の胸に詰まっていたモヤモヤが一気に晴れていく気がした。沙希さんが一緒なら、どんな無謀な目標でも叶えられるような気がする。


「でもよ、そうなると元クラスメイトたちのことはどうする? あいつら、城の思惑通りに私たちをバカにして、自分たちの方が立場が上だと思い込んでるぜ」沙希さんが腕を組みながら言う。


俺は少し考えた。「話しても無駄でしょうね。今まで通り、お互い干渉しないでいた方がいいと思います。でも…」


「でも?」

「次にゴブリンの集落を潰した時、アイツらがまだ初心者枠で苦戦してるなら、回収した武器くらいはコソッと近くに落としてやるくらいはしましょうか。あいつらが拾えばいいし、誰かが拾っても文句は言われないでしょうし」


「ふん、甘いねえ」沙希さんは呆れながらも笑った。「ま、それくらいならいいか。余計な恨み買う必要もねえしな」


「それと、もう一つやりたいことがあります」

俺は声を潛めた。「冒険者ギルドに、次の召喚者がもし来た時用に、マニュアルを置いておきたいんです」


「マニュアル?」

「はい。俺たちの制服は高く売れます。クラスで仲違いをさせられているなら、それは城の思惑だってことを伝える。全員で力を合わせろって。まずはスライムやゴブリンを倒してランクを上げること、依頼をこなせば生活水準は上がること、最低限の生き方を書いた紙を残しておきたいんです」


沙希さんは目を輝かせた。「いい考えだな。次の犠牲者を減らすには一番手っ取り早いかもな」

「ええ。でも、次の召喚者が来る前に、この国を潰せちゃえば一番いいんですけどね」と俺が苦笑いすると、

「明日ギルドのお姉さんに聞いてみるか。どのくらいのスパンで召喚されているのか」と沙希さんが提案してくれた。

「そうですね。俺たちが来た時のあの態度からすると、結構な頻度で来てそうでしたよね。ルーティンって感じでしたし」


俺たちが真剣な話をしているうちに、部屋の空気は少し熱くなっていた。

沙希さんが俺の顔を見て、ニヤリと悪戯っぽく笑った。


「ずっと怒ってても、体に悪いぞ? すぐにレベル5になれるわけじゃないんだし、一旦落ち着けよ」

そう言って、沙希さんは胸を少し強調するようにして、とんでもないことを言い出した。

「落ち着くためにおっぱい揉むか?」


「ぶっ!」俺は思わず吹き出した。

こいつ、またそんなこと言ってからかってくる。

でも、俺はもうただのビビリじゃない。沙希さんの優しさも、からかいも、全部受け止める度量はついたはずだ。


俺はニヤリと笑い返して、手をニギニギさせながら一歩ずつ近寄っていった。

「じゃあ、お言葉に甘えてお願いします!」


沙希さんの表情が一瞬で凍りついた。「はっ? おい、待て…ば、バカ、冗談だぞ!」

真っ赤な顔をして、ベッドの上で後退りしていく沙希さん。

俺は追いかけ、「冗談は通じませんよー!」と更に迫る。


「ひゃっ! こら、ストップ、ストップ!」

「ここは譲れません! 沙希さん、覚悟してください!」

俺たちはベッドの上で取っ組み合いになり、やがて笑い転げた。


目標は決まった。この腐った国をぶっ潰す。

そのためには、圧倒的な力が必要だ。

明日から、もっともっと頑張ってレベルを上げていこう。

沙希さんと二人で、絶対に成し遂げてやる。

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