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1-34話:平和が続くほど、だいたい嫌な予感は当たる

 それから一週間。

 本当に、何も起きなかった。


 何かが起きそうな気配だけは、ずっとあった。


 レンマはいつも通り軽かったし、カイリはいつも通り元気だった。


 コハルも、怖くないと言えば嘘になるけれど、少しずつ二人がそばにいる状態に慣れていった。


 朝、出勤する。

 会社で仕事をする。

 昼休みにスマホを見ると、マナトから「体調は問題ありませんか」と連絡が来ている。

 夕方になると、レンマが迎えに来る。

 その後ろか隣に、カイリがいる。


 そして、なぜか自然な流れで三人でご飯に行く。


「今日は普通のお店ですよね?」


「普通だよ」


「レンマさんの普通、怖いんですよ」


「今日は本当に普通」


「経費ですか?」


「経費だね」


「やっぱり怖い」


 そんなやり取りも、いつの間にか日常の一部になっていた。

 カイリは、最初の頃より声量を抑えるのが上手くなった。


「お疲れ様です!」


「声量」


「あ、すみません。お疲れ様です」


「はい、お疲れ様です」


 それでも元気なのは変わらない。

 レンマは相変わらず、何でもない顔で周囲を見ていた。

 笑いながら話しているのに、視線だけが時々人混みを流れる。


 カイリも同じだった。

 会話に入っているようで、意識の一部を外へ向けている。

 コハルにも、少しずつそれが分かるようになった。


 守られている。

 その実感は、安心でもあり、怖さでもあった。

 そして、マナトとは毎晩連絡を取っていた。


『今日は異常ありませんでしたか』


「はい。何もなかったです」


『食事は取りましたか』


「取りました。レンマさんとカイリさんと」


『……そうですか』


「今、少し間がありました?」


『ありません』


「ありましたよね?」


『気のせいです』


 そんなやり取りもあった。


 最初の数日は、マナトの声にも張り詰めたものがあった。

 けれど、何も起きない日が続くと、報告することも少なくなる。


 今日は何を食べたとか。

 カイリが大学をまた休むと言っていたとか。

 レンマが「普通の店」と言って、結局それなりに高そうな店に連れていったとか。

 そんな話で終わる夜も増えた。


『カイリさんには、大学を優先するよう伝えてください』


「私も言ったんですけど、仕事ですからって言われました」


『リンカさんにも伝えます』


「怒られそうですね」


『怒られるべきです』


「マナトさん、ちょっと先生みたいです」


『俺は正常なことを言っているだけです』


 平和だった。

 少なくとも、表面上は。

 だからこそ、コハルはときどき思った。


(……なんか、拍子抜け)


 もちろん、何も起きない方がいい。

 何も起きないということは、誰も怪我をしていないということだ。

 レンマも、カイリも、マナトも、必要以上に動かずに済んでいるということだ。


 それは分かっている。

 分かっているのに。

 心のどこかが、ずっと落ち着かなかった。


「……なんか、拍子抜けですね」


 ある日の帰り道。

 コハルは、思わずそう呟いていた。

 駅前から少し離れた道。

 夜の空気は冷たく、街灯の光がアスファルトにぼんやり落ちている。


 前を歩くレンマが、振り返らずに言った。


「いいことじゃない?」


「いや、そうなんですけど……」


 コハルは眉を寄せる。


「なんか、こう……あれだけ言われてたのに、何も起きないと逆に怖いというか」


「分かる」


 レンマは、あっさり頷いた。


「分かるんですか」


「うん。こういう時、だいたい裏で準備してるからね」


「やめてください、その言い方」


「事実だから仕方ない」


 隣を歩いていたカイリが、真面目な顔で頷く。


「警戒は継続すべき状況です!」


「声量」


「あ、すみません」


 カイリは慌てて声を落とした。


「警戒は、継続すべき状況です」


「言い直さなくても大丈夫です」


「はい!」


「声量」


「あ、すみません」


 コハルはため息をついた。

 でも、その表情はどこか穏やかだった。


 怖い。

 けれど、一人ではない。

 この一週間で、そこだけは確かに変わった。


 レンマの軽さに助けられる日があった。

 カイリの真っ直ぐさに、笑ってしまう日があった。

 マナトの電話越しの声に、安心する夜があった。


 非日常は、確かにすぐそばにある。

 それでも、日常はまだ壊れていない。

 そう思えていた。


 その夜。


 コハルは、いつも通り部屋に戻った。

 鍵を閉める。

 チェーンをかける。

 窓を確認する。


 マナトに「帰宅しました」と送る。

 すぐに既読がついた。


『鍵と窓の確認をお願いします』


「毎日同じですね」


 小さく笑いながら、コハルは返信する。


『確認済みです。大丈夫です』


 数秒後。


『よかったです。今日は早めに休んでください』


 それだけの文面なのに、胸の奥があたたかくなる。


「……はいはい」


 誰に言うでもなく呟いて、コハルはスマホをテーブルに置いた。

 その後、軽く部屋を片づけて、明日の服を準備して、洗面所へ向かう。


 いつもの夜。

 何も変わらない夜。

 脱衣所で服を脱ぎ、浴室に入る。


 シャワーをひねると、温かい水が音を立てて流れ出した。

 湯気が白く広がっていく。

 肩に当たる湯が、じんわりと疲れを溶かしていく。


「……はあ」


 思わず息が漏れた。


 この一週間、平和だったとはいえ、気は張っていた。

 普通に仕事をして、普通に笑って、普通にご飯を食べているつもりでも、どこかでずっと警戒していた。


 レンマやカイリがそばにいる時はまだいい。

 一人になると、ふとした音に反応してしまう。


 冷蔵庫の音。

 隣室の物音。

 外を走るバイクの音。

 配管を流れる水の音。


 今までは気にもしなかった生活音が、妙に大きく聞こえるようになっていた。


「……慣れたくないな、これ」


 小さく呟いて、コハルはシャワーを手に取った。


 髪を濡らす。

 顔にかかる湯を手で拭う。

 首筋から背中へ、水が流れていく。


 その瞬間だった。


 ――ぞわっ。


 背筋に、冷たいものが走った。


「……え?」


 理由は分からない。

 音がしたわけではない。

 何かが見えたわけでもない。

 ただ、体の奥が先に反応した。


 嫌だ。


 ここにいたら駄目だ。

 そういう感覚が、頭より先に走った。

 コハルは反射的に、シャワーの下から一歩離れた。


 直後。


 バシャッ。


 床に落ちた音が、明らかに違った。

 水ではない。

 重い。

 濁った。

 粘ついた音。


「……は?」


 コハルは、シャワーヘッドを見る。

 そこから流れていたのは、湯ではなかった。


 黒い。


 泥水のように濁った、粘つく液体。

 排水口へ流れていくはずのそれが、床の上でぬるりと広がった。


「なに、これ……」


 声が震える。


 黒い液体は、床のタイルの上で止まった。

 流れない。

 排水口へ向かわない。

 まるで意思があるみたいに、ぐにゃりと波打った。


「……っ」


 コハルは後ずさる。

 背中が壁に当たった。


 黒い泥水が、ゴボ、と音を立てる。

 気泡が膨らむ。

 弾ける。

 また膨らむ。


 そして、ゆっくりと持ち上がった。


 床から、空中へ。

 重力に逆らうように、黒い塊が集まっていく。


「嘘……」


 腕のようなものが生える。

 肩ができる。

 胴が伸びる。

 脚が床に落ちる。


 人型。


 それは、人の形をしていた。

 けれど、人ではなかった。

 黒く濁った表面。


 水とも泥ともつかない粘り。

 顔の位置にある、空洞のような目。

 輪郭は、男のそれに近かった。


 浴室の白い湯気の中に、黒い男が立っている。


 あまりにも異様で。

 あまりにも最悪で。


「ぎゃああああああ!!!」


 コハルは全力で叫んだ。


 叫びと同時に、体が勝手に動く。

 胸の奥が熱くなる。

 血流が変わる。

 呼吸が変わる。

 視界が広がる。


 ――万能の心得(フルポテンシャル)


 発動。


 久しぶりの、完全発動だった。

 仕事中、発動しかけたことは何度かあった。


 危ないと思った瞬間。

 驚いた瞬間。

 マナトに心配された瞬間。

 けれど、すぐに抑え込んできた。


 今回は違う。

 抑える余裕なんてなかった。

 骨格が変わる。

 筋肉が張る。

 肩幅が広がる。

 重心が低くなる。


 女の体から、男の体へ。


 恐怖と怒りと羞恥が混ざったまま、戦闘に適した形へ切り替わる。


「変態っ!!!」


 理屈ではなかった。


 敵かどうかも、目的も、能力も関係ない。

 風呂場に出た。

 男の形をしている。

 気持ち悪い。


 それだけで十分だった。


 ――ドゴッ!!


 拳が黒い男の顔面に入った。

 硬い感触ではない。

 水袋を殴ったような、ぬるりとした感触。

 それでも、衝撃は通った。


 黒い男の首がありえない方向に曲がり、体ごと吹き飛ぶ。


 ガシャァァン!!


 鏡が割れた。


 壁に叩きつけられた泥の男が、ぐにゃりと潰れる。

 鏡の破片が床に散り、浴室の灯りを受けて細かく光った。


 黒い液体が壁を伝う。

 けれど、男は崩れない。

 潰れた形のまま、まだそこにいる。


「なにこれ……?」


 コハルは荒い息を吐いた。


 自分の拳を見る。

 黒い泥のようなものが、手の甲に付着している。


「うわ、最悪……!」


 振り払う。

 落ちない。

 ぬるりと伸びる。


「ほんとに何なのこれ!?」


 その時。


「コハルちゃん!?」


 外からレンマの声がした。

 いつもの軽い声ではない。

 明らかに緊急時の声だった。


「今の悲鳴――!」


「敵です!!」


 カイリの声が重なる。

 同時に、浴室の外で空気が揺れた。


 次の瞬間。


 バキィッ!!


 窓ガラスが派手に割れた。

 外から二つの影が飛び込んでくる。


 レンマが先。

 カイリが後。


 入ってくる速度に、ほとんど躊躇がなかった。


「コハルちゃん、大丈夫!?」


「結界展開します!」


 そして。


 数秒の沈黙。


 レンマとカイリが、コハルを見る。

 コハルも二人を見る。


 浴室。

 割れた鏡。

 壁にめり込んだ泥の男。


 そして。


 今、コハルは裸だった。

 男体化しているとはいえ。

 裸は裸だった。


「きゃああああああ!!!」


 さっきとは別方向の絶叫が響いた。


「ちょ、コハルちゃん!?」


「見ないでっ!!」


「大丈夫! 今男の身体だから!」


「いやでも、嫌なもんは嫌です!」


「ごめん!!」


 レンマは即座に目を逸らした。

 判断が速かった。

 戦闘中とは思えないほど速かった。


 カイリも、ものすごい勢いで壁を見る。


「見てません! 見てません!」


「絶対見ましたよね!?」


「一瞬だけです!」


「正直すぎる!!」


「申し訳ありません!!」


「謝るなら見ないでください!!」


「見てません!!」


「一瞬だけって言いましたよね!?」


「言いました!!」


「なんでそこ元気なんですか!!」


 空気が、最悪な方向にぐちゃぐちゃになった。


 しかし。


 その中でも、レンマだけは完全には緩んでいなかった。


 目は逸らしている。

 だが、風はもう浴室全体に回している。


 床。

 壁。

 排水口。

 窓。

 天井。

 泥の男。


 すべてを探っている。


「コハルちゃん、動ける?」


「動けますけど! 今見ないでください!」


「見てない見てない」


「そのまま見ないでください!」


「了解」


 レンマは苦笑しそうになったが、すぐに表情を消した。

 壁にめり込んでいた黒い男が、動いた。


 ぐにゃり。


 潰れていた頭部が戻る。

 曲がっていた首が元に戻る。

 壁に貼りついた泥が、ずるりと剥がれる。

 排水口から、また黒い水が滲み出ていた。


 いや。

 滲み出ているのではない。

 集まっている。

 浴室の中の水分を、黒い男が吸い寄せているように見えた。


「……カイリくん」


 レンマの声が変わる。


「はい」


 カイリの返事も変わった。

 さっきまでの慌てた声ではない。

 任務中の声。


「逃げ道、塞いで」


「了解しました」


 カイリが片手を上げる。


 透明な膜のようなものが、浴室の空間に重なる。

 薄い光の線が、壁をなぞる。


 床を這う。

 天井へ伸びる。

 窓枠に絡む。

 排水口の周囲を縛る。


 結界。


 見えない箱が、浴室全体を包み込んだ。


 黒い男が、ぬるりと体を揺らす。

 その瞬間、排水口の黒い水が跳ねた。

 カイリの眉が動く。


「排水管側からの侵入経路を確認。水路を使っています」


「能力的に、この前の奴とは別人だね」


 レンマは軽く言った。

 けれど、目は笑っていない。


「お風呂場から来るとか、普通に最低だよ」


 黒い男が、口のようなものを開いた。

 音は出ない。

 だが、笑ったように見えた。


 コハルはぞっとした。


 さっきまでの羞恥が、一瞬で恐怖に塗り替わる。


 こいつは、偶然ここに来たわけではない。

 狙って来た。


 自分が一人になる場所を。

 無防備になる時間を。

 助けを呼びづらい状況を。

 分かっていて、来た。


「……っ」


 コハルの手に力が入る。


 男体化した体はまだ熱い。

 拳には、さっき殴った感触が残っている。

 でも、気持ち悪い。

 怖い。

 腹が立つ。

 全部混ざって、うまく息ができない。


「コハルちゃん」


 レンマが、目を逸らしたまま言った。


「タオル、取れる?」


「取れます!」


「取ったら、カイリくんの後ろに下がって」


「……はい!」


 コハルは慌てて浴室の隅に手を伸ばし、バスタオルを掴む。


 男の体になっているせいで、いつもの感覚と違う。


 腕が長い。

 肩が広い。

 布を巻く動作すら、妙にぎこちない。

 それでも、とにかく体を隠す。


「巻きました!」


「見ていい?」


「敵だけ見てください!」


「了解」


 レンマは前だけを見た。


 泥の男が、完全に壁から離れる。

 床に落ちる音はしなかった。

 まるで重さがないみたいに、ぬるりと立つ。

 体の表面から、黒い水滴が落ちる。

 落ちた水滴が床で跳ねるたび、タイルが黒く染みていく。


「触らない方がいいですね」


 カイリが静かに言った。


「侵食系?」


「可能性があります。水分を媒介にしているなら、接触後に体内へ入り込む危険もあります」


「うわ。さっき殴っちゃったんですけど!?」


 コハルが叫ぶ。


「手、大丈夫!?」


 レンマが反射的に振り返りかけた。


「見ないでください!」


「ごめん!」


 レンマは即座に前を向く。

 カイリが横目でコハルの拳を見る。


「付着していますが、皮膚内への侵入はまだ確認できません。後で浄化します」


「まだって何ですか、まだって!」


「今すぐ浄化すると防御結界が薄くなります。申し訳ありません、優先順位の問題です」


「めちゃくちゃ冷静!」


「仕事ですから!」


「今それ言うんですか!?」


 レンマが息を吐く。


「いいね。二人とも元気で」


「元気ではないです!」


「俺もそう思います!」


「カイリくんは元気だよ」


「はい!」


「認めるんだ……」


 その瞬間、泥の男が動いた。


 腕が伸びる。

 人間の関節ではありえない角度で、黒い腕が蛇のようにしなる。


 狙いはコハル。


 速い。

 けれど。


「させない」


 レンマが指を振った。


 風が鳴る。

 見えない刃が、黒い腕を斬り落とした。

 床に落ちた腕が、びちゃりと潰れる。

 だが、すぐに形をなくし、黒い水となって本体へ戻ろうとする。


「カイリくん」


「封じます」


 カイリの結界が床を走る。

 戻ろうとした黒い水が、透明な膜に弾かれた。

 水滴が震える。

 そして、床の上で動きを止めた。


「便利だね」


「ありがとうございます」


「褒めてる場合ですか!?」


「褒めるところは褒める主義で」


「今ですか!?」


 コハルの叫びを背に、レンマは一歩前へ出る。


 浴室は狭い。

 風を大きく使えば、コハルまで巻き込む。

 カイリの結界にも負荷がかかる。


 鏡は割れている。

 窓も割れている。

 床は濡れている。

 敵は液状。


 最悪の戦場だった。


 けれど、レンマの口元には薄い笑みが浮かんでいた。


「……悪いけどさ」


 声は軽い。

 でも、その奥に冷たいものが沈んでいる。


「タイミング、最悪だよ」


 泥の男が、また笑ったように見えた。

 顔の空洞が、ぐにゃりと歪む。


 その瞬間。

 空気が濁った。

 浴室の湯気が黒ずむ。

 床に残った水滴が震え始める。

 シャワーヘッドから、再び黒い泥水が漏れた。


 カイリの結界が軋む。


「……これは」


 カイリの声が低くなる。


「本体ではない可能性があります」


「分身体?」


「あるいは、媒介体です。水回り全体を使って、形を作っているだけかもしれません」


「つまり?」


「倒しても、元を断たないと再形成します」


「面倒だね」


「厄介です」


 レンマは軽く肩を回した。

 コハルはバスタオルを押さえたまま、息を呑む。


 レンマの背中が、遠く見えた。

 さっきまで、いつものように笑っていた人。


 ご飯の時は高い店を経費で押し通す人。

 カイリをからかっていた人。

 その背中が、今はまったく違う。

 前に立つだけで、空気が変わる。


 風が集まる。

 湯気が切れる。

 黒い水滴が震える。

 狭い浴室の中なのに、そこだけ戦場みたいだった。


「カイリくん」


「はい」


「コハルちゃんを連れて、浴室の外へ」


「了解しました」


「え、でもレンマさんは!?」


 コハルが声を上げる。

 レンマは振り返らない。


「俺はこいつと少し遊ぶ」


「遊ぶ相手じゃないです!」


「うん。だから、すぐ終わらせる」


 軽い。

 いつものレンマの声。

 でも、その言葉の最後が低かった。


「それにさ」


 レンマの周囲で、風が細く鋭くなる。


「こういう卑怯なことする奴、一番嫌いなんだよね」


 泥の男が、ぐにゃりと腕を広げた。

 浴室中の黒い水が、一斉に浮き上がる。

 無数の水滴が、針のように尖る。


 カイリがコハルの前に立つ。


「月岡さん、下がってください」


「はい……!」


 コハルは一歩下がる。


 その直後。


 黒い針が、レンマへ向かって放たれた。

 レンマの指先が、静かに動く。

 風が、鳴った。

 平和だった一週間が、完全に終わった音だった。


 そして。


 次に始まるのは、レンマの戦いだった。

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