第9話
この数ヶ月の間でヴィンセント領が活気にあふれてきた。それもナノさんの指示による交易と希少鉱石の売却が大きい。
こと交易に関しては騎士が多くなったことにより輸送船の護衛艦の数を増やせることになり交易の拡大をすることが可能となったことがヴィンセント領の更なる活気に役立っている。
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「よっ!ほっ!」
「「くっそ!俺たちの完璧な連携が全然効かない!」」
現在はこの前に加入した約3万人の騎士の中にいた双子と戦闘中。得物は俺が双剣で双子のケリー・セントリー(21)とカリー・セントリー(21)がそれぞれ双剣。
セントリー兄弟による流れるようなアイコンタクトもない双子ならではの完璧な連携から繰り出される四本の剣が俺を襲う。
「ありがたいよ。俺もお陰で双剣の練習になる」
「くっそ!カリー!馬鹿にされてるぞ!」
「このままで良いわけねぇよな!ケリー!」
「「俺たちを舐めたことを後悔させますよ!レオン様!」」
そうした騎士たちとの訓練や勉強にお父さんたち大人との今後のヴィンセント領についての話し合いなどをしながら毎日は過ぎていった。
そんな時に慌てた様子でセントリー兄弟との訓練が終わりシャワーを浴び終わった俺を使用人が呼ぶ。
「レオン様。ここでしたか」
「どうかした?」
「旦那様がレオン様をお呼びです」
「お父さんが?わかったすぐ行く」
急いで身体を拭いて髪を乾かしてお父さんの書斎へ。
ガチャ
「失礼します。お父さんどうかした?」
部屋の中にはお父さん1人だけ。他に人はいないようだ。
「先ほど輸送船から連絡が入ってな……どうやら襲撃があったらしい……」
そう重々しくお父さんがつぶやいた。同時にタブレットを見せられるとそこには確かに輸送船が襲撃されているところが映っていた。
「……護衛艦も壊滅状態……」
「ああ……どうやら護衛艦1隻では太刀打ちできないほどの数がいたらしい。襲撃者の要求通り輸送船を明け渡すしか手がなかったとのことだ。 だが最も問題なのが襲撃してきた機装戦兵にある……」
その機装戦兵は無骨な見た目をしている茶色の機体。俺もよく見慣れた機体。
「我が国の量産機ドルレッドですね」
「ああ……おそらく誰かが海賊どもに流した機体に乗り宇宙海賊共が襲撃してきたんだろう。挑発でもしてるつもりなのか!」
ドン!
お父さんが机を叩く。交易にて領内が上手く発展しているだけにそれを阻害する宇宙海賊たちが許せないんだろう。
『そう決めつけるのは早計かと』
「(ん?そうってなんのこと?)」
『今回の襲撃者が必ずしも宇宙海賊とは限りません』
「(え?それってどういう?)」
俺は"そんなことあるのか?"と考えながらもいつも通りにナノさんの言葉をそのまま伝える。
「お父さん、諜報部にエルカルト伯爵家の調査をさせて欲しい」
「エルカルト伯爵家?どうして急にそんなことを?」
お父さんは疑問の表情で問いかける。それは俺も内心では同じ気持ち。
「エルカルト伯爵家は長年交易で成り立っている家。だからこそ最近交易が活発になってきている我々ヴィンセント辺境伯家が邪魔に思ったのかもしれない」
「そんな馬鹿な。エルカルト伯爵家は同じ銀河帝国アークリアルを支える貴族なんだぞ?襲撃までして邪魔をするのか?さらにいえばドルレッドで襲撃するのはいくらなんでも大胆すぎるんじゃないのか?」
いくらなんでもと信じられない様子のお父さん。
「(俺もお父さんと同じ気持ちなんだけど?可能性としてあるのはわかるけど低いんじゃないか?)」
【いいえ、私はエルカルト伯爵家の可能性が高いと踏んでおります。ドルレッドを使用したのもあえてでしょう。現にお父上は最初から宇宙海賊一択なのを見れば相手の目論見通りかと】
「(う〜ん……考えすぎな気もするけどな〜……)」
なんて思いつつも結局はナノさんの言葉に従ってお父さんに進言する。
「可能性は低いかもしれないけどゼロじゃないから。可能性を潰すだけだよ」
「う〜む……しかしもし調査がエルカルト伯爵家にバレれば……」
渋るお父さんをなんとか説得して了承を得られたことで、ヤオたち諜報部が初の惑星外任務のためエルカルト伯爵家の領地へと調査に向かった。
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--ヤオニシキ・オオガ視点--
我々ヴィンセント辺境伯領諜報部はいま宇宙船に乗り観光客に擬態してエルカルト伯爵家の領地のある惑星へと向かっている。
「(初の惑星外任務……これを果たせるかどうかでレオン様への我々の目が期待になるか失望へとなるかが決まる……我々は試されている……)」
レオンに対して忠誠心が高くなりつつあるヤオは気合いのこもった目をし両手に力がこもる。しかし調査をするのはヤオだけではなくあと4人ほどいる。
「お?これ美味いっすよ兄さん!ひとつどうっすか!」
「ガクガクガクガク……ブルブルブルブル……」
「このチオーナ社の新作ブレスレット可愛いわね。早速注文しなくちゃ」
「……俺が隊長じゃなくってよかった……」
1人はヤオの妹であるココノカエデ・オオガ(22歳)*影が薄いというだけで諜報部に任命された新人騎士のエイット・ローグ(19歳)*アクセサリー雑誌を眺めるオオガの部族からやってきたアヤネ・シシ(26歳)*長年ヴィンセント辺境伯家に仕える騎士のゼノ・バリオス(48歳)。
「(……人選を間違えたのだろうか……)」
そんなメンバーを率いるヤオはさっそく人選を後悔し始めていた。
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