第5話
宇宙海賊も撤退させ戦争は終了したのだが俺は別のピンチに陥っていた。
「どうして坊ちゃんがそのことをご存じなんですか?」
「あ、いや……」
ザリルが近衛騎士長だったことをぽろっとつぶやいてしまった。その言葉を聞かれての言葉。
『ザリル・ハーバーが元近衛騎士長という事実は意図的に消されています。そのためそれを知っていたマスターを怪しむのは当然かと』
「(そんな考察いいからさ!助けてよ!そのためのサポートAIでしょ!)」
『かしこまりました。それでは私の指示通りにしゃべってください』
俺はナノさんの言葉に従ってしゃべった。
「ザリルはほかの騎士よりもすっごく強いし、でも前は何をしてたか聞いてもはぐらかしてばかりだったじゃん?だから調べてみたんだよ。そしたら騎士学校を卒業してからの記録がなにもなかったんだ。そしてこれは偶然見つけたんだけど、ザリルがうちに来るのと同じタイミングで近衛騎士から近衛騎士長への昇進の過去のニュースを見つけたんだ。6人と決められている近衛騎士長への昇進は欠員が出た証。あとは肌感覚でザリルの強さならあり得るのかな?って思ってさ」
と必死にナノさんの言うとおりに言ってみた。しかしそれを言い終わるもなんか疑いの目が消えていない。
「(なんで?ナノさんの言うとおりに言ったのに!)」
『言い方の問題かと思われます。マスターの必死な姿が嘘をついているように見えたのでしょう』
「(言葉としては正しくても言い方が怪しいってこと!?)」
『サポートAIでありながら十分なサポートができず申し訳ありません』
それでも言っていることは間違っていないと感じてくれたのかそれ以上は追及してこなかった。
「まあいいでしょう。それにバレて困ることでもないですしね」
というわけでザリルが元近衛騎士長ということは特に口止めなどはされることはなかった。
「(まあこれだけの人の前で言っちゃったからな~俺)」
宇宙戦艦で周囲に人がいる中での先ほどのやり取りなためザリルが元近衛騎士長であるということが俺だけでなく周囲にもバレてしまっていた。もちろん俺のせいで。
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何はともあれ俺は今回のことで6つの貴族の不正を暴きそのうちの3つは高位貴族だった。さらには戦力差がありながら宇宙海賊を圧倒したその功績は銀河帝国アークリアルの本星にも届き皇帝自らから通信にて賛辞を向けられた。
『私は第116代皇帝ルイード・アークリアルだ……それにしても聞いていた通りまだ子供じゃないか。改めて名前と年を教えてくれるか?』
「ハッ!私はラージ・ヴィンセントが息子!レオン・ヴィンセントです!年は12歳です!」
『凛々しい顔に言葉も聡明……わずか12歳で3つの高位貴族の悪事を暴き約1万からなる宇宙海賊たちに率先して立ち向かい一番多くの手柄を挙げたと聞く……どう育てたらそうなるんだ?ラージ辺境伯?』
まさかの皇帝陛下との通信に若干の緊張をしながらも返答。もちろんその場の通信には俺だけじゃなくお父さんもお母さんなどもいる。
「強さに関しては完全にザリルのお陰かと。彼という指南者がいたからこそレオンはここまでの強さを手にしました。しかし賢さに関しては……我々も知らなかったことでして……」
『知らなかったとはどういうことだ?』
「どうやら自身が賢いことは隠していたらしく……私たちも気づけなかったのです……」
『隠す?12歳の子供が?どうしてそんなことをした?レオン』
「ああ……ええとそれは……」
ここでとっさに親についた嘘が響いてきた。もちろんこれにはナノさんの指示通りに冷静に言う。
「申し訳ありません。両親には"賢いことを隠していた"といいましたがそれは嘘なんです」
『嘘?どういうことだ?』
俺のその言葉に両親も困惑状態。もちろん腹話術の人形と化している俺も同じ。
「私はある時に急に頭に知恵が湧いてきたんです。それはまるで人が変わったかのように・脳のリミッターが解放されたかのように。当時は私自身も戸惑っていたので両親には隠していたと嘘をつきました」
『……脳のリミッターの解放、か……確か何百年も前にそういった記述があったが……まさかそれがレオンに……』
「(そうなんだ……もしかしてナノさんは知ってたの?)」
『マスターから与えられる情報にそれらしきものがありましたので利用いたしました』
何度か難しい本をパラパラっとしてナノさんに見せるっていうことをしてたけどまさかこんな形で役に立つとは。
『情報は力です、マスター』
「(確かに。ありがとうナノさん)」
少し悩んでいた皇帝陛下は話を元に戻す。
『まあそれはいいだろう。とにかく今回は大手柄だ。よくやった。褒美は期待しておけ』
「恐れながら陛下。それについての発言の許可を頂きたいのですが(何言ってんのナノさん!?不敬罪になっちゃうよ!?)」
現にお父さんもお母さんもそんな俺の行動に驚愕しているようす。
『ほう?面白い。なにかほしいものでもあるのか?聞くだけ聞いてやろう』
救いなのが皇帝陛下が面白そうに笑みを浮かべていること。どうやら不敬罪で処刑!なんてことにはならなそう。
「褒美であればお金は一切必要ありません。その代わりに欲しいのは人です」
『……続けよ……』
「私どもの領地は辺境ということもあり広くそれを守るだけの騎士が不足しています。募集もかけておりますが集まりも悪い。ですので我が領を守る騎士を褒美として賜りたく思います」
『騎士、か……レオンはその言葉の意味を理解してのことか?』
まるで試されているように感じるその目。当然ながら俺はなにも理解していない。
「はっ!我が領地は通称:貧乏領地と揶揄されるほど不人気な領地です。そんな場所に皇帝陛下の異動命令によりやってくる騎士たちには不満な者も数多くいるでしょう。もしかしたらこちらの命令に従わないような輩がいるかもしれません。しかしご安心ください……私は我が領において最強です。元近衛騎士長に訓練とはいえ勝つぐらいには強いと自負しております……反骨心が強いものなど私が力でねじ伏せて見せましょう!」
『ふふ……はっはっは!これは面白い!その場合はぜひ我も見てみたいものだな!いいだろうその申し出を許可する!』
「ありがとうございます皇帝陛下」
『なに、ちょうど再編しなければならん貴族の軍が三つほどあったからな。そいつらを送ってやろう』
そうして皇帝陛下との通信が終了した。しかし俺の内心は大荒れだった。
「(なにしてんのナノさん!?なに言ってんの俺!?怖いんだけど!?)」
こうしてのちに恐怖の大人数騎士(3万人)vs俺(1人)の乱戦が開始されることになる。
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