第3話
機装戦兵は量産機→精鋭機→専用機とランクあり。
ヴィンセント領に巣食っていた三家を捕縛してから数日後。前皇帝の計らいにより元高位貴族の財産の一部が我がヴィンセント領にやってきた。その中には最先端の戦艦や機装戦兵まで。
「……レオンが……覚醒した……」
「よかったわねあなた。でもまさかレオンがあそこまで頭が良かっただなんて知らなかったわ。見抜けなかったのは母親失格ね」
父親ラージ・ヴィンセントは何度目かの呆然が始まり、母親キャリー・ヴィンセント(36歳)も何度目かの落ち込みが始まった。
「気にしなくていいよ母さん。それだけ俺の隠し方が上手かったってことでさ」
というか本当に気にしなくていい。なにせ俺の頭脳はなにひとつ変わっていないんだから。
「(いわば俺にもうひとつの頭脳がついたみたいなもんだし。とびっきり優秀な)」
『私はマスターの頭脳となりこれからもマスターを支えます。それがサポート型神経接続演算統合機構体である私の役目ですので』
そんなこんなで廊下をなにげなく歩いていた時のこと。
『マスター。そろそろだと思われます』
「(了解。じゃあ向かうか)」
そうして目的の場所に向かおうとするとお爺ちゃんサジャーノ・ヴィンセント(72歳)が登場。
「レオン、ちょっといいかの?」
「どうしたのお爺ちゃん?」
「ここ数日はバタバタしておって中々聞けなかったんじゃがよく儂とブラウとの関係を知っておったのう?息子でさえ忘れておったのに?」
お爺ちゃんと前皇帝ブラウ・アークリアルは友人関係にある。しかしお爺ちゃんが貴族に騙されやってもいない罪を背負わされるという事件があった。
ブラウ元陛下は友人としてお爺ちゃんがやっていないことはわかりつつも証拠が揃っていること・調べても証拠が偽物と断ぜないことから処罰せざる負えなくなった。その結果、数十年間も2人は連絡を取りづらい関係となってしまった。
「(すべてナノさんが解析した結果なんだけどね?まあそんなこと言えるわけないけど)」
ナノさんのことは誰にも秘密にしているためお爺ちゃんにはなんとかごまかしておいた。
『マスターそろそろ向かいいましょう』
「(了解)それじゃあお爺ちゃん!行ってくるよ!」
そう言って俺は走り向かう。
「あんなに急いでどこに行くんじゃ?」
しかしそんなお爺ちゃんの耳にもすぐに知らせが届くことになる。いつもよりも数倍は存在すると思われる宇宙海賊の襲撃の知らせを。
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俺はいま自動運転の車にて軍人用の宇宙エレベーターに向かっている。
「やっぱり来るんだ」
『今までこの周囲で海賊が多かったのは高位貴族たちの嫌がらせと考えるのが自然です。しかし今まではやりすぎれば自身たちの関与がバレる恐れがあったため手綱を握り言うことを聞かせられましたが、その手綱が離されたいま宇宙海賊たちは自由となりました』
「その自由になった宇宙海賊たちが一気にヴィンセント領に襲い掛かってくる」
その総勢約1万弱。宇宙海賊というならず者集団にしては多すぎるぐらいの人数だ。
「俺たちヴィンセント領の騎士の総数は約5000ほど。結構厳しいよね」
『ですが厳しい訓練がなされ度々襲い掛かってくる宇宙海賊にて実践を幾度も経験した騎士たちとならず者たちでは個人の実力が違います。さらにそこに前皇帝より最新鋭の戦艦や機装戦兵が送られてきました。十分勝利は可能かと思われます』
「もちろんわかってる。でも勝利じゃだめなんだよ……圧勝して勝たないと……1人でも仲間が死なないように……」
こうして俺は軍隊のエリアへと入り宇宙エレベーターで上へ。もちろん軍人たちには制止されたりしたけどそれらは振り払って。
バタバタバタバタ
宇宙エレベーターを上がった先は宇宙戦艦等が置かれている軍隊用の宇宙ポート。そこでは今まさに宇宙海賊への対応のため慌ただしく動き回っている。そこを俺は堂々と歩く。
「レオン様!?」
「どうしてレオン様が!?」
「ザリル団長に報告しておけ!」
そんな声を無視して一機の青い機装戦兵に目が行った。
「見たことない機体だな……そこの整備士の人!」
「はい!ってレオン様!?どうしてこんなところに!?ここは危険です!?早くお逃げください!?」
「そんなことはいいから。この機装戦兵は最新鋭のやつ?」
「そんなことって……まあはい先ほど送られてきた最新鋭の精鋭機・機装戦兵”タンザ”です。兵装は基本の剣とライフルですが機体性能が高く設定されているため扱う人材を選ぶ機体です」
「……タンザか……」
俺はタンザに触れて見上げる。そして決心する。
「……よし!このタンザは俺の機体ってことにする!」
「ええ!?まさか戦場に行くつもりですか!?相手は万に迫る宇宙海賊ですよ!?」
驚きの声を上げる整備士。俺はタンザへ乗り込むために移動しながら答える。
「だから行くんだろ?俺がヴィンセント領を守るんだ」
階段を駆け上がりタンザの高さへと移動。そのまま乗り込み出撃準備完了。するとタンザに通信が入る。
ウィン
『坊ちゃん!遊びじゃないということはわかってますか?戦場に出れば死ぬかもしれませんよ?』
「訓練ではザリルよりも強いんだ。あとは初陣だけだろ?」
『訓練と実践は違います!訓練通りに動けないことのほうが多いんです!』
「もう俺が決めたことだ。兵の指揮は任せたぞ。俺はただ1人でも海賊を減らす!」
その宣言と共に通信を切って俺はタンザを出撃させた。
「はあ……坊ちゃんは帰ってきたら説教しなくちゃな……。 準備できた奴らから出撃しろ!戦艦も出せ!坊ちゃんを一人にするな!」
「「「ハッ!」」」
宇宙に出て少し行くと横に広がっている宇宙海賊たちが視界に入る。
「すごい数だな……でも不思議だな……恐怖よりも楽しみのほうが勝ってる……」
『私は戦場においてもサポートは可能です。サポートいたしますか?』
「いや……戦いにおいてはサポートは必要ない……ここからは俺の領分だ……」
味方の機体や戦艦も出てきたことを確認して俺は突貫。それを察知した敵宇宙海賊たちも出てくる。
『てめえら!今までさんざん我慢されてきたんだ!解放しろ!殺せ!奪え!貧乏領地を蹂躙してやれ!』
『『『おう!』』』
こうして始まった戦争。真っ先に突貫した俺は宇宙海賊たちの銃弾を浴びる。
「くそっ!?なんで当たらねえ!?」
「なんだあの動き!?」
「あんな動きするやつ知らねえぞ!?」
何十と飛来する銃弾を銃口や指から直前で察知して避け続ける。
「うん、悪くない」
機体性能が高く乗り手を選ぶ機体という話し通り反応速度が高い。その機体性能を活かしてライフルを放ち剣で切断する。
「ぐわあああ!?」
「ぎゃあああ!?」
「来るな!?来るな!?来るっ!?」
ザン!
「よし!次!」
蹂躙しようと動いた宇宙海賊たちは逆に蹂躙される側となった。
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