第2話
なんかよくわからないエイリアンに寄生されたらしい。
『私はエイリアンではありません。かつてバレル神帝国が作り上げたサポート特化型神経接続演算統合機構体です』
「??……バレル神帝国とか神経どうたらこうたらとかよくわからん。結局はサポートってことはお助けアイテムって感じ?」
『……その認識でかまいません……』
「いま呆れた?俺の頭の悪さに思わず呆れたよね?」
『私に呆れるといった感情はございません』
絶対に呆れていたと思うがまあそれはどうでもいい。よくわからないがサポートしてくれるっていうんなら相談してみよう。
「だったらさ?このヴィンセント領をどうやったら豊かにできるか考えてほしいな。領民が裕福に暮らせるようになるにはどうしたらいい?」
『かしこまりました。現在マスターの記憶を読み取り分析いたします』
「え?記憶の読み取り?そんなことできるの?」
『はい。そのために作られたのが神経接続演算統合機構体である私の役目ですので」
「はえ~……ナノさんすげえ~……」
『ナノさんとは?私は神経接続型演算統合機構体です。そのような名前ではありません』
「いいじゃん別に。神経接続どうたらって長いしわかんないし。ナノマシンっぽかったからナノさんで。いいでしょ?」
『……かしこまりました。これより私は神経接続型演算統合機構体のナノさんといたします』
「よろしくねナノさん。 なんだかいい方向に進みそうだな~」
というわけで俺に取り憑いたナノさんだったが俺が思ってるよりも優秀っぽかった。まず要求されたのはヴィンセント領の全データを見ること。
「俺もチラッと見たことあるけどよくわからなかったんだよな〜」
『マスターが理解する必要はありません。マスターの視界を通して見たことは私も視認できます。そのため私が理解いたします』
というわけで早速家に帰り父親にヴィンセント領の全データが見たいと言及。
「なんだ?やっと勉強をする気になったか?だからと言って全データを見るというのも」
父親=ラージ・ヴィンセント(40歳)に怪しまれるもなんとか説得に成功。資料庫を教えてもらい執事に過去数百年分の紙の資料とさらにデータの資料はタブレットで。
ドン!
執事が机いっぱいに資料を置く。五人で食事ができそうなほどに広い机の上が溢れそうなほどになっている。
「本当にこれを全て見るのですか?」
「……ね?ビックリ……」
「なにかお手伝いできることがありましたらお呼びください。外の近くにおりますので」
「わかった。ありがとう」
積みあがった紙の束に何百何千では足らないのでは?と思わせるデータ量。それに俺はもはや嫌悪感すら抱いていた。
「……なんか頭痛がしてきた……」
『勘違いでしょう。それではまずは書類のほうから片付けましょう』
「へ~い」
一切のやる気のない返事をして書類をパラパラってめくる。当然ながらそんなのでは理解するどころかなにが書かれているか読むことすらできない。
「……ねえ?これで本当にできてんの?……」
『なにも問題ありません。続けましょう』
「……わかったよ……」
しゃべってないで手を動かせとでもいうような返答に俺はそれ以降はなにも言わない。たまに休憩を挟みながら積みあがった書類の束を片付け・タブレットのデータ資料もすべてを確認すること1時間弱。
『情報の収集・解析が完了いたしました』
「え?マジで?あれだけの資料を?1時間も立たずに?」
『私にかかれば造作もないことです。そのためのサポート型神経接続演算統合機構体ですので』
「……マジすげえ……」
『それではこれよりヴィンセント領に居座り続ける三家から財産を没収し背後にいるそれぞれ3つの高位貴族を潰します』
「……お、おう……」
あまりにもスピードの速い展開にいまだ俺は脳が追い付いていなかった。それでもわかるのはもしかしたらナノさんのお陰でヴィンセント領は変われるかもしれないということ。
/////
--数時間後--
ナミーノ男爵家当主トルノ・ナミーノ*ノストラー子爵家当主コルネ・ノストラー*ビーガ男爵家当主ヤッシュ・ビーガがお縄となった。
「ええい!離せ!」
「我々の後ろに誰がいるかわからんわけではないだろう!」
「こんなことをしてただで済むと思っておるのか!」
騎士による連行に素直に応じず喚き暴れ散らす3名。
「向こうにはあんたらを助けるだけの余裕はないよ。今頃は帝国本軍が動いてるだろうから」
「なっ!?」
「帝国本軍がっ!?」
「いっ!?一体なにを言っている!?」
理解できないようで喚く音量が大きくなる。うるさいので騎士を取り仕切る騎士団長のザリルに早く連れていくようにお願いする。
「(ああ〜うるさかった。まあでも理解できないのはわかる。俺だってまだ理解できないもん)」
ナノさんがやったことを簡潔にまとめると、
まず三家の不正の証拠を確保→さらに背後の高位貴族の不正の証拠も確保→それを祖父サジャーノの伝手を使い前皇帝に報告。証拠付きで送ったことで即座に軍が動いた。
ちなみに証拠に関してはヴィンセント領の資料を読み取れば出てきたものらしい。なので3つの高位貴族をさらに細かく調べればもっともっと出てくるだろうとナノさん談。
「大変なのはここからだよな〜」
まだナノさんの予測は終わっていない。この後こそが俺の腕の見せ所となる。
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