第21話
ボル・ノマーノ傘下の宇宙海賊からの襲撃からしばらく。俺は街中をぶらついていた。
「あ!レオン様だ!」
「レオン様~!俺たちを守ってくれてありがとう~!」
「レオン様。このリンゴどうぞ~」
「レオン様!遊んで遊んで!」
俺、大人気である。
「(いや~これだけ注目を浴びると勘違いして調子に乗る人の気持ちがわかるかも)」
『調子に乗った結果の先に明るい未来が到来する確率は低いかと思われます』
「(わかってるよナノさん。というか俺が調子に乗ってたらザリルあたりが許さないと思うし)」
なんて話しながら街中をぶらぶら。これは俺が定期的に行っていること。やっぱり自らの足で街中を歩かないとわからないことってあるしな。
『護衛が不要というのは該当しないのですか?』
「(あ、いや~……それは……)」
ナノさんに痛いところを突かれてしまった。いくらこの街の治安が良いといっても俺がヴィンセント辺境伯家の息子である以上は誘拐だとかそんな目に遭う可能性はある。
『マスターの戦場での活躍はもはや世間に知られています。だからこそ脅威に思った者たちや戦場で活躍による復讐者が訪れないとは限りません』
「(……だからあれじゃん?陰の護衛は了承したじゃん?……)」
『目に見える脅威がいない以上はマスターが危険なのは変わりありません』
「(まあ、ねえ……最近は観光客も増えつつあるし悪い奴が近寄ってくるかもしれないってのもわかるけど……厳つい騎士たちがいたら街で散歩する意味がないんだよな~。今みたいにこうしてみんんが寄ってきてくれないだろうし向こうも話しにくいだろうしさ。その点でいえば俺はまだ12歳の子供だし?向こうの警戒も解けやすいじゃん?)」
ナノさんとのこんな感じのやり取りは今に始まったことじゃない。近衛騎士長のザリルにも模擬戦とはいえ勝ったんだから大丈夫なんだけど、中々ナノさんの心配な気持ちは薄くなってくれない。
ドガン!バゴン!
ナノさんと心でやり取りをしながらみんなと触れ合っているときに遠くのほうで大きな音が聞こえてきた。
「なんだ今の音? おじちゃん!何かわかる?」
近くにいた顔見知りのおじちゃんに聞いてみた。俺はたまにしか街に下りないから街の人なら何か知ってるかもと思って。
「いやわからねえな?最近も特になにか起こってたわけじゃねえよ」
おじちゃんが的確に俺が知りたい情報を教えてくれた。すると諜報部が降りて俺の近くに。
「人をやり調べさせますか?」
「……いや、みんなは念のためにみんなの安全確保をお願い。俺が確認してくる」
「いけません!我々はレオン様の護衛です!レオン様の御身を離れるわけにはいきません!」
走りだそうとすると腕をつかまれてそういわれた。もしかしたら誰かが被害に遭っているような可能性もある。そのためここで問答をする時間はない。
「だったら君が一緒に来て!どうせ何人かでいるんだろ?ほかはみんなの安全確保ってことで!いくぞ!」
ダッ!
「なっ!?お待ちください!?」
というわけで諜報部の1人と共に今も大きな音が鳴るほうへ。するとそちらに近づくごとに人が必至な表情でこちらに走ってくる。それも誰かから逃げるように。
「すいません!なにかありましたか!」
「レオン様!?お逃げくださいレオン様!?ここは危険です!?化け物が!?化け物が暴れています!?」
「化け物?」
女性のその言葉が終わると同時に俺は強烈な殺気を感じ取り女性を乱暴に突き飛ばす。
バン!
「きゃっ!?」
その反動で俺も後方へと下がる。するとその直後に上空から何かが降ってきた。
ドゴン!!
それは人だった。だがそいつは上空から降り拳のひとつで俺が知る限り魔物だったり魔法・超能力だったりがないこの世界ではありえない"地面の陥没"を起こしていた。
「地面が陥没って!?超能力アニメかよ!?」
なんとか俺も無事だし女性も見たところ怪我もしてなさそう。
「……見つけたぞ……レオン・ヴィンセント……」
それは20代ほどの青年。しかしその目は充血し血管は浮き出て血が噴き出していた。とてもまともな状態とは思えない。
「レオン様!お下がりください!」
ダッ!
俺についてきた諜報部の人間がその異常者に襲い掛かる。
「まっ!?」
ドガン!
制止を呼びかけようと思ったが腕を一振りするだけで諜報員は吹き飛んでいった。
「がはっ!?」
しかしその諜報員を心配する暇は俺にはない。
「レオン・ヴィンセント……お前を殺す……」
ダン!!
異常な速度で正面から襲撃してくる。俺はとっさに剣を抜き防御。しかし直撃は防げたが俺も後方に吹き飛ばされた。
ガン!
「くっ!(なんて力!でも剣は壊れてないし速度もギリギリ反応はできた……戦えない相手じゃない、か……)」
異常な身体能力はしているが俺は自身の直感に従って攻撃を捨てた。
「ガア!ゴア!」
攻撃を捨てて相手を見ることに全力を注いだ。そのおかげもあり次第に相手の異常な身体能力にも慣れ始めていた時のこと。
「(幸いだったのはこいつが武器を持ってないことと素人なこと。たぶん喧嘩もあまりしたことがないぐらいの素人の大振り。だから助かってる部分は大きいな……それにしても……動けば動くほどに身体がボロボロになっていく……なんなんだこいつ……)」
次第に血管から血が噴き出る部分が多くなり指の一部はあらぬ方向に曲がっていたり明らかに自身の異常な身体能力に体がついていけてない。
「もう止まれ!わかってるだろ!あんたに何があったかは知らないがそれ以上やると死ぬぞ!」
相手の攻撃をさばきながらそう口にすると相手は涙を流しながら止まった。
「だったら死んでくれレオン・ヴィンセント!そうしないと!そうしないと!俺も!家族も!」
ボン!
俺は散々戦場にて人を殺してきた。だけどこれが初めてだった。目の前で人が死んだのは。それも上半身が爆発して。
【これは決して摩訶不思議な超能力や魔法などそんなものではない。人体実験を重ね続けた末にたどり着いた科学である】
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