追憶の迷宮14
明けましておめでとうございます。と言うにはもう遅いでしょうか。
2018年も超スローペースでお話を進めて参りますので、生暖かく見守っていただけると幸いです。
「あれ、ここどこだ?」
気が付くと俺は暗闇の中に仰向けで倒れていた。
目を開いているはずなのに、目を閉じている時と変わらない暗闇だ。仰向けのまま右を向いても左を向いても何も見えない。
「イテッ!?」
とりあえず起き上がろうと勢いよく上体を起こして天井にデコをぶつけてしまう。そのため次は慎重に、そっと腕を広げていくとすぐに手が壁に当たった。
手を壁に当てたまま、これまたそっと上の方へとスライドしていくとすぐ上が天井になっていた。
「人が一人入れるくらいの箱?」
試しに天井をグッと押してみると、天井は簡単に押し上げられて光が差し込んできた。
真っ暗な所にいきなり光が差し込んできたため、眩しくて咄嗟に目を閉じる。閉じた目を光に慣らしながら目を開けていく。そしてまず始めにドラゴンと目が合った。
「………」
「お兄さん起きたのね」
「………は?」
よく見るとドラゴンは頭だけであり、ドラゴンが喋ったというわけではなくドラゴンの頭の後ろから出てきたフィーネの声だった。
「アランおじいさんがデュラハンを倒した後、お兄さんが急に寝ちゃったからここまでそれに入れて引っ張って来てあげたのよ?」
そう言われてふと自分が入っていた箱を見る。
「うわっ、棺桶かよっ!?」
どうやらどこぞのRPGのように、倒れた仲間(?)を棺桶に入れて引きずってきたらしい。ただしこの棺桶の底が低反発マットのようになっており、蓋を閉じれば真っ暗。寝起きのデコ打ちやドラゴンとの対面が無ければそれなりに睡眠に適した良い棺桶のような気がする。
そして落ち着いた今は何となく良い臭いがするような気もする。
「私のベッドを犬みたいにクンクンしないでほしいのだけれど? お兄さんって変態さん?」
「フィーネのベッドかよこの棺桶!?」
つまり何となくしていた良い臭いの正体はおそらくフィーネの匂いで…などと考えていると急に恥ずかしくなって棺桶から飛び出した。
「おおマサキ、ようやく起きたか!!」
俺が起きたことに気が付いたアランさんがこっちに近づいてくる。
「おはようございます。このドラゴンはアランさんが?」
「本当はわしが殺りたかったんじゃが、コレが吠えとる間にフィーネが首を落としよったわ」
「ごめんなさい、アランおじいさん。うるさかったからつい殺っちゃったわ」
相変わらずハッハッハッ、と笑うアランさんから再びフィーネに視線を向ける。
この二人はいろいろ規格外過ぎるので「吠えるって犬かよ!!」や「ドラゴンをつい殺っちゃったって何ですか!?」など言いたいことを飲み込み、現状確認に努める。
「なあフィーネ、俺が寝落ちしてどれくらい経ったかと、目的地まで後どれくらいか知りたいんだけど」
「時計が無いからどれだけ寝てたかは分からないわ。でも随分長い間眠っていたわね、だってもうそこの階段を降りていけば目的地よ?」
寝て起きるともう目的地か…。
一瞬申し訳ないと感じたが、そもそもこのダンジョンに挑む適正レベルと俺のレベルはかけ離れているのだ。起きていようが寝ていようが大差無かったのではないだろうか。
「マサキが起きておったら2度ほど死んでおったんじゃ、寝ててよかったのお」
え?
高速でアランさんとフィーネを交互に見比べ、俺の視線はフィーネを捕らえた。
「ドウイウコトデショウカ、フィーネサン?」
「地下3階のボス、ポイズンゴーレム。地下4階のボス、フレアゴースト。地下5階のボス、ダークドラゴン。お兄さんが死ぬとしたらここら辺かしら?」
「………それって俺が起きてたらどしたの?」
「その時考えたわ。実際にはお兄さん、私のベッドで寝ていて無事だったのよ?」
それは結果論ですよフィーネサン!?
「………」
「何かしら?」
「目的地まであとどれくらい危険があるか教えて下さい」
言いたいことをこれまたグッと飲み込んで、今後の危険性について質問する。
「もう危険は無いんじゃないかしら?」
本当だろうか。
こういうことについてはアランさんの方が信用できるような気がするので、フィーネから視線を移してアランさんを見続けると頷いた。
危ない所は全て棺桶でやり過ごせたようだ。
「そろそろ出発せんか?」
俺の確認を待ってくれていたアランさんだが痺れを切らしたようなので、アランさんを先頭に奥にあった階段を降りていく。
階段はそんなに長くはなく、10人は並んで歩けそうな幅の広い通路に繋がっていた。
その通路をしばらく進んでいくと通路に見合った扉があった。
「あそこが終点なのか?」
「違うわ、あの扉の中に別の扉があるのよ。そこが終点ね」
「ちなみに実はあの扉の奥がすっごい危険だったり…?」
「前に来たときは何も無かったわ。お兄さん怖がりすぎよ?」
怖がりすぎと言われても命は1つしかないのだ、大切にしたい。
そう思いながらアランさんに続いて扉の中へと入っていった。
読んで下さった方に感謝。
ありがとうございます!




