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異世界転移なんてありふれている  作者: たかしゅー
ラントヴァッサ王国
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追憶の迷宮11


「わしは死霊騎士アルデバラン、アランと呼ぶが良いぞ。人間だった頃はアルデバラン・ルーデンドルフと名乗っておったんじゃが、気が付けばアンデッドになっておったわ。さあ小僧とついでにフィーネ、じじいが名乗ったんじゃ自己紹介せい」


 飛んでいった自分の頭を取り付けて戻ってきたアランさんが何処からともなく机と椅子を取り出し、全員が座るとアルデバランが自己紹介を始めた。

 自己紹介はいいのだが、何か聞き流してはいけないものを聞いてしまったような気がする。それを聞こうにも「さあ早く自己紹介を」とそわそわしているアランさんを無視して質問すると、ろくなことにならないような気がする。このじいさん、人に飢えているのだろうか。


「…マサキです。六等級冒険者で戦闘は苦手です」


「フィーネ・スカーレット。趣味は盗賊狩りとお宝探しかしら。フィーネでいいわよ、お兄さん」


「マサキか、覚えておこう! さてフィーネよ、何故マサキを連れてここへ来たんじゃ?」


 覚えておこうと言ったアランさんの顔は見えないのだが、話し相手ゲット、みたいな視線が飛んできているような気がする。

 もう一生こんな所に来ないよ、覚えなくて結構です、その他色々と言いたいことはあるがグッと飲み込む。


「お兄さんは異世界人よ?」


「ほう」


 あれ、俺が異世界人だって言ったっけ? 言ってないよな。

 俺が異世界人だということを他人に知られてはいけないという訳ではないが、吹聴していいものという訳でもない。ユキトからはそう教えられている。


「えっと、何で異世界人だと?」


「だってお兄さん、ずっと日本語で話しているのよ?」


「日本語って、フィーネも―――」


「私は必要があって学んだだけよ。勇者に纏わる物にはだいたい日本語が絡んでいるの。今から行くところもそう。そこには『俺たち勇者の加護を持たねぇ異世界人を連れてこい』って書かれていたわ」


「わしには読めんかったがな!」


 フィーネと同郷ではなくて残念だったが、それ以上にハッハッハッと笑うアランさんだ。

 アランさんってここのボスだよな。


「今から行くとこってここから繋がっているのか? 入り口がこの部屋の奥とか?」


「入り口はこの城の一階。私とお兄さんが出会った広間よ?」


「アランさんってこの城のボスですよね? この部屋に来る人たちを迎え撃つ」


「そうよ?」


「そうみたいじゃな」


 マジか。

 ボスはボス部屋に待機せず、そこら辺をうろついたりすんのか。


「お兄さんはダンジョンのボスがボス部屋から出て徘徊していることに驚いているのかしら?」


「お、おう」


 フィーネは俺の戸惑いを正確に読み取ってた。一方で当の本人であるアランさんはよくわかっていないみたいである。


「大丈夫よ、普通はボスが部屋からでて徘徊するなんていうことはしないわ。アランおじいさんが特殊なの」


「それを聞いて安心した」


「そう。それじゃあそろそろ行こうかしら。アランおじいさん、鍵を貸してちょうだい」


 フィーネがそう言うとアランさんの頭を両手で持ち上げて机の上に置いた。そして躊躇せずに首の部分から鎧の中へ手を突っ込む。

 待つこと数十秒。もう少し下じゃ、もう少し右じゃ、とアランさんがガイドし、フィーネがアランさんの中から鍵を取り出した。

 鍵が取り出されるとアランさんは自分で頭を元の位置に戻して、机と椅子を片付けていく。

 その鍵ってひょっとしなくてもボスドロップだよね、アランさんの中ってどうなってんの、じいさん今何処に片付けた、という疑問には蓋をして俺も準備する。準備と言っても装備を軽く確認するだけなのだが。


「さて行くぞ、フィーネにマサキよ!」


 こちらの準備が終わっているか一度確認して、アランさんが意気揚々と扉を潜って出ていく。

 そしてそれを、ボスが部屋から出ちゃったよ…と思いながらフィーネと一緒に続く。


---


「アランさん、一つ質問いいですか?」


 意気揚々と出ていったアランさんの隣に並び、先程気になったルーデンドルフという家名について質問しようと声を掛けた。


「なんじゃ?」


「ルーデンドルフってラントヴァッサ王国の貴族ですよね?」


「うむ、そうじゃが貴族というよりかは勇者の子孫という位置付けの方が強かったのお。他家の事は忘れてしもうたがルーデンドルフが受け継いだ《空間魔法》が最強じゃ!」


 ハッハッハッと笑うアランさんはやはりエレナさんのご先祖様なのだろう。


「《空間魔法》のルーデンドルフ。《生命魔法》のトリフト。《精神魔法》のヴォワール《波魔法》のグーリエ。そして《時間魔法》のラントヴァッサ。これくらいは覚えておいた方がいいわよ、お兄さん? 血が薄れ、殆ど受け継いだ力を無くしているとは言え、稀にエレナ・ルーデンドルフのように力を持って生まれてくる者もいるの」


「ほう、わしの子孫だけが力を受け継いでおるのか、やはりルーデンドルフが最強じゃ!」


 そう言ってハッハッハッと笑うアランさんを横目に、本当にヴォワール、グーリエ、ラントヴァッサ、そしてトリフトが力を失っているのだろうかと考える。そして、いくら考えても答えの出ない疑問に悩まされているうちに、どうやら目的地に着いたようだった。

読んでくださった方に感謝。

ありがとうございます!

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